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2027春夏ベルリン・ファッションウィークの注目度が高まった5つの理由

  • 2026.7.28
Boris Marberg, Finnegan Koichi Godenschweger, ken dumevi, MarcKrause, WILLIAM FAN

2027年春夏ベルリン・ファッションウィークが、2026年7月2日から7月5日にかけて開催。若手デザイナーの発掘やサステナビリティに力を入れていることで知られ、年々進化が止まらないファッションウィークの一つだ。

今シーズンから、参加ブランドに対してサステナビリティ要件を満たすことを必須化するなど、体制を強化。前回に引き続き、日本からは柳川荒士(やながわ・あらし)さんがデザインを手がける「ジョン ローレンス サリバン」も参加した。「自由・包摂性・多様性への責任あるムーブメント」を掲げるファッションウィークの姿勢は、ランウェイやプレゼンテーションにも色濃く反映。自分らしく装えるリアルクローズを軸に、それぞれの価値観や背景を映し出すクリエイションが会場を彩った。

開催直前まで現地を襲っていた熱波も落ち着き、涼しささえ感じる気候の中で幕を開けたベルリン・ファッションウィーク。注目ブランドのコレクションからジュエリー、有名ブランドとのコラボイベントまで――現地の様子を5つのポイントでお届け!

次世代の才能が集う、ベルリン・ファッションウィーク

左上から時計まわりに、ベルリン・コンテンポラリーを勝ち抜いた「ウィリアム ファン」。期間中プレゼンテーション形式やランウェイショーを開催したドイツブランド「ナターシャ フォン ヒルシュハウゼン」。「マライカライス」。「ソシエテ アンジェリーク」 Boris Marberg, Finnegan Koichi Godenschweger, ken dumevi, MarcKrause, WILLIAM FAN

次世代デザイナーたちの登竜門とも言われる、ベルリン・ファッションウィーク。そのデザイナーたちの才能の開花を支えるのが、卓越したクリエイティビティとサステナビリティを備えた若手デザイナーを支援するプログラム「ベルリン・コンテンポラリー」。ベルリン州経済・エネルギー・公共企業局のバックアップを受け、厳格な審査を勝ち抜いた19ブランドには、それぞれ2万5000ユーロ(約460万円)の賞金が授与され、ファッションウィーク中に各コレクションが発表される。

一方で、ベルリンを特徴づけるキーワードは若さだけではない。ブランド設立15周年を迎える経験豊富なデザイナーや、欧州以外にも、アフリカ、日本、メキシコなどにルーツを持つブランドも登場するなど、多彩なルーツや価値観が共存するファッションシーンがそこにある。

【1】要注目の5ブランド! 世界観を引き立てる会場も必見

ショー会場となった場所。右上から時計回りに「皇太子宮殿」、「ローブ・ブロック」「ベルリン壁側のシュプレー川沿い」、「ICCベルリン」 Getty Images

多様なアイデンティティを表現したデザインやサステナビリティとの両立を目指すクリエイションに加え、歴史的建築や自然あふれる空間など、それぞれのショー会場が、ブランドの世界観をより印象的に際立たせていた。

マーケ(MARKE)

なかでも年々ベルリン・ファッションウィークで注目度を高めているのが「マーケ(MARKE)」。天然繊維中心の素材選びやEU圏内に集約した生産体制にこだわりを持つ。

1970年代スペースエイジ建築の代表作として世界的に名高い「ICCベルリン」の無機質な近未来空間の中で、「マーケ」が紡ぎ出すロマンチックでジェンダーレスなデザインは、建築との鮮やかなコントラストを描き出した。

マライカライス(MALAIKARAISS)

今年ブランド設立から15周年の節目を迎える「マライカライス(MALAIKARAISS)」のコンセプトは、初恋。ショーはベルリンの壁沿いを流れるシュプレー川をバックにした解放感のある舞台で行われた。

コレクションの99%にデッドストック生地や余剰素材を用いながらも、ブランドらしさが光る遊び心のある色使いで魅了。ファッションやものづくりへの衝動、そして初恋のような情熱をいまも持ち続けていたいというデザイナー自身の思いが、コレクション全体を貫いていた。

マリー ルイーズ ミュラー (MARIE-LOUISE MÜLLER)

ベルリンの都心にありながら開放的な空間と緑豊かな庭園に囲まれた「ローブ・ブロック」で、ランウェイショーデビューを果たした「マリー ルイーズ ミュラー (MARIE-LOUISE MÜLLER)」。

デザイナー自身だけでなく、彼女の祖母や母、姉、そしてインターンたちにより約2,500時間をかけた手作業で作り上げたと語るルックの一つ一つが、見る人を彼女の描く「夢のような庭」へと誘う。鮮やかなブルーのシルクドレスにあしらわれたガラスビーズのカブトムシは光できらきらと反射し、まるで胸元で一緒に鼓動しているかのよう。

ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)

18世紀に建てられた歴史的建築「皇太子宮殿」のクラシカルな空間でランウェイショーを開催した「ジョン ローレンス サリバン」。ブランドの代名詞とも言えるシャープなテーラリングを基調に、パイソンプリントをアクセントとして取り入れ、男性性と女性性の境界を揺さぶるコレクションを披露した。海外のオーディエンスからは「従来よりも洗練されたムード」「相反する要素の緊張感を巧みに表現したコレクション」と評価され、ブランドの新たな魅力を示した。

ゲーエムベーハー(GmbH)

