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「僕の人生を変えた人」。黒川想矢、『免許返納!?』で憧れの舘ひろしと映画初共演!脚本執筆に夢中な16歳の現在地

  • 2026.6.20

『怪物』(23)や『国宝』(25)をはじめ、数々の話題作で繊細な感情表現を見せ、その誠実な役作りと確かな演技力で観る者を魅了している黒川想矢。『免許返納!?』(公開中)では、憧れの舘ひろしと映画初共演を成し遂げ、個性豊かなキャラクターたちに囲まれながらナイーブな青年像を体現。鮮烈な印象を残す。2021年放送のドラマ「剣樹抄〜光圀公と俺〜」での共演をきっかけに「舘プロに入れてください」と直談判し、加入を果たした経験を持つ彼。舘の背中から学ぶことや、「脚本を書くことにハマっています」という素顔。「役者としてやっていけるのか、まだ不安です」という率直な告白。黒川が、16歳のありのままの想いを語った。

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「舘さんに“おい!おっさん!”と言うのは、緊張しました」

舘ひろしが映画スターを演じる『免許返納!?』 [c]2026「免許返納!?」製作委員会
舘ひろしが映画スターを演じる『免許返納!?』 [c]2026「免許返納!?」製作委員会

舘が主演を務める本作は、70歳を迎えて、人生最大のピンチにぶちあたる映画スターの奮闘を描く本格コメディ。自他共に認める映画スターの南条弘(舘)は、自身のある発言が誤解を生み、頭も身体もしっかりしているのに免許返納を迫られる羽目になる。「まだまだハーレーに乗って、ショットガンをぶっ放したいんだよ!」と抵抗する本人の想いとは裏腹に免許返納のカウントダウンが近づくなか、ライバル俳優の尾崎誠(宇崎竜童)の最期の願いと、最愛の妻との約束。2つの“想い残し”を叶えるため、南条の旅がはじまる。

黒川が演じるのは、南条の親友にしてライバル俳優である尾崎の息子、来宮亮。家族の愛を感じられず、大人への強い反発心を抱きながら生きてきた亮は、南条との出会いを通して人生を大きく変えていく。「この役はぜひ想矢に演じてほしい」という、舘からの熱烈なラブコールを受けての抜てきだ。

黒川想矢、憧れの舘ひろしとの共演に「うれしい」と感激しきり 撮影/興梠真穂
黒川想矢、憧れの舘ひろしとの共演に「うれしい」と感激しきり 撮影/興梠真穂

ドラマでの出会いから5年。舘と映画初共演が叶った心境を尋ねてみると、黒川は「初めて舘さんと映画で共演できる。もちろんものすごくうれしかったんですが、ちょっと早くないか!?と思ったりもしました」と驚きを隠せなかった様子。

「まだ16歳ですが、そのなかでも舘さんと出会って、僕の人生が変わりました。いまも影響を受け続けている方です。師弟関係というか、そういった実際の舘さんと似ているような間柄として共演をさせていただけるのは、とてもうれしいことです」と改めて喜びを噛み締めながら、亮が大人への反発心を抱いた少年であることから「亮は、南条さんのことを『おい!おっさん!』と何度も言うんです。『お前のせいだ!』とか暴言を吐きまくる。舘さんに向けてそんなことを言っていいのかな…と緊張しました」と苦笑い。「本読みでは、舘さんが『思いっきりやってくれたほうがうれしいよ』と言ってくださって。その言葉に、とても助けられました」と恐れずに全力でぶつかった。

「いつかコメディに挑戦したいと思っていました」

黒川が演じるのは、南条の親友にしてライバル俳優である尾崎の息子、来宮亮 [c]2026「免許返納!?」製作委員会
黒川が演じるのは、南条の親友にしてライバル俳優である尾崎の息子、来宮亮 [c]2026「免許返納!?」製作委員会

本作でコメディに初挑戦した黒川だが、「僕、『Mr.ビーン』とか大好きで、いつかコメディに挑戦したいと思っていたんです」とにっこり。しかしながら手にした亮役は、「コメディをやれる!と思ったら、悔しさや苦しさを感じている役どころで。ものすごくシリアスな役でした」と意外な役どころだったと目尻を下げる。

舘が演じる南条をはじめ、彼が旅をするなかで出会う人々もコミカルで個性豊かな面々ばかり。そのなかでシリアスな役どころを演じきることとなり、黒川は「皆さんがおもしろおかしく演技をされている横で、僕は笑いを堪えていました。皆さんがうらやましくもありました」と素直な想いを吐露。コメディの現場に身を置き、たくさんの発見もあったという。「皆さんが馬鹿馬鹿しいことに本気で悩み、おもしろいことを本気でやっている姿がすごくカッコよく見えました。舘さんは、“喜劇は悲劇だ”という言葉をおっしゃられていて。人間が本気でなにかを考えていたり、本気でなにかをすること自体が、すごくおもしろいんだということを、コメディから学びました」。

