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【博多】客室がミュージアムに!『永井敬二コレクション』に耽る特別な一夜

  • 2026.6.28

皆さん、こんにちは。リビングふくおか・北九州Web地域特派員のkurinaです。夏至を迎え、いよいよ本格的な夏が始まりました。屋外イベントや、美術館・博物館での特別展が増えるこの季節。そんな中、“ホテルでアートを愉しむ”という少し特別な体験はいかがでしょう。

出典:リビングふくおか・北九州Web

福岡市博多区にある「BUNSHODO HOTEL」では、『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』特別展示企画が7月31日(金)まで開催されています。期間中は、なんと客室そのものがミュージアムに生まれ変わるというユニークな試み。会場となる「BUNSHODO HOTEL」には、一般来場者が鑑賞できる展示室と、宿泊者だけが体験できる客室展示の二つの空間が用意されています。作品を“鑑る”だけでなく、その世界観に包まれて過ごすことができる、インテリア・アート好きには堪らない企画です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

今回は特別に、その“客室ミュージアム”での宿泊体験をさせていただくことに。インテリアデザイナーであった故・永井敬二氏が魅了され蒐集した、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションアイテムをはじめ、デザイン書籍を“鑑て”、“感じる”ことができる貴重な時間です。試泊が決まってから、楽しみで仕方がなかった今回の取材。極上のアート体験を、皆さんにお届けします。

出典:リビングふくおか・北九州Web

『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』とは

2024年に逝去されたインテリアデザイナー・永井敬二氏が、生涯を通して蒐集してきた約25,000点のコレクション。その中から、MoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションにも所蔵されている作品を中心に、およそ40点が展示されているのが今回のコレクション展です。この展示がどのような背景で企画されたのか―。その意図を探るべく、展示企画・監修に携わった方々にお話を伺いました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」

~永井氏は近代美術のどのような点に魅了されたのでしょうか。特に心を動かされた作品や作家があれば教えてください。

「永井氏は近代美術よりも、”近代に生まれたデザイン、工業製品”に強く魅了されていました。永井氏が魅了されたニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションアイテムやデザイン書籍を中心に紹介しています。彼は有名だから集めるのではなく、そのモノが持つ思想や美しさに惹かれて集めていました。デザイナーの名前を超えて、本当に良いものを見抜く審美眼を持っていたのだと思います。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

1Fフロント横ではグッズの販売も。

「これよかろう!」が口癖だったという永井氏。ひとたび心を奪われる作品に出合えば、世界のどこであっても、現地まで足を運ばれていたそうです。きっと”好きなもの”に対する瞬発力や感度の次元が、とても高い方だったのでしょう。

~その美意識は、永井氏のインテリアデザインにどのように反映されていたのでしょうか。具体的なエピソードがあれば伺いたいです。

「永井氏は、”空間を飾る”というより、”モノ同士の関係を編集する”ようにインテリアを考えていました。実際に永井氏の空間には、有名なデザイナーの製品と無名の品が自然に共存していました。価値の基準は価格や知名度ではなく、そのモノが持つ本質的な魅力だったのです。MoMAのコレクションも有名なデザイナーの製品からアノニマスな無名な品までコレクションされています。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」何とも言えない表情をしたElephant(象)がとても印象的。

この“編集”という視点は、今回の展示が「BUNSHODO HOTEL」で開催されている理由にも深く関わっているようです。かつてこの地で長く親しまれてきた書店「文照堂」の、“本と人とをつなぐ”という役割を受け継ぎながら、そこに“泊まる”という価値を再編集したのがこのホテル。そのコンセプトと永井氏の美意識が響き合い、今回のコレクション展の開催へとつながったそうです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」実際に使用可能な椅子やテーブル、書籍も展示作品の一部です。

~今回の展示構成には、永井氏の美意識をどのように反映されていますか。展示の意図やポイントがあれば教えてください。

「『20th Century Design from the Collection of The MoMA』という本があります。この本に掲載されている製品を元に展示構成しました。永井氏にとって大切な一冊です。この本との出会いをきっかけに、彼はデザインの魅力に引き込まれていきました。MoMAコレクションはデザインを学ぶための大切な手がかりとなりました。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」

