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離婚した30代夫婦→“5,000万で買ったマンション”の所有権を元妻に移すが…後日、税理士からの一言に“驚いたワケ”

  • 2026.7.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。税理士・元国税調査官の神崎遊です。

離婚時の「財産分与」。夫婦で築いた自宅を譲る際、「売るわけではないから税金は関係ない」と思い込んでいませんか?実はここに、思わぬ落とし穴が潜んでいます。近年の不動産高騰に伴い、購入時より値上がりしたマイホームを財産分与すると、財産を渡した側に「譲渡所得税」が課税される可能性があるのです。

今回は、離婚を機にマンションを元妻へ譲り、想定外の税務リスクに直面した30代男性・Oさんの事例をご紹介します。 課税を回避できる「3,000万円の特別控除」の要件から、手続きのタイミングを誤ると税務署から否認されかねない「実務上の注意点」まで、元国税調査官の視点で分かりやすく解説します。

財産分与にも税金?

Oさん夫婦は同じ会社の同期でしたが、10年前、結婚を機に妻は退職をしました。しかし、結婚後も妻は「キャリアを積みたい」意欲がくすぶっていました。

そこで、話し合いを重ね、離婚が成立しました。ただし、マンションを財産分与する時期については、Oさんの新居が決まって退去した後とすることで合意しました。
Oさんは離婚後も半年間同居していましたが、「完全に別居し、生計も別々になった後」に改めて財産分与の契約を交わして登記手続き(所有権移転)を行いました。

「最近、マンション価格が上がっているけど、税金は大丈夫か?」引越しの手伝いに来たとき、先輩から予想外の心配をされました。

Oさん夫婦のマンションは3年前に5,000万円で購入したものです。それが、現在は6,500万円に不動産価格が高騰していたのです。

「売るわけじゃなくて、財産分与として渡すから税金は関係ないのでは?」
そう思い、聞き流そうとしましたが、「先輩にも勧められたし、一度税理士さんに相談してみたら?」と元妻から言われ、渋々、税理士に相談することに決めました。

そこで、税理士から言われた一言が衝撃的でした…。

無償で渡しても税金がかかる場合も

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「財産分与や慰謝料を受け取った側には、原則として所得税や贈与税などの税金はかかりません。しかし、購入時より価値が上がった不動産や株式を渡した側には、譲渡所得税がかかる場合があります」

「タダで渡しただけなのに?」

財産分与として不動産を渡した場合は、「財産分与という義務を果たすために、その不動産を時価で譲渡した」と考えられます。そのため、購入時より値上がりしている場合は、譲渡所得税がかかることがあります。

「ただし、『マイホームを売った時の特例』を使って、譲渡所得税がかからない可能性がありますね」

マイホームを売った時の特例とは

マイホームを売却した際の譲渡益から最大3,000万円を差し引ける特例です。

特例の適用のためには、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいた家であること
  • 住まなくなってから一定期間内に売却すること
  • 親子や夫婦など、「特別な関係にある人」への譲渡ではないこと
  • 同じ家について、この特例を何度も利用していないこと
  • 売却した翌年に確定申告をすること

ここで特に注意すべきなのが、「特別な関係にある人への譲渡ではないこと」という要件です。

もし離婚届を出す前(婚姻中)に財産分与として名義変更を行ってしまうと、「夫婦(特別な関係)」の間の取引とみなされ、この特例が使えなくなってしまいます。

さらに、離婚後であっても注意が必要です。この「特別な関係」には、実質的に生計を共にしている「内縁関係」も含まれます。そのため、離婚届を出した後であっても、「同居している間」に名義変更をしてしまうと、特例の適用を否認されるリスクがあります。

税理士のアドバイスを受けたOさんは、「完全に別居し、生計も別々になった後」に、改めて財産分与の契約を交わして登記手続き(所有権移転)を行いました。

タイミングをしっかり見極めて手続きを行ったため、Oさんは無事に特例を使って、1円の税金も払わずに済んだのです。 「もし先輩に言われず、同居中に焦って名義変更をしていたらと思うと……本当に知らないって怖いですね」と、Oさんは胸をなでおろしていました。

税金を正しく知ること

Oさんは今でも元妻とは親友として良好な関係を築いており、元自宅にもたまに遊びに行っているそうです。

離婚に伴う不動産の財産分与は、後から思わぬ税負担に気づくケースが後を絶ちません。トラブルを防ぐために、以下の2点も必ず押さえておきましょう。

  • 受け取る側も「完全無税」ではない:分与を受ける側には贈与税や所得税はかかりませんが、名義変更時の「登録免許税(固定資産税評価額の2%)」「不動産取得税」、司法書士への報酬といった実費は発生します。これらの費用をどちらが負担するかも事前に話し合っておきましょう。
  • 分与する額が「多すぎないか」も重要:財産分与が非課税になるのは、夫婦の貢献度に応じた「常識的な範囲内(適正な割合)」である場合に限られます。あまりに多すぎる財産を片方に渡した場合や、税金逃れのための偽装離婚と疑われた場合は、受け取った側に贈与税が課される可能性があります。

離婚は人生の重大な局面です。後悔のないスタートを切るためにも、契約書(離婚協議書)を作成してハンコを押す前に、まずは一度、税理士などの専門家に相談してみることを強くおすすめします。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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