ベルリン・ファッションウィークのラストを飾ったのは、皇太子宮殿の中庭でショーを開いた「ゲーエムベーハー(GmbH)」。これまでのとがったストリート・クィアカルチャーから一変。歴史的な重みとエレガンスを組み合わせたクリエイションが核となった今回のコレクション。

当時の政治情勢のために歴史から忘れ去られてしまった1910年代から1960年代のベルリンのクチュールと「ゲーエムベーハー」の代表作を融合させたそのクリエイションは、ブランド設立10周年という節目にふさわしい集大成となった。

【2】唯一無二のデザインに宿るフィロソフィー

「ブジガヒル」(上)は欧米の古着をウガンダで再構築したコレクションを発表。「アンネ ベーネッカー」 (下)では、ヴィンテージウェアやデッドストック素材を使用して、仕立て直したり、上質な手刺しゅうの装飾を施す Anne Bernecker, BUZIGAHILL, Julien Fertl, ken.dumevi

ベルリンのファッションシーンが提示するのは、唯一無二のデザイン性だけではない。地域コミュニティとの協創やものづくりを通じた自立支援、伝統技術の継承──その1着が生まれるまでの背景には、いま私たちが耳を傾けるべきフィロソフィーが宿っている。

例えば、「ブジガヒル(BUZIGAHILL)」では、「ザ ミラヤ プロジェクト(The Milaya Project)」というNPOを通じて、南スーダンの内戦から避難してきた女性難民グループを支援。南スーダンの伝統刺しゅう「ミラヤ」を受け継ぐ女性難民に手仕事を依頼し、経済的自立を後押ししている。一方、「アンネ ベーネッカー(Anne Bernecker)」は、インドで6代にわたり高度な技術を受け継ぐ伝統的な刺しゅう工房「アミール ビーディング(Aamir Beading)」と協働し、緻密なビーズ刺しゅうを施したシャツを制作。卓越した手仕事と文化を未来へとつないでいる。

【3】見逃せない!リアル&クリエイティブなアクセサリー

左上から時計まわりに、「クリスティアーネ・シュヴァンバッハ」のバッグ、「イン ジュエルズ」のカカオの種子をモチーフにしたネックレス、「ナターシャ フォン ヒルシュハウゼン」のピアス、「イン ジュエルズ」を着用するモデル、「マライカライス」のピアス kerstin jacobsen, LENNART SYDNEY KOFI, Malaikaraiss, RenéLohse

スタイリングの仕上げとなるアクセサリーからも目が離せない。「ナターシャ フォン ヒルシュハウゼン(Natascha von Hirschhausen)」のジュエリーラインは、インドの女性職人による手仕事を通じて形づくられている。きゃしゃだけど存在感があり、日常にも取り入れやすいものばかり。

葉や花びら、カカオの種子などをモチーフにそれらを彫刻的なフォルムに仕上げるのが特徴の「イン ジュエルズ(InJewels)」は、手仕事の質感を残し、ハンドメイドならではのぬくもりも感じさせる。「クリスティアーネ・シュヴァンバッハ(Christiane Schwambach)」は、車のガラスなどの廃材やヴィンテージアイテムを用い、独自のデザインでラグジュアリーなバッグやアクセサリーへと昇華。「マライカライス」のジュエリーラインは、その日のコーディネートをワンランクアップさせる主役級のジュエリーから人気キャラクターとのコラボアイテムまで、遊び心と洗練された雰囲気の両方を兼ね備えている。

【4】「H&M」とのコラボイベントも

企画展(右上)とは別に、「H&M」ミッテ・ガルテン店1階のガーデンエリア(左下)では、ブランドが欧米中心に展開しているセカンドハンドライン「Pre-Loved」アイテムを販売。「H&M」のみならず、他社ハイブランドのヴィンテージアイテムも取り扱っている Hearst Owned

ベルリン各地では、ランウェイの外でもファッションをめぐる多彩な取り組みが展開された。その一つ、「H&M」ミッテ・ガルテン店地下1階で開かれた企画展「The Curiosity of What's in Between(その“あいだ”にあるものへの好奇心)」は、拡大するヴィンテージ市場と循環型ファッションに着目。

「H&M」が「メゾン マルジェラ」や「コム デ ギャルソン」、「ヴェルサーチェ」などと展開してきたコラボレーションアイテムや、「H&M」の古着のみでスタイリングしたルックを展示した。新品と古着、過去と未来、前の持ち主と次の持ち主──その“あいだ”に生まれる新たな価値やストーリーを提示する企画となった。

【5】多様なモデルたちがカムバック!

Boris Marberg, James Cochrane, Finnegan Koichi Godenschweger, WILLIAM FAN

近年、世界のファッション界で減退傾向にあるとも指摘されるモデルの多様性。しかし今シーズンのベルリンでは、人種や年齢はもちろん、低身長のモデルや、近年はあまり見られなかったプラスサイズモデルも多くランウェイに登場した。身体の違いや個性を肯定し、それぞれの魅力へと昇華するデザインは「ファッションは誰もが自由に楽しめるもの」だという、ベルリンからのメッセージにも思えた。

だからこそ、ベルリンのランウェイは、自分自身を重ねられる場所にもなっていた。 ショーを訪れた観客はランウェイを歩くモデルにリアルな自分自身を投影し、「あの服を日常に着たい」「クローゼットに迎えたい」という思いを抱く。そうした共感を生み出す等身大のクリエイションこそ、ベルリン・ファッションウィークならではの魅力なのかもしれない。

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