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お客さんから“約500円”を盗んで逃走した“1人の少年”。「もうしません」を繰り返す子どもに、大人が下した【苦渋の決断】

  • 2026.9.10
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(C)ケニア! 〜サイテーでサイコーの子どもたち〜

『ケニア! 〜サイテーでサイコーの子どもたち〜』は、NGO「モヨ・チルドレン・センター」(以下「モヨ」)の日常を届けるポッドキャスト番組。この施設は、ケニアで行き場をなくした子どもたちが集まり、共同生活を送る場所です。

モヨ・チルドレン・センター代表の佐藤南帆さんと、ノンフィクションライターの泉秀一さんがパーソナリティーを務め、厳しい環境で生まれ育った子どもたちの、最高にユニークな成長ストーリーを発信しています。

2026年8月7日の配信回では、以前番組で紹介した子どもたちの“その後”が報告されました。ただ、今回は嬉しい話ばかりではありません。信頼していた少年たちが施設から姿を消してしまった、支援の厳しい現実をお届けします。

フラストレーションを抑えきれず…ユスフの突然の逃走

まず報告されたのは、ユスフくんのこと。以前の回では、格好つけたがりで、やんちゃな一面のある男の子として紹介されました。お父さまはいるものの、まだ生活が不安定で、すぐに一緒に暮らせる状況ではありません。そのため、モヨとは長い付き合いになりそうだと話していた子です。

そのユスフくんが、佐藤さんが日本に一時帰国している間に、施設から逃げ出してしまいました。しかも、今も見つかっていません。いったい何があったのでしょうか。

きっかけは、5月の頭。ユスフくんが、むしゃくしゃした様子で施設のゴミ箱を蹴り、壊してしまいました。スタッフはすぐに話し合いの場を設けましたが、ユスフくんは「反省してる、ごめん、もうやらない」と繰り返すばかり。なぜそんなに苛立っていたのか、心の内は話してくれなかったそうです。

それから2週間ほど後、今度はオフィスの窓ガラスを1枚割ってしまいます。日曜日のことでした。さらに翌月曜日、泥だらけの靴をみんなで洗おうとしたところ、それが嫌だったのか、靴を片方、勢いよく放り投げます。靴は施設内を流れる川に落ち、そのまま流れていってしまいました。

スタッフは「どうしたの?何がそんなに嫌なの?」と、また話を聞こうとしました。それでもユスフくんは、何も語りません。そして火曜日、とうとう施設から姿を消してしまいました。

モヨはすぐに警察と児童相談所に連絡し、近所の人にも目撃情報を求めました。お父さまにも「帰っていないか」と確認しましたが、姿を見ていないとのこと。逃走から1ヶ月あまり、ユスフくんの行方はわからないままです。「今、何をしているんだろう」と、佐藤さんは今も気にかけ続けています。

「今度こそ変わる」その誓いの先に…期待した少年キヌディアの結末

続いて報告されたのは、キヌディアくん。以前、前後編に分けて紹介した十代半ばの男の子です。「ありがとう」という感謝の言葉をよく口にする子で、溶接職人を目指し、地元の工場で見習い修行をしていました。

そんなキヌディアくんにも、変化が起きます。始まりは、去年の11月頃。毎日通っていた修行先に、遅刻するようになりました。スタッフが理由を聞いても、「これは俺のミスだ、本当にごめん、もうしない」と謝るばかり。原因はよくわからないままだったそうです。

さらに1ヶ月ほど後、キヌディアくんは修行先から戻らなくなります。師匠に連絡すると、お客さんから預かった修理代・500ケニアシリング(およそ500円)を持って、どこかへ消えてしまったとのこと。おばあさまの家にいるところを連れ戻しましたが、そのお金で中古のイヤホンを買っていたようでした。

このときも、キヌディアくんは机に頭をつけるようにして、「本当にごめんなさい、もうしません」と深く反省していたそう。佐藤さんも、根はまっすぐな子だと信じていたので、その謝罪を受け止めます。そして、施設で預かっていたキヌディアくん自身の貯金から500ケニアシリングを出し、「これを持って、自分で師匠に謝りに行っておいで」と送り出しました。

ところが、その道中でキヌディアくんは、またしてもそのお金を持って逃げてしまいます。数日後、おばあさまのもとへ戻ったものの、佐藤さんたちは「しばらくモヨに帰ってこなくていい!一度しっかり反省しなさい」と、2週間ほどの謹慎を言い渡しました。

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写真:PhotoAC ※画像はイメージです

年が明け、キヌディアくんはモヨに戻ってきました。真剣な眼差しで、「本当に変わりたい。こんな機会はもうないと思う。ありがとうございます」と誓う姿に、佐藤さんも心を動かされます。「これがラストチャンスだよ」と伝え、もう一度受け入れることにしました。

その誓いから、およそ2週間。残念なことにキヌディアくんは、また逃げてしまいました。今度はおばあさまのもとにも戻っていません。あまりのことに、佐藤さんたちは言葉を失ってしまったのだとか。「これだけ話して、私たちに何ができたんだろう…」とため息をもらします。

その後、キヌディアくんらしき姿の目撃情報が、ひとつだけありました。彼女らしき人と、地元のチキン店で食事をしていたというのです。真相はわかりませんが、スタッフの間では気になる話として共有されています。

キヌディアくんは、溶接の技術をある程度身につけています。もし本人がやり直したいと思えば、別の地域で、理解のある人のもとで生きていけるだけの力はあるのかもしれません。

佐藤さんは「一度突き放して、彼らの生命力を信じる。そこまでは手を尽くした」と語ります。期待していた子だけに悔しさは大きい。それでも、心から応援しながら手を離すしかない、というのが今の思いだそうです。

信じて、裏切られて、それでも…

苛立ちを抑えきれずに姿を消したユスフくん。「今度こそ」の誓いを重ねた末に、また逃げてしまったキヌディアくん。2人とも、モヨが期待し、信じていた子どもたちでした。

2人を思うと悔しさは残るものの、佐藤さんたちスタッフはできる限りの手を尽くして彼らと向き合いました。あとは、幸せを願って見守るしかありません。ストリートの子どもたちを支える現場の、簡単には答えの出ない難しさが伝わってくる配信回でしたね。


ケニア! 〜サイテーでサイコーの子どもたち〜
成長、反省、逃亡、。あの子どもたちの「その後」
[配信日時]2026年8月7日
[出演者]佐藤南帆(NGO モヨ・チルドレン・センター 代表)、泉 秀一(ノンフィクションライター)
[番組URL]https://open.spotify.com/episode/0PY76phf2fFT1Y6D3C9dDC?si=y34zK_AITi2I0E8H5-0kIA

(C)ケニア! 〜サイテーでサイコーの子どもたち〜

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