1. トップ
  2. エピソード
  3. 60代男性「ネットで見たので飲むのをやめました」勝手に服薬をやめた結果…起きた変化に「言えなかった」

60代男性「ネットで見たので飲むのをやめました」勝手に服薬をやめた結果…起きた変化に「言えなかった」

  • 2026.7.9
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

スマートフォンで手軽に健康情報が手に入る時代。薬局の窓口でも「ネットで調べたのですが」と切り出される場面が増えました。

本記事では、SNSで話題のサプリメントを服用中の薬と一緒に飲もうとした50代女性のケースと、ネット記事を見て自己判断で薬をやめてしまった60代男性のケースをご紹介します。

いずれも悪気はなく、むしろ「よくなりたい」という前向きな気持ちからの行動でした。だからこそ、情報との付き合い方を一緒に考えたいと思います。最後には、信頼できる情報源の見分け方と、迷ったときの相談先についてもお伝えします。

はじめに|情報があふれる時代の薬局窓口

薬局の窓口に立っていると、スマートフォンの画面を見せながら「これって、私の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?」と尋ねられる機会がずいぶん増えました。

スマホ片手に来局される患者さんと、薬剤師の役割

かつては雑誌やテレビが健康情報の中心でしたが、いまはSNSや動画サイトで、体験談を交えたコンテンツが次々に流れてきます。

手軽に情報が得られるようになった一方で、その内容が本当に自分に当てはまるのかを確認する機会は少ないままです。

薬剤師の役割は、情報を否定することではありません。目の前の患者さんの体質や服用中の薬に照らして、「その情報がその人にとって適切かどうか」を一緒に考えることだと感じています。

エピソード①「SNSで話題のサプリと一緒に飲みたい」と譲らない50代女性

ある日、慢性疾患で定期的に来局されている50代の女性が、話題のサプリメントの画像を見せてくださいました。

「友人もみんな飲んでいるし、体にいいと聞いたので始めたい」とのことでした。

良かれと思って始めた健康法と、納得してもらうための説明の工夫

そのサプリメント自体は優れたものであっても、含まれる成分が、女性が服用中の薬と相互作用を起こす(飲み合わせが悪い)ことが報告されていました。

効果を強めすぎたり、逆に弱めたりする可能性があり、そのままでは体調に影響が出るおそれがあります。

最初は「大丈夫と書いてありましたよ」と少し不服そうでしたが、なぜ心配なのかを具体的にお伝えし、医師にも相談いただくようお願いしました。

数日後、「先生にも同じことを言われました」と笑顔で報告してくださり、ほっと胸をなでおろしました。

エピソード②「ネットに書いてあった」と自己判断で服用を中止した60代男性

別の日には、以前から通っておられる60代の男性が、いつもより疲れた様子で来局され、「実は数週間、薬をやめていたんです」と打ち明けてくださいました。

数週間後の再来局と、医師にも言えなかった"本音"

ネットの記事で「この薬は長く飲むと体に負担がかかる」といった内容を目にし、不安になって自己判断で中止されたそうです。

しかし、しばらくして数値が悪化し、体調にも変化が出てきたため再来局されたのでした。

「先生に叱られると思って言えなかった」とのことでした。

薬をやめたい、減らしたいという気持ちは決して珍しくありません。それを安心して相談できる関係づくりが、私たちの側にも求められていると感じた出来事でした。

読者へのワンポイントアドバイス|ネット情報とどう付き合うか

ネットの情報は便利な一方で、発信者や根拠がはっきりしないものも少なくありません。

信頼できる情報源の見分け方(公的機関・学会情報など)

厚生労働省や各種学会、製薬会社の公式サイトなど、発信元がはっきりしている情報は、まず信頼の目安になります。

個人の体験談は参考にはなりますが、そのまま自分に当てはめるのは慎重にしたいところです。

迷ったら「まず薬剤師に聞く」が最短ルート

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思う内容でも、遠慮なくご相談ください。

ネットで1時間調べるより、薬剤師に一言尋ねるほうが早く、そして安心できる答えにたどり着けることも多いのです。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる