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「柵が高いから大丈夫」タワマン22階を購入も…30代夫婦、3人暮らしを襲った高層階ならではの“盲点”【一級建築士は見た】

  • 2026.7.3
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「初夏になって窓を開けることが増えたら、子どもが開いた窓やベランダに近づくようになって。柵は十分高いから大丈夫と思っていたのですが、何かによじ登ったら、と考えたら不安になってきて…」

そう話すのは、都内のタワーマンション(築7年・38階建て・22階・約72㎡)を約8,800万円で購入したLさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。見晴らしのよいベランダが気に入って選んだ住まいですが、窓を開ける日が増えたのをきっかけに、高層階ならではの安全を考えるようになったといいます。

危ないのは「柵の高さ」より「足場になるもの」

ベランダの安全というと、つい柵の高さに目が向きます。建築のルールでは、2階以上のベランダの手すりは1.1m以上と定められ、マンションもこの基準にそってつくられています。

ところが、子どもの転落で本当に注意したいのは、柵の高さよりも、そばに「足場になるもの」があるかどうかです。椅子や室外機などを踏み台に、思いがけず高いところまでよじ登ってしまうことがあります。どんなに柵が高くても、手前に登れるものがあれば、その高さは意味をなさなくなるのです。公的機関も、手すり付近に足がかりになるものを置かないよう繰り返し呼びかけています。

階数にかかわらず注意を

転落事故は階数の高い低いを問わず起きており、件数としてはむしろ2階からが多いことが知られています。自分でよじ登る力がつく3〜4歳ごろの事故が多く、とくに注意が必要です。「うちは高いから子どもも近づかない」という思い込みが、油断につながることもあります。階数にかかわらず、足場をなくし、子どもだけでベランダに出られない工夫が大切です。

ベランダだけでなく、室内の窓も注意が必要です。窓ぎわのソファやベッドを踏み台に、網戸ごと転落する事故も起きています。窓を開ける機会が増える初夏から夏は事故も増える傾向があり、窓まわりの家具の配置も見直しておきたいところです。

なお、近年のタワーマンションでは、転落や強風への対策として、ベランダに出る掃き出し窓を除く窓に、10cmほどしか開かない開口制限ストッパーが標準的に備えられています。高層階の窓が大きく開かないのは、こうした安全上の理由からです。ただし掃き出し窓には基本的にこの制限がないため、ベランダ側の足場対策はやはり欠かせません。古い建物では付いていないこともあるので、わが家の窓の仕様を一度確かめておくと安心です。

Lさん夫婦はどう対応したのか

Lさん夫婦は、ベランダと窓まわりを見直しました。椅子や収納ボックスは手すりから離し、使わないときは室内へ。室外機の位置も確かめました。窓には子どもの手が届かない高さに補助錠を付け、室内でも窓ぎわのソファをずらしたそうです。

「柵が高いことに安心しきっていました。足場をなくすことと、子どもだけで出られないようにすることが大事だと分かりました」と振り返ります。

子どものいる家は「ベランダの足場」まで確認して

小さな子どものいる家庭では、ベランダや窓まわりについて次の点を確認しておくと安心です。

・ベランダの手すり付近に、椅子・室外機・プランターなど足場になるものがないか
・エアコンの室外機が、手すりから十分に離れているか
・窓に、子どもの手が届かない位置の補助錠がつけられるか
・窓ぎわに、踏み台になるソファやベッドを置いていないか
・掃き出し窓以外の窓に、開口制限ストッパーが付いているか(解除されたままになっていないか)

「見晴らしのよさ」を、安心して楽しむために

ベランダからの眺めや開放感は住まいの大きな魅力です。その心地よさを安心して楽しむには、子どものいる時期の安全への目配りが欠かせません。「柵が高いから大丈夫」と考えず、足場をなくし、子どもだけでベランダや窓に近づけない環境をつくること。短い時間でも、子どもだけをベランダのある部屋に残さないことも大切です。

「眺めのよさ」と「子どもの安全」。その両方を大切にすることが、高層階での子育てを安心して楽しむための第一歩です。

参考:
窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!(消費者庁)
ご注意ください!窓やベランダからのこどもの転落事故(政府広報オンライン)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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