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「どうして止めてくれなかったの?」窓口業務での忘れられない一言。銀行員が“一番恐れている事態”とは…?

  • 2026.7.14
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。くまえり銀行員です。
今日は、窓口でよく言われるこんな一言についてお話ししたいと思います。

「また確認ですか?」「前にも答えましたよね?」「そんなに何度も聞く必要ありますか?」
銀行を利用している方なら、一度は感じたことがあるかもしれません。

住所、生年月日、利用目的、本人確認書類…。「さっきも確認したのに、なぜまた?」
そう思われるお気持ちは、とてもよく分かります。しかし、その"何度も確認する"という行為には、銀行員が決して省くことのできない理由があります。

同じ質問を繰り返すのは「疑っている」からではありません

銀行員は、お客様を疑いたくて質問しているわけではありません。むしろ逆です。

「本当にご本人なのか」「ご自身の意思で手続きをされているのか」「誰かに指示されていないか」。私たちは短い会話の中で、その一つひとつを慎重に確認しています。

近年は特殊詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺などの手口が巧妙化し、金融機関にはこれまで以上に厳格な本人確認や取引内容の確認が求められています。そのため、職業や取引目的、資金の使い道などをお伺いすることも珍しくありません。大切な資産を守るために、『犯罪収益移転防止法』などの法律や、警察庁・金融庁の指針に基づいて行われている確認です。

窓口では「もう一度確認させてください」とお願いする場面がありますが、その一言の裏には「万が一があってはいけない」という強い思いがあります。

銀行員が本当に見ているのは「違和感」です

実は銀行員同士でよく共有している言葉があります。

「いつもと違うことはないか。」

例えば、いつもは一人で来店されるお客様が、急に見知らぬ人と一緒に来店されている。普段は落ち着いて話される方が、今日は必要以上に焦っている。質問をしても、お客様本人ではなく付き添いの人ばかりが答えている。

一つひとつは何気ないことでも、それらが重なると「何か事情があるのではないか」と慎重になります。

もちろん、それだけで詐欺と決めつけることはありません。しかし、こうした小さな違和感に気付き、もう一歩踏み込んで確認したことで、お客様が詐欺被害を免れたという事例は全国の金融機関で数多くあります。
だからこそ、窓口では同じような質問を何度もすることがあります。

現場で一番怖いのは「確認しなければよかった」ではなく「確認しなかったこと」

銀行では「ヒヤリ・ハット」という考え方を大切にしています。

大きな事故には至らなかったものの、「あの時もう少しで重大なトラブルになるところだった」という事例を職員同士で共有し、同じ失敗を繰り返さないようにしているのです。そのため、一人の銀行員が経験した出来事は、その支店だけではなく、多くの職員の教訓になります。

「あの時、あと一つ確認していれば防げたかもしれない。」

そんな後悔を二度と繰り返さないために、確認項目は少しずつ積み重ねられ、現在の窓口対応につながっています。
お客様から見ると「少し面倒だな」と感じる確認も、現場では過去の教訓の積み重ねなのです。

銀行員が一番恐れているのは、お客様の「後悔」です

窓口で働いていると、忘れられない言葉があります。
「どうして、あの時止めてくれなかったの?」

一度振り込まれたお金は、状況によっては取り戻すことが非常に難しくなります。だからこそ、銀行員は少しでも気になる点があれば確認を重ねます。

その場では「時間がかかるな」と思われるかもしれません。それでも、後日「あの時確認してくれて助かりました」と感謝の言葉をいただくことがあります。その一言があるからこそ、私たちは今日も確認を省略しません。
窓口で何度も質問されるのは、お客様を信用していないからではありません。大切な財産と安心を守るために、確認という最後の砦を守っているからです。

もし次に銀行で「もう一度確認させてください」と言われることがあれば、その質問の先には、お客様の未来の後悔を防ぎたいという銀行員の思いがあることを、少しだけ思い出していただけたら嬉しいです。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


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