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“32歳差”の電撃婚で世間を驚かせた天才声優。「七色の声」の先にあった出会いとは?

  • 2026.7.16
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山寺宏一-2010年12月撮影(C)SANKEI

「七色の声を持つ男」と呼ばれ、アニメから外国映画の吹き替えまで数多くの人物を演じてきた声優、山寺宏一。2021年、人生を共に歩む相手として発表したのは、ラジオ番組で共演していた岡田ロビン翔子だった。長いキャリアの中で積み上げてきた代表作の歩みと、仕事の現場を通じた出会いから結婚までの道のりを、確認できる事実に沿ってたどる。

表情まで浮かぶ「七色の声」

山寺宏一は1961年6月17日、宮城県塩竈市に生まれた。声優・吹き替えの世界における第一人者であり、多彩な役柄をこなすことから「七色の声を持つ男」と称されてきた。この異名が意味するところは重い。声優という仕事は、姿を見せないまま声だけで人物を立ち上げる職業である。「七色」と形容されるということは、まったく質の異なる人物を、それぞれ別の演者が演じているかのように成立させてきたということだ。

その象徴としてしばしば挙げられるのが、映画『アラジン』のジーニー役である。広く知られた作品の重要な役を日本語で担うことは、吹き替えという仕事への信頼の証しでもある。山寺の名がアニメファンの外側にまで広く知られている理由のひとつは、こうした大作吹き替えでの実績にあると言っていい。しかも、山寺はアニメ版と実写版の両方でジーニーの日本版声優をつとめている。

異名は本人が名乗るものではなく、周囲が仕事ぶりを見て呼び始めるものである。「七色の声を持つ男」という呼び名が長く定着してきたこと自体が、演じ分けの確かさが業界の内外で共有されてきた証拠と言える。

加持リョウジから銭形警部まで

山寺の代表作として並べられるのは、吹き替えのジーニーだけではない。アニメでは『新世紀エヴァンゲリオン』の加持リョウジ、そして『ルパン三世』の銭形警部(二代目)が挙げられる。時代も作風も異なる2つの作品の名前が、ひとりの声優の代表作として同じ列に並ぶこと自体が、キャリアの幅を物語っている。

声優の仕事は、作品ごと、役ごとに求められる声の質も温度も違う。そのすべてに応え、それぞれの作品で「その人物の声」として観客に受け入れられてきた積み重ねこそが、山寺というキャリアの厚みである。しかも活動の場はアニメと吹き替えにとどまらず、後述するようにテレビのMCやラジオのパーソナリティにも及んでいた。この「声で仕事をする場の広さ」が、のちの出会いの舞台を用意することになる。

異なる道を歩んだ二人がラジオで出会う

山寺の妻となる岡田ロビン翔子は1993年、アメリカ・ボストンに生まれた。父が米国人、母が日本人である。女性グループ「チャオ ベッラ チンクエッティ」(旧名「THE ポッシボー」)の元メンバーであり、グループではリーダーを務めた。

1961年生まれで宮城県出身、声優として歩んできた山寺と、1993年生まれでボストン出身、アイドルグループで活動してきた岡田。生まれた年も土地も、芸能界での立ち位置も異なる二人が同じマイクの前に立ったのが、bayfmのラジオ番組『The BAY☆LINE』だった。

ラジオという媒体は、台本に沿って役を演じる場ではなく、出演者が自分自身の言葉で長い時間を過ごす場である。演じる声ではなく素の言葉を重ねる現場で、二人は共演者として同じ時間を積み上げていった。

世代も経歴も違う二人が対等な出演者として毎回向き合う。それは声優の収録現場とは性質の異なる、生活の延長のような仕事の時間だったはずで、この番組がなければ二人の接点が生まれにくかったことは、経歴を並べてみれば自然に理解できる。

番組卒業後に始まった交際

時系列は明確である。山寺は2020年3月まで『The BAY☆LINE』に出演し、番組を卒業した。交際が始まったのはその後のことだと、山寺自身が説明している。共演していたラジオ番組を卒業した事で、彼女の存在の大切さに気づいたという言葉の通り、共演していた期間はあくまで仕事の仲間としての時間であり、関係が変わったのは番組を離れてからだった。

毎週のように顔を合わせていた相手と会わなくなってはじめて、その存在の大きさに気づく。本人の説明はその順序をはっきり示しており、共演と交際の時期は重なっていない。2020年3月の番組卒業を起点に交際が始まり、そこから約1年の交際期間を経て、二人は結婚という選択にたどり着く。

世代を越えて選んだ結婚

二人は2021年6月に婚姻届を提出し、SNSで結婚を公表した。発表の3日後に山寺は60歳となり、28歳の岡田と32歳差だった。山寺は、世代も育ってきた環境も全く違う二人だからこそ、互いに支え合い人生を共に歩んでいくことにしたと述べた。岡田も、真面目で誠実な姿に惹かれたこと、そして「びっくりするくらい繊細な彼」を支えながら、笑顔の溢れる家庭を作っていきたいという思いを語っている。

ジーニー、加持リョウジ、銭形警部。数多くの人物を演じ分けてきた山寺宏一が、人生の伴侶と出会った場所もまた、声の仕事の現場だった。ラジオ番組で共演者として同じ時間を積み重ね、番組卒業を機に相手の存在の大切さに気づき、約1年の交際を経て結婚に至る。派手な脚色を足さなくても、確認できる事実を時系列に並べるだけで、この結婚の歩みは十分に伝わる。声で数えきれない人生を生きてきた人が、自分自身の人生の相手を、素の言葉を交わす場所で見つけた。その事実がすべてである。


※記事は執筆時点の情報です

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