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「布団干してるんで今日はやめてください」BBQの煙に迷惑していた。だが、普段は温厚な夫の一言で状況が一変

  • 2026.7.5
「布団干してるんで今日はやめてください」BBQの煙に迷惑していた。だが、普段は温厚な夫の一言で状況が一変

風下のわが家の週末

新築が並ぶ新興住宅地に、私たち家族は越してきた。

隣家との距離は、わずか一メートルほどしかない。

その隣家が、毎年五月から秋にかけて、天気のいい週末になると庭でバーベキューを始めるのだった。

「またあの匂いが来る」

わが家はちょうど風下にあたる。煙と脂の匂いが、干した布団や洗濯物にまっすぐ流れ込んでくるのだ。

バーベキューの気配を感じるたび、私は慌てて家じゅうの窓を閉め、干したばかりの洗濯物を取り込んだ。

せっかくの晴れた週末が、そのたびに台無しになる。

「せめて一言あってもいいのにね」

私がこぼしても、夫はいつも穏やかに笑うだけだった。

もともと争いごとが苦手で、めったに声を荒らげない人なのだ。

(この人が隣に文句を言うなんて、きっと一生ないんだろうな)

そう思っていた、ある晴れた週末のことだった。

温厚な夫が動いた日

その日も私は、朝から布団と洗濯物を目いっぱい干していた。

すると隣家の庭で、また例のごとく椅子が並べられ、炭を熾す準備が始まった。

(ああ、今日もか)

私がため息をついて窓に手をかけたとき、夫がふいに立ち上がった。そのまま庭に出て、まっすぐ隣家との境まで歩いていく。

「布団干してるんで今日はやめてください」

穏やかな、けれどはっきりとした声だった。普段のんびりした夫からは想像もつかない、きっぱりとした一言。

炭に火をつけようとしていた隣家のご主人が、手を止めてこちらを見た。

「あ……いや、その」

ご主人の顔から、みるみる余裕が消えていく。何か言い返そうと口を開きかけ、けれど言葉が続かない。しばらく目を泳がせたあと、ばつが悪そうにうつむいた。

「……すみません。今日はやめときます」

結局その日、隣家のバーベキューは中止になった。並べた椅子も炭も、そそくさと片付けられていった。

私は思わず、干したままの布団を見上げた。煙に追われず、日なたの匂いのままの布団だった。

ほとぼりが冷めたらまた始まるだろう。そう思っていたのに、それきり隣家が庭で肉を焼くことはなくなった。あれから五年、わが家の週末はすっかり静かなままだ。

後日、同じく風下だった裏のお宅の奥さんが、わざわざお礼を言いに来た。「あの煙、実はうちも困っていたんです」と、ほっとした顔で打ち明けられた。煙を我慢していたのは、わが家だけではなかったらしい。

「たった一言で、変わるものなのね」

私が言うと、夫は少し照れくさそうに笑った。今では道で会えば、隣家のご主人のほうから気まずそうに会釈してくる。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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