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男性もメイクで変わる! くたびれ編集者が男性メイクアップアーティストとの出会いと告白から始まる、人生リメイクストーリー『十日間だけ無理してよ』【書評】

  • 2026.6.9

【漫画】本編を読む

『十日間だけ無理してよ』(ぴつえん/KADOKAWA)は、仕事に追われてすっかり疲れ切った男性編集者が、人気ヘアメイクアップアーティストとの出会いをきっかけに、自分自身を取り戻していくリメイク・ラブストーリー。連載開始直後から注目を集め、外見の変化だけではなく、止まっていた人生そのものが少しずつ動き出していく過程を描いた話題作だ。

主人公・朝隈は文芸編集者。毎日仕事に忙殺され、身だしなみに気を配る余裕もなく、心も肌もくたびれてしまっている。そんな彼がひょんなことから、有名ヘアメイクアップアーティスト・上月の企画のモデルを務めることになる。上月の手によって見違えるように変身した朝隈に、上月はまっすぐこう告げる。「あなたのことを狙っています」。唐突な告白から始まった関係が、物語を一気に動かしていく。

装うことは誰かのためではなく自分を大切にする行為であり、そしてメイクやスキンケアによって整えられていくのは顔だけではない。自分なんてもう年齢的に遅いから今さら変われない……という諦めや自己評価の低さを少しずつ変えていってくれるのだ。大人になるほど人は自分を後回しにしてしまいがちだが、本作を読むと「まだまだこれから」という気持ちにさせてくれるだろう。

また、上月と朝隈のコミュニケーションも心地よい。押しつけがましくなく、それでいて情熱的な上月と、戸惑いながらも彼の言葉や行動に救われていく朝隈。年齢を重ねた大人同士ならではの不器用さや慎重さがあるため、恋愛描写にも落ち着いた空気が漂う。人生経験を経た者同士のただ甘いだけではないやり取りが胸に沁みる。

今より少しだけ自分に手をかけてみる。その小さなきっかけが人生を変えることもある。読後には鏡の前に立ち、自分の顔をじっくり観察していることだろう。

文=練馬麟

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