1. トップ
  2. ミシュラン三つ星、2度のアジアNo.1レストランに輝く「Odette(オデット)」

ミシュラン三つ星、2度のアジアNo.1レストランに輝く「Odette(オデット)」

  • 2026.7.1
Photo:Odette

連載第14回で紹介するのが、シンガポールのミュージアム、ナショナルギャラリー内にある「Odette(オデット)」 です。2019年からミシュラン三つ星、アジアのベストレストラン50で2019年、2020年にアジアNo.1に輝くレストランです。昨年10周年を迎えたのを機に、大規模なリノベーションを決行。昨年12月に生まれ変わった新しいオデットをご紹介します。

故郷の豊かな自然と、旅を通して育まれた「懐かしく新しい」味

ジュリアン・ロワイエシェフ Photo:Odette

フランス中南部、オーベルニュ地方の農家の4代目として生まれ、ほぼ自給自足の子供時代を送ってきたというジュリアン・ロワイエシェフ。オーベルニュ地方の名店「ミッシェル・ブラス」などをへて、料理学校でのクラスメイトだった妻、アグネスさんと共にカリブ海やポリネシアなど、世界各地でキャリアを重ねたあと、2008年にシンガポールへ。セントレジス・シンガポールのフランス料理店、2011年からはスイスホテル内のファインダイニング「Jaanジャーン」のシェフを務め、2015年に自身の店「オデット」をオープン。多国籍国家のシンガポールで、旅から得た世界の料理のインスピレーションも取り入れた、モダン・フレンチで多くの人を魅了してきました。

祝10周年、リノベーションと世界でのポップアップで第二章へ

壁にはシンガポール人アーティスト、ドーン・ンによる、自然のリズムにインスピレーションを得た作品が飾られている Photo:Odette

オデットが位置するのは、100年ほど前、英国の植民地時代に建てられた歴史的建造物のナショナルギャラリー内、その名は料理上手だった祖母の名前にちなんでつけられました。開店10周年を祝して今回行われたリノベーションは「祖母の家に帰ってきたような温かさを」というコンセプトはそのままに、どこか可愛らしさのあった以前のデザインから、成熟を表すイエローベースでよりシンプルに、テーブルを一つ減らし、パーソナルなスペースはより広く、開放感を感じる室内に。

Photo:Odette

また、3ヶ月に渡ったリノベーションの期間中、ロワイエシェフはチームと共に、世界各地でポップアップイベントを開催。世界を旅した若かりし日のように原点に戻り、新たな旅からもインスピレーションを得て、そのクリエイションもさらにパワーアップして新たなスタートを切りました。

未来のノスタルジーを表現する料理の数々

Photo:Odette

ロワイエシェフの料理の特徴は、「未来志向のノスタルジー」ともいうべき、モダンでありながら、どこかノスタルジックなフランス料理のクラシックな側面を保っていること。

たとえば、「セヴェンヌオニオンのミルフィーユ」。「サヴォワ・フェール」と呼ばれる職人技を大切にするフランス料理では、トリュフの薄切りを使ってミルフィーユのような繊細な層を生み出す料理は伝統的に存在しますが、ロワイエシェフはその甘みで知られる南仏・セヴェンヌ産の玉ねぎの層を一枚一枚丁寧に剥がし、トリュフの代わりに日本の海苔を挟み、美しいレイヤーを作って焼き上げ、煮詰めたヴァン・ジョーヌに鰹節をインフューズしてスモーキーな香りを加えたソースを添えています。

Photo:Odette

今フランスを始め世界から注目される、アジアの旨みを活用したスタイルを遺憾無く表現しています。このほかにも、「チリクラブ」や「チキンライス」など、シンガポール料理にインスピレーションを受けた料理も誕生しています。

■Author's eye

Photo:Kyoko Nakayama


オデットの特筆すべき点の一つは、チームの層の厚さ。2007年、オデットのオープン前から共に働くラヴィン・ラウエグゼクティブシェフを筆頭に、アダム・ワンヘッドシェフ、イエオ・シェン・ション料理長、ワインディレクターのヴィンセント・タンさんなど、中心メンバーはオデットのオープニング以前からロワイエシェフとともに働く顔ぶればかり。さらに嬉しいニュースとして、今年のアジアのベストレストラン50では、ヘッドソムリエのレスリー・リウさんがアジアのベストソムリエに輝きました。(ワインペアリングも非常におすすめです)

7月10日にはシンガポール初の「ティファニー・ブルーボックス・カフェ」の監修もスタート、今後はベーカリーの展開も考えているそうで、新たなオデットから広がる展開に、ますます注目です! その世界観の余韻に浸りたい方は10周年を記念して出版された本「Odette」を、お土産に買って帰ることをおすすめします。

■Odette

1 St Andrew's Rd, #01-04 National Gallery, Singapore 178957

【Profile】仲山今日子- KYOKO NAKAYAMA-

Photo:Kyoko Nakayama

ニュースキャスターとして日本のテレビ局で15年以上勤務した後、シンガポールのテレビ局に転職。並行してシンガポール国営ラジオ局で、DJとして食とアートの番組を担当。『THE BUSINESS TIMES』『TATLER』『日本経済新聞』など、国内外の新聞、雑誌で執筆を行う。『WORLD RESTAURANT AWARDS』では、シンガポール代表の審査員を務める。その他、実名・匿名で国内外の多くのレストランの審査を行う。リシェスにて「至福の食体験」連載中。

※この記事は2026年7月1日時点のものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる