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世界に誇る、東京の食と文化の交差点。通いたくなる築地の“粋”なスポット8選

  • 2025.9.25
築地
BRUTUS

古くから東京の台所として賑わい、近隣には歌舞伎座や東劇ビル、築地本願寺などが立ち並ぶ、暮らしの中に伝統と文化が息づく街、築地。BRUTUS編集部からも程近いこのエリアで、編集部員も足繁く通う(本当は秘密にしておきたい)おすすめスポットを紹介。100年以上続く老舗から、新しいアートスポットまで。

本種

気取らない店で、気前の良い寿司を

観光客で賑わう築地市場の中心から少し離れた、静かな路地に佇む一軒。エンジ色の暖簾と提灯が目印の、知る人ぞ知る寿司店〈本種〉は、他とは一線を画す、庶民的な価格と古き良き人情味が今なお残る、歴史の断片のような逸店だ。

もともと埼玉でお店を営んでいた先代の本種博さんが、築地でお店を始めたのは約23年前。その後、息子の健二さんが自身が営んでいた店をやめ、父である博さんのお店を継ぐ形で共に働き始め、現在は親子2代で切り盛りをする。

「親父から教わったのは競艇くらいだね(笑)」と2代目。握り方はお互いの修業先で培ったそれぞれの技術を尊重しているが、青磁の皿に、大ぶりなネタが花びらのように盛られる様子は、先代から受け継ぐ〈本種〉ならではのスタイルだ。2種類のお米をブレンドした硬めのシャリの存在感とそれにも負けない肉厚のネタ、ぜひ寿司を頬張る喜びに満たされてほしい。

本種の寿司
写真は1.5人前2,500円。1人前は2,000円。その他「丸チラシ」1,500円も。その日おろした魚の骨など余すところなく使って出汁をとる味噌汁付き(全てランチメニュー)。
本種のカウンター
スピーディーに握られていく寿司、その手際を眺められるのはカウンター席の醍醐味。キッチンの奥には、テーブル席も。
本種の内装
テーブル席は、職人の後ろ姿を眺められる特等席。店内のあちこちに掛かる絵は、常連客が描いた作品。「うちはギャラリーじゃあねぇんだから、持ってくんなって言ってるんだけどね(笑)」と2代目。
本種の外観
入口は2つ。カウンターの席の方は正面口へ、テーブル席の方は暖簾のかかった奥の扉から。

Information

本種

住所:東京都中央区築地6-25-4
TEL:03-5565-1923
営:昼(10時30分~14時)夜(17時~21時)
休:水

フォーシーズン

築地で出合う、まるで草原なスパゲッティ

1982年創業のコーヒー&スパゲッティの店。もともとは喫茶店としてスタートし、築地市場で働く人を中心にパンとコーヒーのモーニングなども提供していた。スパゲッティが評判を呼び、今では、ほとんどの人がスパゲッティを目当てに訪れている。

名物は、たっぷりの大葉と海苔に覆われた、まるで草原のような見た目の「和風スパゲッティ」。ほかにも、築地らしくシーフードをふんだんに使ったナポリタンや、ルウに加え、麺にもカレー粉をまぶしたカレースパゲッティなど、どのメニューもオリジナリティがある。

食のプロが集うこの地で愛され続けてきた味。「築地といえば海鮮」とつい定番を選びがちな人にこそ、一度は堪能してほしい一皿だ。

フォーシーズンのスパゲッティ
一番人気の、大葉と海苔がこんもりと盛られた醤油ベースの「和風スパゲッティ」(920円)。具材は、シイタケ、ソーセージ、タマネギ、ピーマン。もともとはまかないメニューとして考案されたもの。
フォーシーズンのスパゲッティを作る様子
「和風は焼き加減があまいと旨くないから、焦げる手前までしっかり焼くんだよ」と強火で中華鍋を振る。コツン、コツンと店内に響き渡る中華鍋の音も、この店の名物だ。
フォーシーズンのオレンジスカッシュ
スパゲッティとあわせて必ず頼みたいのが、生搾りの「オレンジスカッシュ」(550円)。「俺は気前がいいんだよ(笑)」とオレンジを丸々1個使用する。
フォーシーズンの店内
調理担当のマスター・新井義信さんと、妻でホール担当の香さんの息の合ったコンビネーションも気持ちがいい。訪れる客はみんな「今日も美味しかったよ」「どうも、ありがとう!」と、2人と言葉を交わし店を後にする。