舘ひろしのダンディな魅力炸裂! [c]2026「免許返納!?」製作委員会
舘ひろしのダンディな魅力炸裂! [c]2026「免許返納!?」製作委員会

その言葉通り、劇中でも南条がライバル俳優の発言に本気で悔しがったり、免許返納に本気で抗ったりすればするほど、観客の笑いを誘う。ダンディな魅力あふれる舘のコメディ演技をたっぷりと堪能できる本作だが、黒川は今回の現場で舘のどのような姿を目撃したのだろうか。

「南条さんが現場でバスローブを着ていたり、暴言を吐いたりするシーンも、現場のなかで舘さんが一番楽しんでやられていたのが印象的です。段取りをしながら、舘さんは“ここでこうしてみよう”とセリフを考えてみたり、急にアクションを加えてみたりと、アドリブもたくさん入れていました。台本の余白を大切にしながら、どんどん膨らませていくんです。コメディだからこそ、現場で生まれるものも大きかったんだと思います。すごく勉強になりました」とものづくりを楽しみ、妥協しない姿勢を目にしたと回想。

続けて「例えば、“おはよう”という一言があったとして、僕はそういった一つのセリフに対してもいろいろと考えてしまう。でも最後にはすべて忘れて、気持ちで演じることが大事なんだなと思います。今回の現場を見ていても、舘さんや、宇崎さんが、ものすごくドシッとされていて。お2人が立っているだけで、画が成り立つような雰囲気があって。そういった力強い存在感には、とても憧れます」と一層、舘への尊敬の念を深めたと話す。

「舘さんとお話をしていると、自分が肯定されたような気持ちになる」

「舘さんからは、学ぶことばかりです」と明かした黒川想矢 撮影/興梠真穂
「舘さんからは、学ぶことばかりです」と明かした黒川想矢 撮影/興梠真穂

黒川は、「常にスタッフの方に気を配られていたり、人間としてどうあるべきかということまでを教えていただける。舘さんからは、学ぶことばかりです」としみじみ。「舘プロに入れてください」と直談判したのは彼が11歳の時の出来事だ。当時を振り返ると、「いま思うと、“なにを言っているんだ、お前”って感じですよね」と照れ笑いをのぞかせる。

「でもあの時にお話して、本当によかったなと思います。舘さんのすごさをよく知らずに、“舘さん”という漢字も“カンさん”と読むのかと思っていたくらいで。会社にたくさんDVDがあるので、それを盗み見しながらどんどん、“舘さんって本当にすごい方なんだな”と気付かされています」と舘の偉大さをよく知らなかったからこそ、大胆な行動に出られたのだとか。直談判したのは、「ドラマの撮影中、お昼に舘さんが“一緒にご飯を食べよう”と言ってくださって、シュウマイ弁当を食べたんです。その時に舘さんは、子役の僕に対しても同じ目線で会話をしてくださった。僕はそのことに驚いて、同時にすごくうれしかったんです。この旅が終わっても、舘さんのことをもっと知りたいなと思いました」と舘の器の大きさに触れたことが、理由だったようだ。

南条のマネージャー、川奈役を西野七瀬が演じる [c]2026「免許返納!?」製作委員会
南条のマネージャー、川奈役を西野七瀬が演じる [c]2026「免許返納!?」製作委員会

それからは、たくさんの時間を舘と過ごしている。「ご飯に連れて行っていただく機会も多く、テーブルマナーも教えていただいています。その度に日常の悩みも相談できるし、舘さんとお話をしていると自分が肯定されたような気持ちになることがあります。そういう方がいることは、とてもうれしいです」というなかでは、「石原裕次郎さんや、渡哲也さんのお話もたくさんしてくれます。おはぎの差し入れや、新年の餅つきなど、会社の伝統と関連づけた思い出話をしてくださることも多く、そういった話を聞いても、人間としても俳優としてもステキな方だったんだなと感じます。おはぎの差し入れって、すごくいいですよね。僕も、その伝統は受け継いでいきたいなと思っているんです」と伝説的な俳優たちの心意気が、世代を超えて彼にも息づいている。

こんな裏話も教えてくれた。「舘さんって、ものすごい甘党で。撮影中も、ドーナツをいただいたらすぐに食べています。僕が事務所に入りたてのころ、スイーツ巡りをしに横浜に連れて行ってくださったこともあって。4軒くらい、一緒にハシゴしました。こんなにダンディなのに、甘いものが好きなんだ!って意外でした」。

「役者としてやっていけるのか、まだ不安」

黒川が芸能活動をスタートさせたのは、5歳のころ。2021年に舘との運命的な出会いに恵まれつつ、彼が「演技っておもしろい」と感じる転機となった作品としてあげるのが、2023年公開の是枝裕和監督による映画『怪物』だ。メインキャストに抜てきされた黒川は、少年の心の揺らぎを見事に表現し、その年の多くの映画賞で新人賞に輝いた。

是枝裕和、李相日ら名監督からの学びを口にした 撮影/興梠真穂
是枝裕和、李相日ら名監督からの学びを口にした 撮影/興梠真穂

いまでも「将来、役者としてやっていけるのかは、全然不安です」と告白した黒川は、「なので、まだ“この道でやっていこう”という決断はできていないんですが、『怪物』をやるまではお仕事もそんなにできていなくて。演技についても、顔で演じるものだと思っていました。もちろんそういうものが求められる作品もあると思うんですが、是枝監督は『顔は最後でいいよ』とおっしゃっていて。“感じることが大事なんだ”と教えていただいてからは、演じながらも、想像していなかったからこそ新しい感情に出会えたり、“自分がこんな気持ちになれるんだ”と気付かされることもたくさんあって。そうやって知らなかった自分や感情に出会える瞬間が、本当に楽しいです」と充実感を口にする。

そして吉沢亮演じる喜久雄の少年時代に扮した『国宝』(25)では、「李(相日)監督から、“何度テイクを重ねても新鮮な気持ちを失わず、役柄の経験を自分自身のものとして感じることが大切。邪念を捨てることが大事”だと教えていただきました。すごく勉強になりました」と名匠たちからの教えを糧にしながら、力強く前進を続けている。

インタビューで対峙していても、作品や役柄、そして自らの内面にもひたむきに向き合う姿勢が強く伝わってくる。

黒川は「自分について考えることは、すごく大切なことだなと思います。自分でも、自分のことがよくわからないんです。好きなところもあれば、大嫌いなところもある。例えば僕は本当に些細なことでもすごく悩んでしまうし、それは自分のよくないところだなと思いつつ、そういう部分があるからこそいろいろな感情が湧き出てくるものだとも感じます。そう考えると、その悩みやすさも含めて自分なんだなと思います」と想いを巡らせながら、「自分のことをちゃんと考えないと、相手のことも考えられないのかなと思って。相手のことをちゃんと考えられる、やさしい人間でありたいと思っています」と語る姿に、彼のまっすぐな人柄がにじみ出す。

【写真を見る】黒川想矢の弾ける笑顔に釘付け!クールな表情も収めた撮り下ろしカットをたっぷりお届け 撮影/興梠真穂
【写真を見る】黒川想矢の弾ける笑顔に釘付け!クールな表情も収めた撮り下ろしカットをたっぷりお届け 撮影/興梠真穂

俳優としてのキャリアを築く一方で、学業にも力を注ぐ高校2年生。いまは、「脚本を書くことにハマっている」そうで、「夜、眠れない日があって。書き始めてみたんです」ときっかけを明かす。

「書いていたら、演技をしている時のようにいろいろな気持ちが出てきて。僕は小さなころは自分が思っていることをなにも言葉にできなくて、本当に話せなかったんです。でもいまは、“伝える”ということはすごく楽しいことだなと思っていて。脚本家さんからしたら“なにを言っているんだ”という話だと思いますが、書くことでもなにかを伝えられるのは、とても楽しいなと感じています」とあふれる気持ちや想像力を脚本として紡いでいるといい、「いま、二つ書いていて。一つは、東日本大震災の話です。もう一つは、水のなかをテーマにしたお話。東日本大震災が起きた時、僕は2歳くらいでした。知らないことは書けないので、脚本を書く時にいろいろと調べているんですが、そうやっていると本当に“自分ってなにも知らないんだな”ということに気づくんです。調べて書いて、書いて調べて…の繰り返しです」と創作の裏側について披露。

俳優業、そして脚本に向かう日々も「知らないことや感情、知らない自分を知れる。それがすごく楽しい」と、笑顔を見せた黒川。知らないことを隠さず、楽しみ、未来への扉を開いていく。「デートもしてみたいです!」と目を輝かせる素顔は、まさに16歳そのもの。内省的な感性と達観した視点、そして等身大の瑞々しさ。そのすべてが同居している黒川想矢には、無限の可能性が広がっている。

取材・文/成田おり枝

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