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「うちまで飛んでくるように…」新築購入から4年後、隣の空き地に“異変”…30代夫婦を襲った“誤算”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.5
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

「近くの空き地に、ある日トラックが何台も停まって、建築資材が運び込まれるようになったんです。朝早くから積み下ろしの音が響き、風の強い日には土ぼこりがうちまで飛んでくるようになって…」

そう話すのは、4年前に閑静な住宅街の戸建て(4LDK・延床約33坪/土地約44坪、約4,600万円)を購入したNさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。すぐ近くの空き地は長く更地でしたが、いつの間にか資材を置く場所として使われ始めていました。

「洗濯物も外に干しにくくなって。でも、よその土地の使い方なので、どう言えばいいのか分からなくて」と振り返ります。

「資材置き場」も、住宅街にできることがある

まず知っておきたいのは、空き地に屋根のない資材置き場ができることは、住宅街でも起こりうるという点です。

屋根や壁のある倉庫なら、住宅地には建てられないこともあります。しかし、更地に資材を置くだけの場所は建物にあたらず、住宅地の用途地域による規制に必ずしも縛られません。土地の使い道は所有者が決められるもので、近隣が「やめてほしい」と思っても、基本的には止められないのです。

気になるのは「音」と「ほこり」、そして「圧迫感」

資材置き場で近隣の生活に影響しやすいのが「音」と「ほこり」、そして「圧迫感」です。

音は、トラックの出入りや積み下ろしの物音、フォークリフトなどの作業音で、早朝や日中に多く、生活の時間帯と重なりやすいのが特徴です。ほこりは、むき出しの地面や資材から土や砂が風で舞い、洗濯物や窓、車に付着します。資材が高く積み上がれば、日当たりや風通しが遮られ、圧迫感を覚えることもあります。

Nさん夫婦はどう対応したのか

戸惑ったNさん夫婦は、まず自分の家でできる工夫から始めました。ほこりが気になる日は洗濯物を室内に干し、資材置き場に面した窓はこまめに掃除して網戸も点検。ほこりをやわらげるようにしました。

それでも土ぼこりと早朝の音が続いたため、市の窓口に相談することにしました。騒音や粉じんといった生活環境の問題は「公害」として扱われ、市区町村や都道府県には公害苦情相談の窓口があります。相談は無料で、相談員が現地を調べたうえで、原因となっている事業者などに改善の指導や助言を行ってくれます。

作業が法律や条例の規制対象でなくても、作業時間への配慮や、散水・シートがけによる土ぼこりの抑制を、行政から促してもらえることがあります。公害の苦情相談では、総務省の調査によると、公害の苦情相談では、申し立てから1週間以内に約7割が解決しているというデータもあります。

Nさん夫婦の場合も、相談を受けた市の担当者が事業者に連絡し、配慮をお願いしてくれました。その後、事業者は資材にシートをかけ、早朝の搬入を控えるなどの対応をとり、以前より土ぼこりと音が和らいだといいます。

「すべてがなくなったわけではありません。それでも、行政が間に入ってくれたことで、直接ぶつからずに伝えられて、気持ちもずいぶん楽になりました」と振り返ります。

家を買うときは「周りの土地」まで見て選ぶ

戸建ての購入時は、その家だけでなく、周りの土地が将来どう使われうるかも想像しておくと安心です。

・家の周りに空き地や更地があり、将来用途が変わる可能性がないか
・洗濯物を干す場所や、窓・寝室が、空き地に面していないか
・ほこりや音に対して、室内干しや掃除などで対応できる間取りか
・空き地が近い場合は、将来、資材置き場や駐車場などになる可能性も見込んでおく

「今の静けさ」だけでなく「これから」も想像して

住宅街の静けさや見通しのよさは住まいの大きな魅力です。一方で、それは周りの土地の状況に支えられた、変わりうるものでもあります。

大切なのは、「今が静かだから、ずっと静か」とは限らないと知っておくこと。そして変化が起きたときは、感情的にぶつかるのではなく、自分でできる工夫を講じつつ、ひどいときには自治体の窓口も頼ることです。「これから変わるかもしれない環境」まで想像しておくこと。それが、住まいと長く付き合っていくための第一歩です。

参考:
騒音や悪臭などに困ったときは、気軽に公害苦情相談窓口へ(政府広報オンライン)
騒音や悪臭などでお困りの方へ(総務省 公害等調整委員会)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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