Information

フォーシーズン

住所:東京都中央区築地4-14-18
TEL:03-3545-9494
営:9時30分〜15時
休:日・祝

大野屋精米店

明日も食べたい、お米屋さんのおにぎり

100年以上続く老舗〈大野屋精米店〉が、おにぎり屋を始めたのは1992年。現在の店主、5代目の小境陽子さんの両親がスタートさせて以来、今でも毎朝7時の開店前から常連客が並び、築地の働き手に愛され続けている。

玄米をその場で精米した新鮮な白米を食べられるのは精米店ならでは。ガス釜による炊きたてのご飯で握られるおにぎりは、粒感が際立ちつつも口の中でやわらかくほどける。

海苔は築地に本店を構える〈丸山海苔店〉から仕入れた香り高いものを使用。具材も市場から仕入れた鮭や、こんぶ・ツナマヨネーズなど、選ぶのが楽しくなる20種類以上もの定番が並ぶ。

また、カウンターに設置された無料配布のたくあんも名物。「たくあんがないと、おにぎりは食べられないでしょう」と陽子さんの父が考案したのだそう。そんなサービス精神と温かさに溢れる味に、明日もまた来たくなるはずだ。

大野屋精米店のディスプレイ
おにぎりはどれも一つ120gほどの程よいサイズ感。おかずも1個から購入できるため「ちょっとだけ食べたい」という気分にも応えてくれる。お腹の空き具合に合わせて組み合わせたい。
大野屋精米店の外観
お米屋さんの一角がおにぎりコーナーに。最初はおにぎりだけだったが、常連客の「お弁当も食べたい」の一言をきっかけに今では弁当も充実。
大野屋精米店のガス釜でご飯が炊ける様子
主にコシヒカリを使用。粘りが強いため、冷めても硬くなりにくくおいしさが保たれる。具材に合わせてもち米などをブレンドすることも。
大野屋精米店のおにぎり
惜しみなく混ぜ込まれたシソに、アクセントのチーズが嬉しいしそチーズ(230円)は全世代に人気。「どこから食べても具材を味わえるように」との思いから、創業当時から三角すべてに具材が入るように握られている。

Information

大野屋精米店

住所:東京都中央区築地2-10-9
TEL:03-3541-6225
営:7時〜17時(売り切れ次第終了)
休:土・日・祝
HP:https://ohnoyakometen.wixsite.com/ohnoyakometen
Instagram:@oono.ya

喫茶マコ

バトンが受け継がれる、伝説の喫茶店

1961年創業。築地場外で最も古い喫茶店〈喫茶マコ〉は細い路地を入ったビルの2階にある。赤い扉を開けると目を奪われるのは、年季の入ったカウンターや照明、ピンクの電話など創業当時の趣が残った渋い内装。

57年の営業を経て、現在のオーナーの吉田哲也さんに引き継がれたのは2019年。喫茶店では珍しいお雑煮は、初代のマサコママから続く定番メニューだ。「創業当時、場内市場では季節を問わず冷凍庫の中で働いている人がいて。冷えきった体を温めてもらいたい――そんな思いで作りはじめたそうです」とスタッフの中川宗祐さんは語る。

「人前で出汁は取れない。」と、レシピはママだけが知る秘密だったため、当初吉田さんらは蕎⻨屋〈⻑生庵〉の出汁を用いるなど試行錯誤、築地ならではの海鮮雑煮をオリジナルで作っている。新しい風が吹き込まれながら受け継がれる味を、ぜひ堪能してほしい。

喫茶マコの海鮮雑煮とコーヒーのセット
〈喫茶マコ〉の代名詞、コーヒーと海鮮雑煮のセット(2,000円)。ハマグリ、真鯛、帆立、ずわい蟹と、主役級の海の幸がひと椀に勢ぞろい。丸いお餅は〈大野屋精米店〉による手作り。
喫茶マコのスタミナジュース
オリジナルメニューのスタミナジュース(700円)は、創業時からレシピが変わらない定番。生レモンと蜂蜜、卵黄をミキサーを使わずシェイカーでシェイクすることで、空気を含んだやさしい口当たりに。さっぱりした爽やかな飲み心地だ。
喫茶マコの内観
店内はソファ席が9つ。内装やソファは創業当時のまま。壁に飾られた絵はママが残したものから、現在のスタッフのものまで飾られている。
喫茶マコの看板
珈琲・お雑煮の文字が目を引く赤い看板が目印。夜の営業にて1日1組限定の貸切宴会コースも提供中。

Information

喫茶マコ

住所:東京都中央区築地4-9-7
TEL:03-3248-8086
営:10時〜15時
休:水・不定休
9月25日にリニューアルオープン予定。詳細はInstagram @kissamaco で。

