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イケメン店長の真心にメロメロ! とあるコンビニで展開する等身大の人間模様に心が温まる。実写ドラマ化もされた町田そのこによる小説のコミック版【書評】

  • 2026.6.9

【漫画】本編を読む

『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(町田そのこ:原作、瀬戸ましお:漫画/新潮社)は、『52ヘルツのクジラたち』(中央公論社)で2021年本屋大賞1位を受賞した、町田そのこ氏の同名小説を漫画化したヒューマンドラマ。NHKで中島健人氏主演の実写ドラマ化もされ話題となっている作品だ。

物語の舞台は、九州だけで展開するコンビニ「テンダネス」の門司港こがね村店。ここでパートとして働く39歳主婦の中尾光莉は、30歳で雇われ店長の芝三彦のことを密かに「フェロモン店長」、略して「フェロ店長」と呼んでいた。その理由は、彼が芸能界にいてもおかしくないほどの超絶イケメンで、さらにひとりひとりの客に対する思いやりが規格外のために、老若男女を問わず客をトリコにするからである。ちなみに光莉は学生のころ趣味で漫画を描いていたが結婚と子育てですっかりやめていた。しかし三彦のこの存在感によって創作意欲が再燃し、三彦をモデルにした漫画を描き始めたところ漫画投稿サイトでそこそこ人気になっていた。

三彦の人気もあって常連客が多いなか、いつもネックウォーマーで顔を隠している怪しい雰囲気の男性客がいた。しかもその男性と三彦が密会しているところを、光莉と一緒に働く学生アルバイトが目撃したと言う。創作への妄想が捗る光莉だったが、果たしてこの男の正体は? そんなある日、毎日昼食を買って店内で食べていく、ひとり暮らしの年配男性が姿を見せない。心配した三彦はその男性の自宅に様子を見に行くのだが――。

本作にはいわゆる悪役は出てこず、またドロドロとした展開はない。描かれるのは、コンビニというありふれた場所で、ありふれた事情や悩みを抱えた人間たちのドラマだ。だからこそ読み手は自然と感情移入し、安心感をもらえ、ときに温かな涙が誘われるのだろう。人はそれぞれ事情や悩みを抱えて懸命に生きている。そんな彼らに対して少しでも力になりたくてこのコンビニをやっているという、三彦の言葉が印象深い。本作であなたの心も温めてもらってみませんか。

文=nobuo

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