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父親の看取りで残った後悔と罪悪感。「緩和ケアナース」の言葉から見つめ直す、大切な人との最期の時間の過ごし方【書評】

  • 2026.7.8

【漫画】本編を読む

「もっとできることがあったんじゃないか」。どんなに手を尽くしたとしても、大切な人を看取るときはこう考えるだろう。『大切な人が死ぬとき ~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~』(水谷緑/竹書房)は、その後悔と正面から向き合い、残された思いを綴った作品だ。

まだまだ元気でいると思っていた父親が、ある日突然、末期の膵臓がんと診断される。著者の水谷緑氏と家族はその現実を受け止めきれないまま、告知から数カ月後、延命治療の末に父親を見送ることになる。それから数年が経っても、水谷氏には「あのとき、もっとこうしていれば」という後悔と罪悪感が残り続けていた。どんどん衰えていく父親に、どんな言葉をかければよかったのか、わからなかった自分を責め続けてしまう。

そんな彼女が頼ったのが、終末期の患者と家族を支える専門職「緩和ケアナース」だった。彼女が話すのは「正解」ではなく、後悔を抱えたまま立ち止まっている人の心に寄り添う言葉だ。看取る側はつい「何をしてあげるべきか」「この選択は正しいのか」などと考えがちだ。しかし本当に大切なのは、愛する人が残された時間の中で「どう生きたいか」を知ることだという。

例えば、水谷氏の父親が病室で震える手で新聞を読もうとする場面がある。闘病中にすることなのかと思う行為だが、彼にとってかけがえのない「日常」であり、最後まで手放したくない「自分らしさ」だった。緩和ケアとは単に心の痛みを和らげることではなく、その人が残された時間を、その人らしく過ごせるよう支えることだとわかるだろう。

「死に向かう過程を見届けること」は、その人の生き方を最後まで尊重するための、ひとつの愛のかたちなのかもしれない。本書は、いつか必ずやってくる別れを後悔で終わらせないための「予習」のための一冊だ。そして読み終えたあと、大切な人の手を強く握りしめたくなるはずだ。

文=つぼ子

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