SHUTL

松竹〉が開いた、新たなアートスペース

歌舞伎座や新橋演舞場をはじめ、古くから文化が息づく東銀座・築地エリア。その街に本拠地を構える〈松竹〉が2023年に立ち上げたのが、アートスペース〈SHUTL〉だ。オープン時には、黒川紀章が設計した⟨中銀カプセルタワービル⟩のカプセルを譲り受け、ギャラリーに常設。2025年5月からはカプセルを取り除いた、より自由度の高い空間へとリニューアル。

「『現代美術って、難しい。』とどうしても思われがち。でも僕は『かわいい』とか『欲しい』とか、そんな直感的な感情も立派なアート体験だと思っています」。そう語るのは、ディレクターの黒田純平さん。

彼の軸にあるのは「どんな人でも文化の入口として楽しめる場所づくり」。実際に〈SHUTL〉では、SNS世代が思わずシェアしたくなるようなポップな作品から、じっくり時間をかけて思索を促すコンセプチュアルな展示まで幅広く展開している。東銀座を歩いていて、ふらっと立ち寄ったら思いがけない展示に出会えた。そんなふうに、日常に溶け込むギャラリーを目指す。

シャトルの展示風景
タムラサトル個展「レイという青いワニはまわるのに60秒かかるジョージという白いワニはまわるのに30秒かかる」/タムラサトルの大規模インスタレーション。2体の“まわるワニ”を起点に、約500体のワニたちが会場内を回るユニークな展示となった(2025年5月開催。現在は終了)。撮影:山根香
シャトルの展示風景
「SHUTLプロデュース 長谷川愛 没入型インスタレーション『PARALLEL TUMMY CLINIC』コラボレーター:山田由梨」/舞台は、未来都市・東京。⻑⾕川愛が⼈⼯⼦宮をテーマにコラボレーターに山田由梨を迎え制作。鑑賞者は1組ずつ作品の指⽰に沿って空間内を移動。50年後の東京における⽣き⽅や家族の在り⽅を⾝体的に体験する展示となった(2025年6月〜7月開催。現在は終了)。著作:長谷川愛、委嘱:SHUTL、撮影:山根香
シャトルの展示風景
佐藤穂波 夜行個展「あっちからきました」/夜行のぬいぐるみたちが空間を自由に泳ぐ幻想的なインスタレーション。来場者を包み込む、動きと光のある展示空間となった(2025年8月開催。現在は終了)。撮影:山根香
シャトルの展示風景の外観
外からでも展示の様子が見える、2面ガラス張りの開放的な建物が目印。

9月19日(金)から10月5日(日)まで、寿司キャラクター『おしゅし』の作者・YBIによる個展が開催予定。〈SHUTL〉での展示が第2弾となる今回も、『おしゅし』の世界に存在する未到の地「銀シャリ雪山」に住むキャラクター「おすしピープル」にフォーカス。

Information

SHUTL

住所:東京都中央区築地4-1-8
営:13時〜19時
休:火・水
Instagram:@shutl_shochiku

チャイム

レトロなステーキハウスで、小さな幸せを噛みしめる

BRUTUS編集部からも程近い〈チャイム〉は、1971年創業のステーキハウス。先代の成田幸雄さんが、鉄板焼ステーキを世界で初めて提供した名店〈鉄板焼ステーキみその〉での修業を経て、開いた店だ。

現在店に立つのは、2代目の博之さん。印象的な真っ赤な内装も、ステーキの味付けも、庶民的な価格も開業当時のまま。「昔から父がそういうスタイルでやっていたので」と先代の意志を守り続けている。

ステーキは、羊やサーロイン、ヒレも人気だが、一番注文が多いのはハラミの「ステーキランチWカット」。店内にステーキソースはなく、味付けは辛子酢醤油一択。辛子は辛さ控えめなので、たっぷりと付けるのがおすすめ。ほんの少しでも、何かいいことがあった日にふと寄りたくなる店だ。

チャイムの「ステーキランチWカット」
ランチで一番人気の「ステーキランチWカット」(1,700円 ※2025年10月1日より1,900円に)。ステーキとたっぷりの野菜をひと掴みに、辛子酢醤油につけていただく。
チャイムの二代目の博之さんがステーキを焼く様子
鉄板はカウンターではなく、各テーブルに設置されている。目の前で自分のためだけに焼いてくれるこの高揚感は、何にも代えがたい贅沢。
チャイムのガーリックライス
フライドガーリックと塩、胡椒のみで仕上げるシンプルなガーリックライス(600円)は、長年ファンの多い逸品(提供は夜のみ)。
チャイムの内観
70年代の面影を残した渋い店内。真っ赤な内装だが、不思議と落ち着くのは昭和の残り香が漂っているからか。

