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“夏のボーナス152万円”を受け取り→NISAの投資信託を一括購入するが…1ヶ月後、40代男性を待ち受けていた“想定外の事態”

  • 2026.7.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

夏のボーナスが入ると、「この機会にNISAを始めたい」「預金に置くより少しでも増やしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。特に、教育費や住宅ローンを抱える40代のご家庭では、将来への不安から早めに資産形成を始めたい気持ちも強くなりやすいものです。

一方で、ボーナスは投資に回せるお金であると同時に、税金、保険料、教育費、帰省費用など、近いうちに出ていくお金でもあります。今回は、夏ボーナスを見て「今こそNISA」と考えた40代夫婦が、直後の支払いで手元資金の少なさに気づいた事例をもとに、ボーナスとNISAの向き合い方を考えます。

「早く投資しないともったいない」と考えた40代夫婦

Aさんは45歳の会社員、妻は43歳のパート勤務。中学2年生と高校1年生の子どもがいます。住宅ローンを含めた毎月の支出は、食費や通信費、保険料、教育費などを合わせて約32万8,000円でした。

夏のボーナスは手取りで152万3,000円。夫婦は以前からNISAに関心があり、「預金に置いていても増えない。せっかくなら早めに投資したほうがよい」と考えていました。

そこで、ボーナスのうち86万5,000円を、NISAの成長投資枠で投資信託に一括購入。残りの65万8,000円を普通預金に残しました。「60万円以上あれば当面は大丈夫」と思っていたのです。

ところが、1ヶ月後の支払いを確認すると、想定以上に出費が重なっていました。高校生の夏期講習代が12万8,000円、中学生の部活動遠征費が5万6,000円、固定資産税の第2期分が7万4,000円、車検費用が14万9,000円、帰省費用が16万2,000円。さらにエアコンが故障し、買い替えに18万6,000円かかりました。

合計は75万5,000円です。残していた65万8,000円では足りず、生活費用の預金から約10万円を取り崩すことになりました。

そのとき、NISAで購入した投資信託は購入時より4%ほど値下がりしていました。86万5,000円で買ったものが、評価額では約83万円に下がっていたのです。売却して現金化することもできますが、値下がりしている時期に売れば、その時点で損失が確定します。

Aさん夫婦は「NISAは早く始めたほうがよい」と考えていましたが、実際には「数か月以内に使うお金」まで投資に回してしまっていました。

NISAに回す前に見たい「使う予定のお金」

NISAを使うこと自体は良い選択肢です。ただし、順番を間違えると、せっかくの投資が家計の不安につながります。

ボーナスが入ったときは、まず「投資できる金額」ではなく、「近いうちに出ていく金額」から確認することが大切です。

  • 3〜6か月以内に支払う教育費
  • 固定資産税、自動車税、保険料、車検代
  • 帰省、旅行、家電買い替えなどの季節支出
  • 病気や修理など、急な出費に備えるお金

Aさん夫婦の場合、ボーナス152万3,000円のうち、少なくとも75万5,000円は近い時期に使う予定がありました。さらに毎月の支出は約32万8,000円です。最低でも2か月分を手元に残すなら約65万円、3か月分なら約98万円は預金で確保しておきたい家計でした。

この状況で86万5,000円を一括で投資に回すと、家計の余裕はかなり薄くなります。NISAを始めることよりも、途中で売らずに続けられる金額にすることのほうが大切です。

たとえば最初は20万円から30万円程度に抑え、残りは毎月3万円ずつ積み立てる。あるいは、夏の支払いが落ち着いてから追加投資を考える。こうした進め方でも、資産形成は十分に始められます。

NISAは「焦って入れる場所」ではない

FPとしてお伝えしたいのは、NISAは「早く入れた人が勝ち」という制度ではない、ということです。

長期で運用するなら早く始めるメリットはあります。しかし、家計に必要なお金まで投資に回してしまうと、相場が下がったときに冷静でいられなくなります。生活費が足りずに売却することになれば、本来は長く持つはずだった投資を途中で崩すことにもなります。

相談の場では、NISAを始める前に、まずお金を3つに分けて考えるようにお伝えしています。

  • すぐに使うお金
  • 1年以内に使う予定のお金
  • 当面使わずに育ててよいお金

NISAに回すなら、基本的には3つ目の「当面使わずに育ててよいお金」から考えるのが現実的です。教育費、住宅ローン、税金、保険料、車検代などがある家庭では、ボーナスの多くがすでに使い道の決まったお金になっていることもあります。

Aさん夫婦も、NISAを始めること自体は間違いではありませんでした。ただ、最初の金額を86万5,000円にするのではなく、25万円だけ投資し、残りは支払い予定を見ながら分けていれば、生活費への不安はかなり抑えられたはずです。

資産形成で大事なのは、無理なく続けられることです。ボーナスが入ったときほど、まずは半年以内に出ていくお金を確認する。そのうえで、使う予定のない部分だけをNISAに回す。この順番を意識するだけでも、投資はかなり続けやすくなります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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