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映画『マテリアリスト 結婚の条件』主演のダコタ・ジョンソンが語る、マッチング時代の❝理想の相手❞とは?

  • 2026.6.1
COPYRIGHT 2025 © ADORE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED

「婚活」という言葉は日本独特でも、世の人々が願うことは同じ。生涯をともにする相手を見つけるため、マッチングアプリなどさまざまな手段を使って、現代人は自分にぴったりの相手を探している。だが、しばしば男性は自分よりずっと若い女性を、女性は自分よりずっとお金のある男性を求めるから、ジレンマと失望が起きてしまうのだ。

『マテリアリスト 結婚の条件』は、そんな現代のリアルを描く、共感度たっぷりの映画。デビュー作『パスト ライブス/再会』でオスカー候補入りを果たした韓国系カナダ人監督セリーヌ・ソンは、10年前から構想を温めてきた。

「2015年か2016年ごろ、マッチングサービスの会社で働いていたんです。劇作家では食べていけないので、仲間はみんな生活費を稼ぐために別の仕事を持っていました。この経験で何かを書こうと思っていて、ようやく形になったのがこれです」と、セリーヌ。

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主人公ルーシーは、ニューヨークに住むシングル女性。かつては俳優を目指していたが、今はマッチングサービス会社のカウンセラーとして活躍する。ある日、自分が結びつけたカップルの結婚式に出席した彼女は、花婿の兄ハリーにアプローチを受けた。ハリーは投資家でお金持ち、人柄も申し分ない。一方、その結婚式では偶然、ウエイターとして働いている元彼のジョンと再会することに。俳優として成功する夢を捨て切れないジョンは、こうして別の仕事で生計を立てている。

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ルーシー役に抜てきされたのは、ダコタ・ジョンソン。「どの役からも何かを学びますが、今回得たものは特に大きかったと思います。ルーシーは現実的で実際的。だからマッチメーカーとして優れている。でも、他人に対してやっていることを自分に向けてやろうとすると、うまくいかないのです。そして、人と人を結びつけるのは条件だけではないと、彼女は気づく。客観的に見れば、ルーシーはお金持ちと結婚したほうがいいに決まっている。でも、それは数年後に彼女を後悔させることにならないのでしょうか? 彼女は割り切れるタイプなのでしょうか? セリーヌの書いた脚本は、この3人を、美しく、しかし現実的でつらさもある旅に連れていきます」とダコタは話す。

セリーヌとダコタの組み合わせもまさに、条件というよりハートとハートのつながりで生まれたものだ。ふたりが直接会ったのは、セリーヌが『パスト ライブス/再会』のアワードキャンペーンで忙しいときだった。「キャンペーンでロサンゼルスにいる間、時間を作ってこの映画の候補にいいかもしれない俳優と会うようにしていたんです。

ダコタとは、ビバリーヒルズホテルで2時間ほどランチをしたのですが、彼女が店を出ていくと同時に、私はプロデューサーに『ルーシーを見つけました』と電話をしました。『ひとめぼれ』は信じないけれど、『最初の会話でほれる』ことはあると私は思います。今回はまさにそれ。ダコタと話していると、彼女はとても頭がよく、それだけに自分をガードしている一方、内側にはもろさと繊細な感情があることが感じ取れました。キャスティングも、条件だけではないのです」とセリーヌ。

ダコタは「セリーヌの次回作のキャストはもう固まったと思っていたので、私はあくまでカジュアルなミーティングだと思って出かけていきました。ですが、そこで私たちは、とても正直で、オープンな会話を交わすことになったのです。お互いに『私にはあなたがわかる』という感じでした」と振り返る。

❝自分はこんな人間だとやっとわかったと思ったら、次の瞬間にはまたわからなくなるということを繰り返してきました。人にはそんな永遠のジャーニーがあるのです。私はそこに魅了されます❞──ダコタ・ジョンソン

この映画は、自尊心、自己評価という事柄にも触れる。往々にして、婚活をしている人々はそこに直面する。「ルーシーのもとで相手探しをしていた女性が、『私は商品ではない。人間よ』と言う重要なシーンがあります。この社会はいろいろな場で人を商品のように見ようとする。人生のパートナーを探すことも商売になり、人がまるで市場の株のように扱われるようになりました。そんななかにいると自己嫌悪が募っていきます。それが何かの瞬間に爆発してしまうのです。この映画の中では、ルーシーも、ジョンも、そしてハリーまでもが、自分を嫌っています。

この時代に恋愛についての映画を作るなら何を語るべきかと、脚本を書きながら私はずっと考えていました。私たちが抱える本当の問題は、何なのでしょうか? 愛は、古代からずっとミステリーでした。その根底には、人は孤独なのだという真実があります。生まれたときから、誰もが孤独。孤独を埋めてくれるのは、愛。お相手探しが商業化した時代だけに、愛はまだあるのかということを、私は問いかけたかったのです」とセリーヌは言う。

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❝自分を愛してくれて、私も愛せる相手であること。たくさんの条件を挙げる人は多いけれど、相手に求めていいものは、それだけなんです❞──セリーヌ・ソン

いくつかのロマンスを経験してきたダコタも、愛は紙に書いた理想どおりかどうかだけで続けていけるものではないと知っている。

「生きていくうちに、人は常に成長し、新たなことに意識が目覚めていきます。私自身も、自分はこんな人間だとやっとわかったと思ったら、次の瞬間にはまたわからなくなるということを繰り返してきました。相手についても、こういう人だと理解したら、変わったりする。人にはそんな永遠のジャーニーがあるのです。私はそこに魅了されます。だからと言って、条件面で出会いのための場を設定するのは悪いことなのか? そうとは限りませんよね。そこもまた興味深いところ」

それでも、「これだけは持っていてほしい」という相手への条件を挙げるとしたらと聞くと、セリーヌは、こう答えた。「自分を愛してくれて、私も愛せる相手であること。たくさんの条件を挙げる人は多いけれど、相手に求めていいものは、それだけなんです。身長でも、お金でもない。あなたが望んでいいのは、自分を愛してくれるか。そして自分も愛してあげられるならば、真のカップルが成立するのです」

ニューヨークの結婚相談所で“マッチメーカー”として働くルーシー。仕事一筋の独身を貫く彼女の人生が、2人の男性との出会いと再会によって激しく揺れ動く。そんななか、クライアントがある事件に巻き込まれ、ルーシーは仕事も恋愛も岐路に立たされる。5/29~、全国公開。

ダコタ・ジョンソン: 1989年、アメリカ、テキサス州生まれ。俳優でプロデューサー。大ヒットシリーズ『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の主演でブレイク。主な出演作は、『ブラック・スキャンダル』、『ロスト・ドーター』、製作も手がけた『ドライブ・イン・マンハッタン』など。また、コールドプレイの「Cry Cry Cry」のミュージック・ビデオで監督デビューを果たした他、ヴァレンティノのアンバサダーを務める。

セリーヌ・ソン: 1988年、韓国、ソウル生まれ。12歳でカナダに移住。劇作家としてキャリアをスタートし、『Endlings』で高く評価される。TVシリーズ『ホイール・オブ・タイム』のシーズン1の脚本を手がけ、長編映画監督デビュー作『パスト ライブス/再会』がアカデミー賞で作品賞と脚本賞、ゴールデングローブ賞で監督賞を含む5部門などにノミネートされ、インディペンデント・スピリット賞では作品賞、監督賞を受賞する。

Editor: Mina Oba From Harper's BAZAAR June 2026 Issue

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