Information

チャイム

住所:東京都中央区築地1-12-22 コンワビル B1F
TEL:03-3542-0165
営:9時30分〜14時20分、18時〜20時 *夜は予約のみ。
休:土・日・祝

Turret COFFEE

築地から世界へ届ける、とびきりの一杯

「おいしいものって市場に集まるじゃないですか。だからこそ築地からおいしいコーヒーを届けたいと思って、この場所でオープンしようと決めました」とオーナーの川﨑清さんはそう語る。店名の「ターレット」も築地ならではの命名。かつて市場内でよく見かけたターレットトラックが由来となっている。

店内にはジャスティン&ヘイリー・ビーバー夫妻やハリー・スタイルズらのサインもあり、世界的スターがお忍びで訪れるなど、世界各国から観光客が訪れる。

さまざまな国の方が訪れることに対して、川﨑さんは「偶然、縁があっただけ」と話すが、アメリカから来たお客さんとの縁で、ニューヨークとロサンゼルスで10周年を記念したポップアップを開催するなど、築地から世界中にファンを広げている。

ターレットコーヒーのカフェラテとどら焼き
看板メニューのターレットラテ(730円)はダブルショットのエスプレッソを使用。ビターさと、キメの細かいミルクが混ざり合うまろやかさが印象的な、特別な一杯だ。ターレット ドラ焼き(330円)はほんの少しバターが塗られており、そのミルキーさがラテとよく合う。
ターレットコーヒーの内観
入り口正面のカウンターで、店主の川﨑さんが一杯ずつ丁寧に淹れる。店内は常連客からプレゼントされたコアラのぬいぐるみや写真などで彩られる。
ターレットコーヒーのキャロットチーズケーキ
おすすめはターレットキャロットケーキ(990円)。お店の常連のミシュランシェフJérôme氏とコラボした新作だ。持ち帰りもOKなので、お家でのコーヒーブレイクのお供にも。2025年10月19日から発売開始予定。
ターレットコーヒーの外観
築地駅から徒歩2分と程近い。赤いベンチと大きな植物が目印。その店名の通り、お店のロゴマークはターレットトラックがモチーフになっている。

Information

Turret COFFEE

住所:東京都中央区築地2-12-6
TEL:080-3344-8819
営:7時〜17時(日曜のみ、8時〜16時)
休:水
Instagram:@turretcoffee

熊出屋 山野井商店

プロが信頼する、調理道具店

飲食店が立ち並ぶ市場の中心。ここに70年以上の歴史を誇る老舗料理道具店〈熊出屋 山野井商店〉がある。店内には、鍋やザル、箸、竹製品といった和食に欠かせない道具が所狭しと並び、訪れる者の料理心を刺激する。

「インターネットで買うと、手入れや正しい使い方がわからないでしょう。だからこそ、どうすれば長持ちするかまで丁寧に伝えています。もし万が一壊れてしまったらまたここへ来て。修理をすれば10年、20年と使い続けられますよ」。そう語るのは、4代目を受け継ぐ店主・山野井裕幸さん。

朝4時に開店するのは、今もなお築地に買い物にくるプロの料理人に合わせてとのこと。短い時間で仕入れや仕込みを済ませる料理人にとって、この場所はなくてはならない存在だ。必要があれば、店主自ら道具の配送に出向くこともあると言う。

「築地は助け合いの街ですから」

市場の移転で街の風景は変わったが、古き良きアナログの商習慣は今も変わらず続いている。

熊出屋 山野井商店の店内
仕入れは、金属加工製品の生産が盛んな新潟・三条を中心に全国の専門メーカーから。確かな知識と質の高い道具が揃う店として知られ、プロの料理人からも厚い信頼がある。
熊出屋 山野井商店の商品
プロへの販売だけでなく、誰でも1点から購入可能。鱗取りや巻きす、カニスプーンなど築地ならではの道具も並ぶ。
寿司桶(27㎝)6050円。しゃもじ 275円。
寿司桶(27㎝)6,050円。しゃもじ 275円。
熊出屋 山野井商店nの外観
修理やメンテナンスも店内で行っているため、一つの道具を長く使い続けることができる。ただ売るのではなく、長く愛せる道具を届けることが、この店の矜持だ。

Information

熊出屋 山野井商店

住所:東京都中央区築地4-12-6
TEL:03-3541-6772
営:4時〜14時

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