「今回の展示で大切にしたのは、”作品を並べること”ではなく、”永井氏がどのようにデザインと向き合っていたのか”を体験していただくことです。来場者には、永井コレクションに触れ、体感いただく時間を味わっていただきたいです。小さなデザインミュージアムをコレクションに座りながら独占できる贅沢な時間。永井氏がどのように学び、どのような視点でモノを見ていたのかを辿っていただきたいと考えています。また、デザイン史を解説する展示というよりも、”なぜこのモノに惹かれたのだろう”と自分自身に問いかける展示になればと思っています。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」

実際に読んでいたデザイン書籍の中に、今まさに目の前にある展示作品を見つけて、まるで探し物が見つかったような気持ちになりました。思わず心が弾みました。こうした“体験としての鑑賞”こそが、この展示の魅力なのだと感じます。

客室ミュージアムでアートを感じる静かな夜

『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』の魅力をじっくりと伺ったあとは、いよいよアート空間で過ごす夜のはじまりです。MoMAのコレクションアイテムの造形美は、”本に泊まる”というホテルのコンセプトと相まって、とても静謐な夜を演出してくれます。今回この客室で展示を行うことになった背景、また客室展示ならではの魅力や難しさについても、お話を伺いました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」ドアを開けた瞬間に現れた木目の美しいスツール。

「興味関心のある製品を体感することを永井氏は大切にしてきました。永井氏のコレクションをより体感できる展示空間として、実際の暮らしに近いホテルの客室を選びました。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」

永井氏が実際に愛用してきた椅子やテーブルは、年月を重ねて更に趣が増しているかのよう。宿泊するこちらも、ちょっと背筋が伸びる気がします。

「客室展示の最大の魅力は、一人ひとりが永井敬二氏の世界観を独占できることです。ホテルの一室というプライベートな空間の中で、名作デザインや書籍に囲まれながら過ごす時間は、多くの人と作品を共有する展示とは異なり、自分だけのペースでデザインと向き合える時間はとても贅沢で貴重なものです。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」左:Goblet Glass、Wine Glass、Champagne Glassはどれも1920年製 右:Cup & Saucerは1927年製

二段ベッドの下段を取りはずして展示空間に。すでに100年を経過し「どうやって実現できたのだろう?」と、ため息がでるような薄さと、美しい曲線を兼ね備えたシャンパングラスが、そこには展示されていました。

※宿泊した客室には二段ベッドが2セットあり、展示期間中はそれぞれの下段が、展示空間になっています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」

「その静かな時間の中で、モノの背景やデザイナーの思想、そして永井氏が見ていた景色に思いを巡らせていただけたら嬉しく思います。今回の会場であるBUNSHODO HOTELは、かつて地域の文化を支えた書店「文照堂」の記憶を受け継ぐ場所です。永井氏のコレクションもまた文化の記憶です。その二つが交差することで、単なる展示ではない体験が生まれると考えました。一方で、限られた空間の中で展示と居心地の良さを両立することは簡単ではありませんでした。しかし、その難しさこそが、生活の中でデザインを体験するという永井氏の思想に近づく方法だったと思っています。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

19冊のうち、NO.1、4、18はすでに販売済み(フロントで購入可能です)。

ちょうど6周年を迎えるBUNSHODO HOTEL。6周年記念体験のひとつ、“05. Blind date with a book : KIROKU[Piece]”として、同い年である2020年に発行された本の中から、スタッフ選りすぐりの19冊が、タイトルや装丁を隠された形で販売されています(7月19日まで)。本に対するコメントや、スタッフの皆さんのアドバイスを受けて、2冊の本を購入。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」ゆったりと寛げるAluminum Lounge

「椅子やテーブルは好きなように使ってくださいね」というお言葉に、読書用に空間をカスタマイズ。日常を送るためのデザインを、読書を通して体感させていただくことに。シンプルなラインが見た目にも美しいAluminum Loungeは、ゆったりと体を支える柔らかさも兼ね備えていて、集中して読書を楽しむ時間を与えてくれました。

本を読むという非現実的な空想の時間と、顔をあげれば目の前に広がるアート空間。その行き来が生む、不思議で心地よい感覚に包まれました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」

