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還暦パリから3年。63歳ひとり旅で変わったこと【中道あんさん】

  • 2026.7.1

還暦パリから3年。63歳ひとり旅で変わったこと【中道あんさん】

「人生100年時代」と言われる今、50代後半から60代は、これからの時間をどう過ごそうかと考え始める頃。まだまだ先は長い。だからこそ、のんびり隠居はもう少し先にとっておいて、今のうちに“できること”を始めておきたいものです。トップブロガー中道あんさんが今回語るテーマは、60代ひとり旅で「やめたこと」「外せないこと」。

台風の影響で丸一日飛行機が遅延!

60代になってから、旅支度で最初に確認するのは、パスポートでも天気でもありませんでした。「今日、ちゃんと歩けるかどうか」だったのです。5月の末から6月のはじめにかけて、ヘルシンキとウィーンへひとり旅してきました。ところが、出発前日に腰痛が悪化。階段を上がるのが辛くて、「これは、さすがにキャンセルかもしれない」と思ったほどでした。

ところが翌朝、恐る恐る起き上がってみると、前日よりずっと体が軽かったのです。「行けるかもしれない」そう思った私は、予定通り羽田空港直結のホテルへ向かったのです。

宿泊代もかかるし、時間効率だけ考えれば、決してコスパやタイパが良いとは言えない。

それでも今振り返ると、この“前日にしっかり休む”という選択が、今回の旅ではかなり大きかった気がします。

さらに、ヘルシンキまでの長距離フライトは、JALのマイル(特典航空券)ビジネスクラスをゲットしていました。機内では映画は観ずに横になってゴロゴロと過ごす。おかげで、ヘルシンキに到着したときには、スタスタと誰よりも早く歩いていました。ポイ活は贅沢をするためとかではなく、自分の体と財布を守るためですね。

若い頃の私は、「旅は気合いで行くもの」だと思っていました。でも63歳になった今は、無事に帰ってこられることが、旅の大切な要素になっています。というのも、帰国日の朝、日本で発生した台風6号の影響で丸一日飛行機が遅延することに。今度は、帰れるかどうか、それが問題になったのです。でも、帰れなかった日が、一番ウィーンを楽しむことができた。というギフトの方が大きかったですけどね。

今回は、はじめてのウィーンでした。

その街並みは、「人が暮らしている気配」はあるのに、雑多な看板がほとんどない。街全体が静かに整えられていて、歩いているだけで気持ちが落ち着きます。

「パリの華やかさとはどこか違うなぁ。でも、とっても上品」そんなことを考えながら街ブラを楽しみました。

旅の目的が美術館巡り。「接吻」で知られる、ウィーン世紀末を代表する画家クリムト。そして、クリムトに才能を見出された若き画家エゴン・シーレ。ふたりの作品をじっくりと鑑賞していくうちに、私は、「その人の人生そのもの」を見ていたのかもしれません。

ロマンチックなのにどこか不穏なのです。幸福だけで終わらない気配が、作品の奥に見え隠れしたような気がします。それが、ハプスブルグ家のフランツ・ヨーゼフ一世とエリザベートの劇的な恋愛結婚と皇帝一家としての葛藤の物語。ハプスブルグ帝国が崩壊へ向かっていった時代背景とともに、どこか重なって見えました。

「ばらまき土産」をやめてみた

さて、旅から戻って、時差ボケから回復すると、やることは旅行費用の精算です。現地で使ったレシートとクレジットカードの明細を照らし合わせます。

3年前のパリは自分に贈る還暦祝いなので、100万円という枠の中で思い出に残る旅を作りました。10泊(105L)サイズのスーツケースの中にパンパンにお土産を詰め込み、まだ足りずにボストンバッグにも荷物を詰め込むほどでした。現地のガイド代、ツアー料金、タクシー代や飲食代、お土産代だけで50万円も使いました。あれは、一生一度の贅沢です。

今回は、機内持ち込みサイズ(32L)のスーツケース一つ。タクシーには一度も乗らず、徒歩か電車やトラムを利用。「せっかくここまで来たんだから買う」という考えをやめて、「ほんとうに欲しいかどうかで選ぶ」。すると、ほとんどのものが、「別に要らない」と思うようになりました。自分が欲しくもないものを「人にあげるのもどうか」と思うと、行ってきた記念の「ばらまき土産」をもうやめることに。すると、お土産探しに時間を取られなくなりました。

逆に良かったことは、街歩きで疲れたらすぐに戻れる、立地の良いホテルに宿泊。ありがたいことに、ホテルの会員特典を使って、朝食は無料。歩き疲れたら、ホテルに戻って、バーでビールを1杯サービスしてもらったりと、小さなギフトを受け取って、喜んだりしました。3年前のパリでは、ホテルを出たら戻って休憩するなんて、発想すらなかったのですが、ランチを挟んでしばらく部屋でゴロゴロするのも、いい時間でした。

パリのひとり旅と比べて、かなりのサイズダウン。
それでも、幸福度ってまったく変わらないんです。それを、知れたことだけでも良かったです。

「やっぱりポイ活は外せません」

最後に、今回の旅費をざっくりご紹介します。飛行機が遅れた影響で1泊滞在時間が伸びたので、ヘルシンキとウイーンで6泊8日の旅。

航空券は、JALやANA、フィンエアを利用し、マイルも活用して約23万円。

ホテルは、羽田、ヘルシンキ、ウィーンで計7泊。ポイントや会員特典も使い、約27万円でした。あとから、台風でやむを得ず延泊したホテル代の弁償費用としてANAから200€が戻ってきます。

6日間の交通費、カフェ、レストラン、美術館、お土産代で、総額:10万円。合計60万円でした。私としては50万円以内に収まって欲しいと思っていたのですが、延泊したことや、ホテル代が高くなっていることも原因です。なんたって3年前のパリでは1ユーロ158円前後。現在よりも30円近く円高だったんですから。どんな支払いも円の弱さを感じてしまいます。

そんなある午後のこと、たまたま通りに面したテーブルでラーメンを食べている人を見ちゃったんです。「あっ、美味しそう~」と思って通り過ぎたのですが、どうしても黒い醤油だしのインパクトが頭から離れず、戻って私もその人と同じラーメンを食べました。炭酸水を1本つけた金額が、3900円でしたもん。麺を啜りながら「日本じゃ絶対に流行らんわ……」と思いつつも、醤油スープは胃袋に沁みました。日本のラーメン屋さんが本気で海外に進出したら、絶対に長蛇の列だと思うんだけどな……。

今回の旅の方が節度ある使いかたをしているのに、思ったより高いのは円安の影響がかなり大きいんだなって思いました。若い頃のように、「たくさん持ち帰る旅」ではなくなりました。自分の体をいたわりながら、好きな景色をゆっくり味わう。そんな旅も悪くないなと思っています。そのために、やっぱりポイ活は外せません。

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