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朝ドラ『あまちゃん』共演から9年「誰も敵わない境地だった」性別を超えて演じた“自伝エッセイ”原作映画の主人公

  • 2026.8.4
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のん(C)SANKEI

現在放送中のフジテレビ系 水10ドラマ『Tokyo middle 30』に出演しているのんが、2022年に主演した映画『さかなのこ』。原作は、魚類学者でタレントやイラストレーターとしても活躍しているさかなクンの自伝的エッセイで、のんはさかなクンを演じている。

本作の沖田修一監督は、さかなクンを描くのに性別はそれほど重要ではなく、のんがピッタリだと思ったという。SNSには「のんさんの瞳の輝きや純粋な佇まいはさかなクンそのもの」「性別はどっちでもいい。境界線のない優しさに感動した」といった声が。“好き”を追求する主人公の想いの強さは、観ていて元気をもらえる。ハートフルで癒やされる、素敵な映画『さかなのこ』の魅力を紹介したい。

のん主演、2022年公開映画『さかなのこ』

『南極料理人』『キツツキと雨』『横道世之介』など、温かな目線で描かれる映画を送り出してきた沖田修一監督。2026年9月18日には、最新作『さとこはいつも』が公開予定だ。『さかなのこ』にも、沖田監督作ならではの魅力がたくさん詰まっている。

小学生のミー坊(西村瑞季)は、お魚が大好きで、いつもお魚のことばかり考えている。父・ジロウ(三宅弘城)は、ミー坊がほかの子どもと違うことを心配しているが、母・ミチコ(井川遥)はミー坊のすることを全て肯定し、応援し続けている。

常に母が背中を押してくれたおかげで、のびのびと育ったミー坊(のん)は、高校生になっても、相変わらずお魚に夢中。ある時、不良グループがミー坊に絡んでくるが、ミー坊は飄々としており、釣ったお魚をさばいてご馳走したりするうちに、すっかり仲良くなる。

高校卒業後、ミー坊は一人暮らしを始め、水族館に就職するが、大好きなお魚に気を取られて仕事にならず……。転職しても同じような状況が続き、悩んでしまうミー坊。でも、“お魚が好き”という強い想いを貫き続けるうちに、たくさんの出会いが訪れ、ミー坊ならではの“道”が見つかり、マイペースに進んでいく。

本作を鑑賞した人からは「とにかく優しくて温かい」「安心して観られる」という前向きなコメントが多数上がっている。「自分の“好き”も肯定された気がして涙が出た」「ミー坊の“好き”を純粋に貫き通す姿に励まされた」など、共感の声も。また、「温かさに心が浄化される」「この映画ののんさんは、誰も敵わない境地だった」といった感想も見られ、筆者も何度でも観たい作品だと感じた。

ミー坊は周囲を変えてしまう“主人公”

ミー坊の周りには、いつの間にか人が集まってきて、“主人公”のような中心人物になるのが面白い。高校時代、敵対する不良グループがケンカになった際にも、気づけばミー坊がみんなをまとめる存在となり、敵も味方もなくなって平和な状況に。いがみ合っていた“総長”(磯村勇斗)と“カミソリ籾”こと籾山(岡山天音)も、大人になってからもミー坊と交流が続く友達になる。

不良が集まっている中に、“狂犬”と呼ばれる日吉彰仁(柳楽優弥)が現れるが、彼はミー坊の幼馴染みの“ヒヨ”だということが分かり、あっさりミー坊にやり込められる。その後、ヒヨは不良をやめて猛勉強し、大人になると真っ当な社会人に。ミー坊との友情は続くが、子どもの頃から変わらず、大人になっても全くブレないミー坊を眩しく感じるヒヨ。

もう1人、小学校で周囲から浮きがちだったミー坊をからかったりせず、いつも一緒に遊んでくれた仲良しのモモコ(増田光桜)との、大人になってからの再会も印象的だ。キャバクラで働いていたモモコ(夏帆)は、シングルマザーになり、子どもを連れてミー坊の部屋に転がり込んでくる。詳しくは本編を観ていただきたいが、モモコとの一連のシーンは、純粋なミー坊が“大人の世界”を垣間見るようで、少し心がギュッとなった。

沖田修一監督の真骨頂を堪能できる

子どもの頃や、高校時代に出会った友達と、ミー坊との関係の描き方は、沖田監督作ならではの、楽しいけれど、ちょっと切なさも感じられるのが印象的だ。主演ののんはもちろん、磯村、岡山、柳楽、夏帆らの演技が非常に瑞々しく、SNSの「心が浄化される」といった声に共感する。それぞれ主演を張る人気俳優たちが、のんの脇を支えているのも贅沢な気分を味わえる。ほかにも、NHK大河ドラマや朝ドラ常連俳優の前原滉や、沖田監督ドラマ『探偵さん、リュック開いてますよ』にも出演した三河悠冴らも好演し、良い味を出している。

筆者が特に温かさと切なさを感じたのは、さかなクン本人が登場するシーンだ。さかなクンは“ギョギョおじさん”という役を演じているが、この人物は映画オリジナルのキャラクター。周囲の大人からは“不審者”扱いされてしまうギョギョおじさんだが、ミー坊の人生に大きな影響を与える存在となる。子ども時代のミー坊とギョギョおじさんとの出会い、そして2人の交流には、とても大切なメッセージが込められていると思う。ぜひ、沖田監督の真骨頂を堪能してほしい。

2013年放送のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』劇中の子ども向け教育番組『見つけてこわそう』で、のんとさかなクンが共演したことを思い出し、笑顔にならずにはいられない。のんの出演作には、素敵な映画がほかにもあるので、今後も機会があれば紹介していきたい。まずは、心温まる主演作『さかなのこ』を、配信等で楽しんでいただけたら何よりだ。


出典:映画『さかなのこ』公式サイトより

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X:@KumikoShimizuWP

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