夜の暗闇が深まるごとに、ライトに照らされている作品そのものの彩りや、見え方が変化していきます。こういう移り変わりを愉しむことができることも、宿泊体験の醍醐味ですよね。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」

そんな作品たちに、永井氏はどんな理由で惹かれてきたのでしょう。私が体験して感じたのは、暮らしに溶け込む洗練さと心地よさ。到底使いこなせないであろうと思う極薄のシャンパングラスでさえも、鑑賞しているうちに、あのグラスにシャンパンが注がれたら「どれほど美しく、美味しく感じられるだろう」と、自然と“使う姿”を想像してしまう不思議さがありました。

私にはそれこそが、この展示の魅力のひとつに思えたのですが、皆さんならどう感じるのでしょう。とても素敵な一夜でした。

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」

~最後に来場者の方に向けて、『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』を通してどのような体験を届けたいのかをお伺いしたいです。

「まずはデザインコレクションに触れ”デザインを身近に感じる体験”を持ち帰っていただきたいと思っています。永井氏のコレクションは約25,000点に及びますが、その根底にあるのは”良いモノとともに暮らす喜び”でした。この展示では、作品を鑑賞するだけでなく、永井コレクションを通して、その思考や情熱に触れていただけます。そして帰る頃には、 ”自分の家にも好きな椅子を一脚置いてみたい” ”長く使えるモノを選びたい” ”暮らしの中のデザインをもっと楽しみたい” そんな気持ちになっていただけたら嬉しいです。」

出典:リビングふくおか・北九州Web

―デザインを知る「ライブラリー+展示」

また、実際にご案内いただいた企画担当の方は「ここ福岡に、これだけのコレクションが眠っていることを知っていただき、ここでしか味わえない特別な空間を愉しんでほしい」とも話されていました。

『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』 ■期間:2026年5月12日~7月31日(金)まで ■会場:BUNSHODO HOTEL ■住所:福岡県福岡市博多区博多駅前2-12-13 ■電話:050-1724-2006 ■営業時間:不定休 11:00~19:00 ■website: www.ncollection.info ■presented by: K&DESIGN COLLECTION

―デザインを知る「ライブラリー+展示」 ■対象:一般(12才以上) ■入場料:1,200円(1ドリンク付) ■制限時間:30分 ※事前予約が必要です。

―名作とともに過ごす「ホテルステイ+展示」 ■対象:宿泊者のみ ■宿泊料:40,000円〜/日 ■備考:展示室入場無料 ※宿泊者のみ入場可能です。

モーニングをいただきました♪

素敵な一夜を過ごしたあとは、お洒落なホテルモーニングで一日の始まりです。1Fにあるカフェ「TIMEZ ESPRESSO BAR &」では、7:30~10:00の間、『その日のキッシュとドリンクセット』(850円・税込)をいただくことができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

ジャガイモ・きのこ・ベーコンのキッシュ、ホットコーヒーとともに。

サクサクの生地に、ほくほくのジャガイモ。シンプルな味付けは朝にぴったり。

出典:リビングふくおか・北九州Web

軽やかに朝のスタートをきれるモーニングセットでした。

6周年記念として♪

ウェルカムドリンクや、『―デザインを知る「ライブラリー+展示」』の1ドリンクとして、通常のドリンクメニューに加えて、今しか味わえない特別なドリンクの提供もされています ”04. Original drink : KIROKU [Hidden]”。

出典:リビングふくおか・北九州Web

Special Drinksの中から、スタッフさんにおすすめいただいた『ラズベリー tea soda』(600円・税込)を、ウェルカムドリンクとしていただくことに。

出典:リビングふくおか・北九州Web

ふわっと広がるラズベリーの香りと甘酸っぱい風味が優しいドリンクでした。

「BUNSHODO HOTEL」では、6周年を記念して”6th Anniversary Specials ― 6 Memories & ”と題した、6つの小さな体験が用意されています。なかでも “04. Original drink : KIROKU [Hidden]” や “05. Blind date with a book : KIROKU[Piece]” は、今回の展示とも親和性の高い特別な企画です。

ご興味のある方はぜひ、『蒐集家 永井敬二のMoMAコレクション展』の鑑賞と併せて、足をお運びください。

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