1. トップ
  2. 住まい
  3. 新居購入も「夜中も車が出入りして…」3年後、目の前の空き地に異変…30代夫婦を襲った“誤算”【一級建築士は見た】

新居購入も「夜中も車が出入りして…」3年後、目の前の空き地に異変…30代夫婦を襲った“誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.4
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

「家の前は空き地で、静かな環境が気に入って買ったんです。それが先日、コインパーキングに変わって。夜中も車が出入りして、ライトが寝室に差し込んだり、エンジン音で目が覚めたり…」

そう話すのは、3年前に閑静な住宅街の戸建て(4LDK・延床約33坪/土地約45坪、約4,800万円)を購入したMさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。向かいの空き地は長く更地のままで、まさか駐車場になるとは思っていなかったといいます。

「静かさは、ずっと続くものだと思い込んでいました。でも、よその土地のことなので、やめてほしいとも言いづらくて」とMさんは振り返ります。

「向かいの土地の使い道」は、基本的に止められない

まず知っておきたいのは、自分の土地の使い道は、その所有者が決められる、という点です。

意外に思われるかもしれませんが、低層の住宅が並ぶ閑静な地域でも、青空のコインパーキング(屋根のない平面駐車場)は設けられます。建築のルールでは、屋根と柱、または屋根と壁のある建物が規制の対象となりますが、屋根のない平面の駐車場は、そのどれにも当たりません。そのため、自治体独自の条例などがない限り、住宅地の用途のルールに必ずしも縛られません。つまり、向かいの空き地がある日コインパーキングに変わることは、ルール上は十分にありうることなのです。

適法である以上、近隣が「やめてほしい」と思っても、基本的にそれを止めることはできません。住環境は、自分の家を建てて終わりではなく、周りの変化によって変わっていくものだ――この前提を持っておくことが、まず大切になります。

気になるのは「音」と「光」、そして「時間帯」

コインパーキングで、近隣の生活に影響しやすいのが「音」と「光」です。

音は、車の出入りやドアの開け閉め、エンジンをかけたままの待機(アイドリング)、利用者の話し声などです。とくに、コインパーキングの多くは24時間利用できるため、深夜や早朝にも出入りがあり、静かな時間帯ほど音が気になりやすくなります。光は、出入りする車のヘッドライトが家の中に差し込んだり、料金の精算機や看板の明かりが夜通しついていたり、といったものです。

これらは、住宅街の静けさや暗さに慣れているほど、変化として大きく感じられます。「昼間は気にならないのに、夜になると落ち着かない」というのは、時間帯による感じ方の違いによるものなのです。

Mさん夫婦はどう対応したのか

戸惑ったMさん夫婦は、まず自分の家の側でできる工夫から始めました。

寝室のカーテンを遮光性の高いものに替え、ヘッドライトの光が直接入らないようにしました。そのうえで、駐車場の看板に記載されていた運営会社にも連絡し、「アイドリングを控える表示を増やせないか」「照明の向きを調整できないか」と、相談だけはしてみたそうです。

「すべてが解決したわけではありません。深夜のドアの音などは、どうしても残ります。それでも、できることをして、運営会社にも伝えられたことで、少し気持ちの整理がつきました」とMさんは振り返ります。

家を買うときは「周りの土地」まで見て選ぶ

戸建ての購入を検討する際は、その家だけでなく、周りの土地が将来どうなりうるかも、想像しておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・家の周りに空き地や古い建物があり、将来用途が変わる可能性がないか
・寝室や子ども部屋が、道路や駐車場になりうる側に面していないか
・気になる音や光に対して、遮光や防音などの手を打てる間取りか

「今の静けさ」だけでなく「これから」も想像して

住宅街の静けさや見晴らしは、住まいの大きな魅力です。一方で、それは周りの土地の状況に支えられた、変わりうるものでもあります。

大切なのは、「今が静かだから、ずっと静か」とは限らないと知っておくこと。そして、変化が起きたときは、感情的にぶつかるのではなく、自分の家でできる工夫を講じつつ、運営者に相談できることは伝えてみることです。

「今の環境」だけでなく、「これから変わるかもしれない環境」まで想像すること。それが、住まいと長く付き合っていくための第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる