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『恋人』歴史解説①主人公たちを翻弄する朝鮮王朝の危機の正体

  • 2026.6.17

テレビ東京で放送中の歴史ロマンス超大作『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』。ナムグン・ミン演じる謎の男イ・ジャンヒョンと、アン・ウンジン扮するお嬢様ユ・ギルチェの運命的な愛を描いた本作は、17世紀前半の激動の朝鮮王朝史を背景にしている。

この壮大な物語を理解する上で欠かせないのが、朝鮮に押し寄せる強大な国家「清(しん)」の存在だ。主人公たちの人生を激変させる「清」とは一体どのような国だったのか、その成り立ちと朝鮮との関わりを解説する。

「後金」の建国と明の衰退 

物語の舞台となる17世紀前半、現在の中国東北部(満州)には、もともと「女真(じょしん)」と呼ばれる民族が定住していた。

16世紀末、この女真の諸族を統一したのがヌルハチだ。彼は1616年に国を建国し、その国名は「後金」と称された。 

一方、当時の中国大陸を支配していた明(みん)は国力が衰え、衰退の一途をたどっていた。1619年、明はヌルハチを討伐するために大軍を送るが、後金軍の前に大敗を喫することとなる。こうして後金は、新興勢力として強大な力を持つようになっていった。ドラマの作中でも、登場人物たちが満州語(女真族の子孫であり清を建国した満州族の言語)を駆使するシーンが登場し、当時のリアルな情勢を反映して劇の没入度を高めている。

光海君の「中立外交」による安泰 

後金が勢力を拡大する中、朝鮮王朝を統治していたのは第15代王の光海君(クァンヘグン)であった。光海君は、明から重ねて援軍要請を受けていたが、後金の強大な軍事力を警戒し、明と後金の間で中立を守る外交政策をとった。

だが、1623年にクーデターによって光海君が王宮から追放され、第16代王・仁祖(インジョ)が王位に就くと、状況は大きく一変する。仁祖は後金の存在を軽視して、衰えゆく明に肩入れする政策をとったのである。

この朝鮮王朝の態度に激怒した後金は1627年、朝鮮への侵攻を開始した。朝鮮側は後金の強大な軍事力に全く歯が立たず、朝廷は首都の漢陽(ハニャン)から江華島(カンファド)に避難し、かろうじて生き残るという屈辱を味わうこととなった。これが朝鮮半島において「丁卯胡乱(チョンミョホラン)」と呼ばれる、最初の大きな危機である。

朝鮮王朝は交渉の末、「後金と兄弟の関係を保つ」という条件を呑むことで、なんとか和睦に持ち込むことができた。しかし、仁祖はこの約束を守ろうとはしなかった。その結果、後金(のちの清)の怒りをさらに買い、朝鮮王朝は再び国家存亡の危機に立たされるのだ。

ドラマ『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』はまさにそうした時代背景の中で物語が始まるのだった。

構成=韓ドラLIFE編集部

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