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「他人の迷惑、考えなよ」満員電車でファンデを撒き続ける乗客。だが、他の女性が放った一言で状況が一変

  • 2026.5.29
「他人の迷惑、考えなよ」満員電車でファンデを撒き続ける乗客。だが、他の女性が放った一言で状況が一変

混んだ車内でのメイク直し

仕事の帰り道、夕方のラッシュ時の電車はいつも混んでいた。

吊り革はすべて埋まり、乗客同士の距離がほとんどない状態。スマートフォンを操作する余裕もないくらい、体を固定したまま乗っている時間が続いていた。

そんな中、すぐ近くにいる女性がバッグからポーチを取り出した。

その女性は、特に周囲を気にする様子もなく、ファンデーションのパウダーを広げ始めた。

コンパクトのブラシが動くたびに、粉が細かく舞う。

密閉に近い空間の中で、鼻の奥にじんとくるような感触があった。

わたしだけかと思っていたら、近くに立っていた乗客がひとり、咳払いをした。

続けてもうひとりが口元を手で押さえた。喉に詰まるような感覚に耐えているのが伝わってきた。

それでも女性はまったく手を止めなかった。

コンパクトを傾け、チークを重ね、リップを出す。ひとつひとつ丁寧に、作業を続けていた。

吊り革を握るほかの乗客たちも、声を出せずにいた。

視線をそらし、誰かが何とかしてくれることを待っていた。わたしも同じだった。「やめてください」と言える雰囲気ではなかったし、そこまで踏み込む勇気がなかった。

一言で変わった車内の空気

そのとき、立っていた若い女性が、ゆっくりとこちらへ視線を向けた。

鮮やかな色使いのファッションに身を包んだ、20代と思われる女性だった。

その人が、穏やかだがはっきりした声でこう言った。

「他人の迷惑、考えなよ」

車内がわずかに静まった。

メイク直しをしていた女性は手を止め、声の方向を見た。

表情に一瞬、反論しようとする気配が浮かんだ。けれどそのとき、周囲の乗客が次々とうなずいていた。

咳き込んでいた人も、黙って立っていた人も、視線で同意を示していた。誰ひとり、若い女性の言葉に異を唱えなかった。

完全に孤立したかたちになった女性は、コンパクトをポーチにしまった。そして次の駅が近づくと、メイクは途中のままドアのそばへ移動し、降りていった。

わたしはただの目撃者だった。自分では声を出せなかった。

でもあのとき若い女性が放った一言と、それに続いた乗客たちの無言の連帯に、胸がすっとした。言いたかったことを、見知らぬ誰かが代わりに言い切ってくれた瞬間だった。

あの女性のことは今も覚えている。派手な見た目とは裏腹に、声は落ち着いていた。

周囲に同調を求めるでもなく、ただ当然のことをはっきり言った。そのたたずまいが、帰り道ずっと頭に残り続けた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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