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塩野瑛久、最新作で有村架純の夫役に。複雑な役どころの裏側と「“趣味”として俳優を続けていきたい」と話す真意

  • 2026.6.12

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』や映画『SAKAMOTO DAYS』など、話題作への出演が続く塩野瑛久さん。さらに、秋までに3作の公開が決定している。そのなかの1作、6月19日(金)公開の映画『マジカル・シークレット・ツアー』では、金の密輸に手を染める二児の母・和歌子(有村架純さん)の夫で、会社の金を横領し、解雇されたことを隠したまま病に倒れる複雑な役どころの高志を演じる。そんな塩野さんに、本作にまつわる話題や俳優という仕事に向き合う思いなど広く語ってもらった。

犯罪を描いていても重くなりすぎない「どこかカラッとした作品」

――実際の事件から着想を得た、天野千尋監督描き下ろしのオリジナルストーリーの本作。脚本を読んだ印象はいかがでしたか?

【塩野瑛久】金の密輸という犯罪をテーマにしつつも、ヒューマンドラマの要素もあり、どこかカラッとした気持ちになる作品でした。有村架純さん演じる和歌子、黒木華さん演じる清恵、南沙良さん演じる麻由の3人は、最初は全員がお金に困っていて密輸を始めますが、何度も密輸を行うことで、どんどんハツラツとしていくんですよね。まるで青春のように、抑制されたものから解放された日々を送りだす3人の姿は、愛らしくもありました。

(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会
(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

――3人で協力しながら密輸を行い、達成感や金銭的余裕を得て、生き生きとしていく姿が印象的でした。

【塩野瑛久】もちろん密輸は犯罪なので、彼女たちの心を解放する別の方法が見つかればよかったとは思いますが、犯罪行為を描きながらも重くなりすぎずに、くすっと笑えるシーンもあって、読んでいて楽しかったです。

――自身が演じた、高志の外見や佇まいの部分で意識されたことはありますか?

【塩野瑛久】高志は、見た目から真面目そうに見えることがポイントかなと思っていました。「決して横領なんてしなさそうな人が、実はそういうことをやっている」という見せ方が、人間の持つ矛盾を表現することになるのかなと。

さらに高志は、死の淵から生還することで自分の愚かさに気が付き、和歌子を含む今ある環境に感謝を持ち始めることになります。病気をきっかけに改心する部分も含めて、とても人間味あふれる人物だなと感じました。

高志(塩野瑛久さん) (C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会
高志(塩野瑛久さん) (C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

塩野瑛久が考える、高志が横領をした理由

――劇中では、高志が横領をした理由は描かれていませんが、塩野さんとしてはどのような理由があったと考えていますか?

【塩野瑛久】特に大きい理由はなかったと思います。高志は和歌子と結婚をして子どもも2人いて、幸せな日々ではあったけど、代わり映えのない日常に飽き飽きしていたのかなと。

――順風満帆でも、高志には何か物足りなかったと?

【塩野瑛久】そうですね。例えば、和歌子は周囲に対して自分の意見を言えないタイプの女性だと解釈していました。そして高志も、和歌子には和歌子の考えがある、ということにも気が付かずに「和歌子は自分では何も決められない子」だと思い込んでいた。

だから、和歌子に対して愛情はあっても、無意識のうちに彼女が自ら考えたり挑戦する機会を潰してしまっていたんだろうなと思います。そして、和歌子が従順であるがゆえに、日常での刺激がなくなり、ギャンブルに手を出して横領までやってしまった、というのが始まりだったのかなと考えていました。

――撮影に入る前には、有村架純さんとエチュード(即興演技)をやられていたとか。そのときのやりとりが、さらに役への解釈を深めていったのでしょうか?

【塩野瑛久】エチュードはすごく貴重な経験でした。天野監督が「和歌子をどんな人物だと思っていますか?」「和歌子が目の前にいないと思って、彼女のことを語ってください」など、質問の書かれたテロップを出し、役として僕たちが回答をしていくという形式で、役を理解するうえですごくよい方法だと感じました。高志や和歌子への解像度がさらに上がったのは間違いないです。

――撮影時、天野監督からオーダーのようなものはあったのでしょうか?

【塩野瑛久】特にこれといったものはなかったので、僕が監督にいくつか質問をさせていただき、解釈を一致させていきました。1シーン、1シーンに天野監督のこだわりがとても詰まっていたので、思い描く映像から離れていないかを細かく確認してすり合わせをしていきました。

――具体的にどのような質問を?

【塩野瑛久】先ほどの話にもありましたが、脚本には高志の横領にいたる経緯などが描かれていなかったので、「特に理由はなく刺激が欲しくてギャンブルに手を出したのか」、それとも「もともと横領をしそうなぶっ飛んだ人物で、病気になり性格が一変し、周囲にやさしくなったのか」など、高志のベースとなる部分の確認をしました。そこからディティールを作り上げていきました。

将来のビジョンは「俳優業を“趣味”として続けていきたい」

――本作が“現実からの脱却を目指すリベンジゲーム”であることにちなみ、塩野さんが今、リベンジしたいと思っていることを教えてください。

【塩野瑛久】僕は高校に進学していないので、高校生になって青春がしたいです。俳優として、役を通して高校生を経験できるかなとも思っていたのですが、意外と王道の学園モノには縁がなくて。だから、当時は同世代で学生役を演じている俳優さんたちが羨ましかったです。年齢的にも今から高校生は難しそうなので(笑)、先生役として関わることができたらいいなと思っています。

――本作の和歌子、清恵、麻由は偶然の出会いから人生が大きく変わっていきますが、塩野さんには人生が変わるような出会いはありましたか?

【塩野瑛久】中学生のころの先生との出会いには感謝しています。当時の僕は不真面目な生徒だったのですが、とても熱心に接してくれていたんです。ソフトテニス部の顧問の先生だったのですが、僕がもともと硬式テニスをやっていたことを知ると、硬式のテニスボールを用意してくれて「いつでもテニスをやりにこい」としつこいくらいに声をかけてくれました。こんな大人がいるんだと、すごく驚いた記憶があります。周りの大人たちへの見る目も変わる機会になりました。

――2026年にはアニメ声優にも初挑戦されている塩野さんですが、将来的なビジョンとして描いていることはありますか?

【塩野瑛久】何年先も今と変わらずに、俳優を“趣味”としてやりたいと思っています。というのも、今は俳優業で食べることができていますが、いつか生活できなくなったときに、俳優業を“やらなければいけないもの”としてやりたくないなと思っていて。“自ら望んでやること”のままでいたい、という意味を込めて「趣味」という言葉で表現しました。

――ずっと俳優業を続けていきたいと思ったきっかけはどんなことでしたか?

【塩野瑛久】お芝居の表現の幅広さに影響を受けたことが大きいです。ドラマや映画だけでなく、舞台での表現、さまざまな価値観、いろいろなお芝居の仕方を知って、可能性を感じたというか。新しい表現方法に出合うたび、新鮮な気持ちでお芝居に向き合うことができる。そして、自分が表現したものを誰かに触れてもらい、その人たちの心が少しでも動いたならば、そこにやりがいを感じます。これからも誰かに影響を与えられるような芝居を追求していきたいです。

撮影=八木英里奈

取材・文=榎本麻紀恵

ヘアメイク=草替哉夢

スタイリスト=能城匠

衣装協力=ジャケット(7万5900円)、シャツ(3万9600円)、パンツ(4万1800円)/すべてSHEIK YERBOUTI(STUDIO FABWORK)

(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

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