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「これくらい当然、いつもやってる」義実家でだけ息子を風呂に入れた夫。だが、息子の泣き声に義母の笑顔が消えた

  • 2026.7.28

実家でだけ張り切る夫

その頃の夫は仕事に追われ、家では指一本動かさなかった。

息子の入浴も寝かしつけも、担うのはいつも私だ。夫が湯に入れてくれるのは、月に一度ほどしかない。

専業主婦の私は、それでいいと思っていた。文句を言うつもりもなかった。

そんなある日、義実家を訪ねると、夫は人が変わったように動き出した。

「風呂、俺が入れてくるから」

そう言って、まだ遊びたがる息子を抱え、いそいそと浴室へ消えていく。

義母は感心したように、何度も頷いた。

「感心ねぇ。うちの息子が、こんなに面倒みるなんて」

ほどなく、湯気とともに戻ってきた夫は、得意満面で言った。

「これくらい当然、いつもやってる」

私は言葉を失った。

月に一度の人が、まるで毎晩の習慣のように語っている。

「家でも、俺が率先してやってるんだよ」

すらすらと嘘を重ねる夫を、私はただ見ているしかなかった。ここで否定すれば、角が立つ。

泣き声で消えた義母の笑み

義母がにこにこと相槌を打った、まさにそのとき。浴室のほうから、息子の激しい泣き声が飛んできた。

「パパやだー!ママと入るー!」

無邪気な声は、さらに続く。

「パパとお風呂やだ!」

浴室からの声は、まだ続く。

「パパ、やり方知らないんだよ!」

その一言に、義母の顔から笑みがすっと引いていった。にこやかだった空気が、一瞬で張り詰める。

「あなた…毎日やってるって、言ったわよね」

夫は濡れた手を拭きながら戻ってきたものの、義母の視線から目をそらす。

「い、いや、たまには本人も甘えたいんだよ」と、ごまかそうとする声はうわずっていた。

「たまには、って今言ったじゃないの」

義母に静かに突かれ、夫はとうとう口をつぐんだ。

助け舟を求めるように、夫は義父を見た。だが義父も苦笑いを浮かべ、目をそらすばかりだった。

気まずい沈黙のなか、義母は私の手をそっと取った。

「あなた、いつも一人で大変だったのねぇ」

普段の苦労を、義母に分かってもらえた。それだけで、胸のつかえが下りる思いだった。私は卑屈にならず、ありがとうございます、とだけ返した。

義母はそのまま夫に向き直り、「たまにじゃなくて、これから毎日ね」と、やわらかく釘を刺した。夫は、うなだれて頷くほかなかった。

帰り道、夫は決まりの悪そうな顔で「これからは家でも入れる」と口にした。見栄のための嘘は、息子の無邪気な声にあっさり見抜かれたのだ。実家でだけの名優は、その日で幕を下ろした。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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