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駅員「13時頃、再開予定です」客「結論いつからですか?」豪雨で運転見合わせになった電車…元駅員が言われた乗客からの言葉の数々に「プレッシャーを感じた」

  • 2026.6.23
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元鉄道駅員の川里です。

今回は、私が駅員時代に体験した『異常時の厳しい対応』をご紹介します。雨の日のお客さま案内でも特に苦労した経験です。

雨はお好きですか?

私は子どもの頃、大雨の日は「警報が出たら学校が休みになるかも」と、少し期待するようなこともありました。

大人になると(特に駅員は)雨でも出勤しなければいけないので、天気予報を見て憂鬱な思いをしていました。

豪雨や台風が予測されて当日の出勤が難しいと判断されると、駅の近くに住む別の社員に代わりに出勤してもらうか、事前に駅周辺のホテルに宿泊するよう指示されることもあります。

私は勤務した4駅中3駅で駅の徒歩圏内に住んでいたため、列車通勤の駅員が来られなくなった際に代わりに出勤したことがあります。逆に言えば、会社の経費でホテルに泊まるような経験はできませんでした。

出勤すれば、列車の運行状況について案内しなければいけません。荒天によって列車の遅延や運休があれば構内放送のほか、改札口にホワイトボードを持ってきて運行情報を知らせます。

指令の指示が変わった

豪雨により始発から運転を見合わせていた、週末のある日のことです。高速バスも運休が発表されて街から出られない、または帰れないというお客さまで混雑していました。当初の予定では、運転再開は正午頃から。

ホワイトボードには、以下のようなことが書かれていました。

「ただいま豪雨のため、列車の運転を見合わせています」
「現在のところは正午頃からの運転再開予定です」
「10:00」

10:00とは、このホワイトボードの情報が更新された時刻のことです。

ところが11時30分頃になっても、指令から運転再開に関する情報が入りません。「どの列車から走るんだ?」と思っていると、やっと指令からの全体放送が聞こえてきました。しかし、それは私が待ち望んでいた情報を教えてはくれませんでした。

「現在も降雨量が運行管理の判断基準値を超えているため、運転再開を13時頃に変更します」

新情報を発表すると…

午前中に案内していたことが、すべて変更です。心の中で「勘弁してくれよ」と雨に毒づきながらも、駅員たちで手分けして情報の更新を行います。きっぷ売り場担当の駅員に連絡、電光掲示板の表示変更、構内放送による案内…。

私はホワイトボードの文言を書き換えることにしました。10人ほどのお客さまがやや遠巻きに見つめるなか、水性ペンとボード消しを持って改札口中央へ向かいます。気のせいでしょうか、私の背中に多くのお客さまの視線が突き刺さるように感じました。

ホワイトボードに書かれている「正午頃」と「10:00」をできるだけ丁寧に消し、それぞれ「13時頃」「11:30」に訂正しました。

書き終えてすぐ改札室に戻ろうとすると、私のすぐ後ろに近づいてきていた大学生らしき2人のお客さまから「ちょっと待って」と呼び止められました。そのお2人はじっくりと時間をかけてホワイトボードを見つめたあと、こう言います。

「結論、いつから運転するんですか? はっきり言ってください」

「頃」?

「今後変わるかもしれませんが、今のところは13時頃に再開予定です」

すると1人が、

「『頃』? 『頃』ですか?」

と私がわざとあいまいにしている部分を厳しく追及してきました。

「はい。『頃』です。相手が雨なので、この時刻に絶対に運転できるとは言えません」

何度か「頃」についての応酬を繰り広げたのち、今度はもう1人が

「そうだ、このホワイトボードを撮影しておこう。なにかあったら証拠にできるから」

と言い始めました。

ホワイトボードの写真については自由に撮影していただいて構いませんし、この言葉が私に対するものかどうかもわかりません。当時の私には、『証拠』という言葉が重くのしかかりました。

万が一再び遅れた際、この案内を書いた私の責任を厳しく問われるのではないかと、強いプレッシャーを感じたのです。

駅員なら運転計画を予測できるのか?

その後、13時に運転は再開されました。異常時は列車が完全に止まっているときより、少しずつ動き始めたときのほうが大変です。次の列車を聞かれても

「今は動きません」

で済ませていたのが、指令からの情報と照らし合わせていつの列車がどれほどの遅れで到着する見込みか調べて答えなければいけないためです。

駅員が迅速に、かつ間違いのない情報を提供しなければいけません。ここで間違うと、ただでさえ列車の遅延や運休でお待たせしているお客さまに更にご迷惑をおかけしてしまいます。

スピードも正確さも求められるので、強いプレッシャーを感じました。あのお2人の些細な言動にストレスを感じてしまったのも、このプレッシャーからだったのかもしれません。


ライター:川里隼生

鉄道会社の駅係員として8年間、4つの駅を経験しました。コロナ禍やデジタル化を通して移り変わってきた、会社としての鉄道サービスの未来像と、お客様それぞれが求めている鉄道サービスのあり方の両方から学んだことを記事にしていきます。


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