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【バイクと仏教の交差点】「不忘念」—ベテランライダーこそ立ち返るべき、初心という名の安全運転の原点

  • 2026.5.30

本瀧寺の僧侶・シュウケン氏による、愛車「ハーレー・エヴォリューション」と共に辿り着いた、仏教の教えとバイクの安全に関する洞察。長年バイクに乗るライダーへ贈る、慣れの中に潜むリスクを戒め、初心の大切さを説くメッセージ

修行僧の視点で読み解く「八大人覚」

本瀧寺のシュウケンです。以前お話ししましたが、昨年、愛車をショベルヘッドからエヴォリューションに乗り換えました。そのことが縁で先日、当寺で私と同じハーレー・エヴォリューションの95周年記念モデルに乗るライダーの方の集まりがありました。バイクが好きな者同士、しかも同じモデルに乗る者同士と言うことで、当日は私も含めてバイク談義などで大変話が盛り上がりました。じつはエヴォリューションは、免許を取って私が初めて乗ったバイクで、言わば私のバイクライフの原点と言うバイクなのです。原点回帰ではないですが、このエヴォリューションに乗ると、バイクに乗り始めた頃の高揚感と、運転にとても慎重であった自分を思い出します。

お釈迦様が亡くなられる直前に、弟子たちに説き残した「遺教経(ゆいきょうぎょう)」の中に「八大人覚(はちだいにんかく)」と言う教えがあります。一つ目は「少欲(しょうよく)」。必要以上に欲を持たなこと。二つ目の満ち足りていることを知り、現状に感謝する「知足(ちそく)」などがあります。ここで言う「大人(だいにん)」とは、修行者や立派な人間のことを指します。つまり八大人覚は、立派な人間になるために自覚しなければいけない、仏教において大切な八つの教えです。

その八大人覚の五つ目に『不忘念(ふもうねん)』と言う教えがあります。念とは仏の教えのこと。正しい仏の教えを忘れず、常に心に留めておくことで、誘惑や欲望に惑わされることなく、初心を貫くことができると言う意味です。

この本を読まれているライダーの中には、いわゆるベテランと言われる方も多いかと思います。また運転技術の高い方もいらっしゃることでしょう。でも、思い出してください。初めてバイクに乗った頃のことを。決して運転技術も高くなく、また経験も浅い時、どのような気持ちでバイクを運転していたでしょうか。交差点などで曲がる時や、進路変更ひとつするだけでも、とても慎重になっていた自分が、きっとそこにいたと思います。つまり運転技術の未熟さや経験の浅さを、慎重な運転でカバーしていたのです。

運転技術や経験の不足が原因の事故や、避けようのない事故も少なからずあります。でも、バイクをはじめ交通事故の多くは、慣れから来る油断が原因だと聞きます。

交差点での左折車・右折車への注意、定期的な休憩の推奨など、免許を取る時に習ったことは、交通事故を起こさないための正しい教えなのです。ただ、慣れとともにそれらが疎かになりがちです。

『不忘念』。いま一度、初心に戻って、安全運転を心がけてください。合掌。

シュウケン和尚の愛車をはじめ6台の2ハーレーダビッドソン・エヴォリューションの95周年記念モデルが、去る2月22日の本瀧寺に集合。これだけの台数の同記念モデルが集まるのは珍しく、第2回、第3回と今後も続けたいそうだ

1998年にハーレーダビッドソン創業95周年を記念して発売されたFLSTSヘリテイジスプリンガー。エヴォリューション最後の限定モデルで、世界限定3000台の希少なモデルだ

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