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「アマプラで出逢った」「ガチでおすすめ」唯一無二の“ベテラン女優”が見せた存在感 “根強い人気”をもつ10年前の映画

  • 2026.7.19
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樹木希林(C)SANKEI

日曜劇場『VIVANT』Season2に野崎守役で出演を予定しており、改めて注目を集める阿部寛が、2008年『歩いても 歩いても』、2011年『奇跡』に続き、是枝裕和監督と映画作での3度目のタッグを組んだのが、2016年公開の映画『海よりもまだ深く』だ。

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、ノルウェーの映画祭ではシルバー・ミラー賞(最高賞)を受賞した本作。スケールの大きなドラマではなく、団地の一室を舞台にした静かなホームドラマだが、一度観たら忘れられない余韻を残す。

※以下、作品内容に関するネタバレが含まれます。

「夢見た未来と、ちがう今」を生きる元家族の物語

是枝裕和監督オリジナル脚本による本作のキャッチコピーは“夢見た未来とちがう今を生きる、元家族の物語”。15年前に一度だけ文学賞を受賞した経験を持ちながら、いまだ売れない小説家を夢見る良多(阿部寛)は、探偵事務所で働きながら博打に手を出す日々を送っている。別れた元妻・響子(真木よう子)と息子への未練を断ち切れないまま、母・淑子(樹木希林)が一人で暮らす団地を訪れるある台風の夜。偶然にも響子と息子もそこに集まることになり、元家族が奇妙な一夜をともに過ごすことになる。

真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、橋爪功、樹木希林ら豪華キャストが脇を固め、是枝映画の常連たちが丁寧に世界を作り上げている。SNSでは、「アマプラで出逢った素敵な作品」「ガチでおすすめしたい」というコメントが並ぶほど、いまだに根強い人気を誇っている。

樹木希林という、唯一無二の存在

本作の最大の魅力のひとつが、良多の母・淑子を演じた樹木希林の演技だ。果物を剥きながら娘と世間話をする冒頭のシーンから、すでにそこに“本物の母”がいる。特別なことを言うわけでも、感情を爆発させるわけでもない。しかしその何気ない一言一言が、深く静かに刺さる。「なんでこんなことになったのかねえ」というつぶやきには、息子への愛と人生の重みがにじむ。台詞の量よりも、その間と佇まいで語る演技は、まさに唯一無二と言えるだろう。

また、阿部が演じる良多も本作の大きな求心力となっている。稼いだ金を競馬でさっそく使ってしまったり、ヨリを戻したい元妻に探りを入れようとデートを尾行したり。編集者から、新作漫画の原作小説の執筆を打診されるも、書いてもいない新作を執筆中だと意地を張って断る姿や、姉からお金を借りておきながら母親にお小遣いを渡す姿からは、見栄っ張りな性格がありありと伝わる。挙句には、息子にお金の心配をされる始末だが、情けないながらも憎めない、良多の真っ直ぐではないけれど確かにある愛のようなものが阿部の物言いや佇まいから滲み出ているのだ。

スケールの大きな野崎守役とは対照的な、どこにも行けないダメ男・良多を見返すと、俳優・阿部寛の底知れない振り幅に改めて驚かされる。良多と同じように“なりたかった大人になれなかった”と感じたことのある人なら、この映画はどこか自分事として響いてくるはずだ。そんな本作を、台風が多く襲来する夏の夜に改めて見直してみると、また違った味わいが広がるだろう。


出典:映画『海よりもまだ深く』公式サイトより

ライター:山田あゆみ
映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X:@AyumiSand

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