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旅行中ずっとガイドブックを見ていた彼に、私は文句を言ってしまった

  • 2026.7.14
ハウコレ

初めての旅行で、彼は景色よりもガイドブックばかり見ていました。展望台でも、古い街並みでも、私の隣にいるはずの彼はページの中ばかり追っています。食堂で彼が取り出した1枚のメモを見るまで、私はその理由を知りませんでした。

見晴らしより次の目的地

付き合って1年になる彼と、初めて2人で旅行に行きました。行き先は彼が選んだ場所です。山の景色が見える展望台や、古い街並みが残る通りを回る予定でした。

展望台に着くと、彼はカバンからガイドブックを取り出しました。目の前には山並みが広がっているのに、彼はページを開いたまま、次に行く場所を確認しています。

「せっかくだから景色を見ようよ」と声をかけても、彼は「うん、あとでね」と返すだけでした。私は柵のそばへ行き、1人で景色を見ました。隣にいるはずなのに、旅行の時間を分けられているようでした。

石畳の道でも

次に向かった古い街並みでも、彼はガイドブックを手放しませんでした。石畳の横に古い行燈があり、私は足を止めて文字を読もうとしました。

顔を上げると、彼は少し先を歩いていました。私が立ち止まったことにも気づかず、ページを見ながら道を進んでいます。

「また見てるよ」と言うと、彼は振り返って「ごめん、効率よく回りたくて」と答えました。旅先で効率という言葉を聞いたとき、私はこの旅行を楽しみにしていた気持ちをどう扱えばいいのか分からなくなりました。

食堂で出されたメモ

食堂に入って向かい合って座っても、彼は料理が来るまでガイドブックを開いていました。私はそこで、とうとう言ってしまいました。「旅行中ずっとそれ見てるね」

彼はガイドブックを閉じ、間に挟んでいた紙をテーブルに置きました。「ここに来たかった理由がある」と言って見せてくれたのは、手書きのメモでした。

そこには地名や施設の名前が並んでいました。彼の祖父が亡くなる前に書き残した、行ってみたかった場所のリストだと彼は話しました。代わりに自分が回りたくて、この旅先を選んだのだそうです。

そして...

理由を聞いて、彼がただ予定を詰め込みたかったわけではないと分かりました。でも、展望台で1人になったことも、街で置いていかれたことも、すぐには消えませんでした。

「そういうことなら、最初に言ってほしかった。そしたら私も同じ気持ちで歩けたのに」と伝えると、彼は「ごめん、うまく話せなかった」と言いました。

そのあと、2人でメモに残っている場所を地図で確認しました。隣で同じページを見るのは、その日初めてでした。大事な場所を回りたいなら、先に分けてくれればよかったのです。旅は、1人で背負うより、2人で歩いたほうがきっと覚えていられるのだと思いました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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