1. トップ
  2. 住まい
  3. 「毎回の車庫入れで冷や汗」念願のミニバン買い替えも…30代夫婦が後悔したワケ【一級建築士は見た】

「毎回の車庫入れで冷や汗」念願のミニバン買い替えも…30代夫婦が後悔したワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.6.27
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「家族でキャンプに行きたくて、念願のミニバンに買い替えたんです。そうしたら、駐車スペースには入るのに、毎回の車庫入れで冷や汗をかくようになって…」

そう話すのは、郊外の戸建て(4LDK・延床約33坪/土地約42坪、約5,100万円)を購入したAさん(30代夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。購入時はコンパクトカーに乗っていましたが、子どもの成長と夏のレジャーをきっかけに、大型のミニバンへ買い替えたところ、駐車をめぐって思わぬ悩みを抱えることになりました。

駐車スペース自体には、ミニバンもどうにか収まります。けれども、家の前の道路が狭いため、バックで入れようとすると一度で決まらず、何度も切り返すはめに。

「コンパクトカーのときは、すっと入っていたのに」とAさんは振り返ります。

「車が入る」ことと「停めやすい」ことは違う

駐車場を考えるとき、つい「その車が収まるかどうか」だけに目が向きがちです。しかし、毎日のことを考えると、もうひとつ大切なのが「無理なく出し入れできるか」です。

車をバックで車庫に入れるとき、私たちは前面道路の幅を使ってハンドルを切り、向きを変えています。道路が広ければゆったり一度で入れられますが、道路が狭いと、ハンドルを切る余裕がなく、何度も切り返すことになります。とくに全長の長いミニバンやワンボックスカーは、ホイールベース(前後のタイヤ間の距離)が長いため小回りがきかず、バック時には車の前部が外側に大きく振り出されるため、同じ駐車スペースでも、コンパクトカーなら楽に停められるのに、大型車だと一気に難しくなるのです。

つまり、停めやすさは「駐車スペースの広さ」だけでなく、「前面道路の幅」とのバランスで決まる、という視点が欠かせません。

前面道路の「4m」は、駐車のための幅ではない

ここで知っておきたいのが、前面道路の幅です。建築のルールでは、敷地が原則として幅4m以上の道路に接していることが求められます。そのため「4mあるなら大丈夫だろう」と思いがちですが、注意が必要です。

この4mという幅は、車がすれ違ったり、災害時に避難や消防活動をしたりするために定められたもので、「駐車場に車を出し入れするための幅」として決められたわけではありません。実際、道路幅が4mだと、車種によっては車庫入れに何度も切り返しが必要になります。

とくに、自宅前の道路脇に電柱が立っていると、その分だけ切り返しに使えるスペースがさらに狭まり、ハンドルを切るタイミングもずれて、車庫入れが一段と難しくなります。これが5mあると、車の前部(フロント)を振るための余裕が生まれ、切り返しの回数もぐっと減るとされています。

道路が狭いほど、駐車スペースの側に幅のゆとりが必要になる、という関係を覚えておくと安心です。

Aさん夫婦はどう対応したのか

毎回の車庫入れに苦労していたAさん夫婦は、まず停め方を見直すことにしました。

駐車スペースの間口を最大限に使えるよう、停める角度や切り返しの位置を工夫し、無理なく入れられる手順を家族で確認。それでも不安が残るため、後方を映すバックカメラを取り付けたほか、隣地との境にミラーを置いて、塀や隣地との距離をつかみやすくしました。「車のサイズと、家の前の道路は、セットで考えるものなんだと、買い替えて初めてわかりました」とAさんは振り返ります。

家を買うときは「車の出し入れ」まで確認して選ぶ

戸建ての購入を検討する際は、駐車スペースの広さだけでなく、車を無理なく出し入れできるかも確認しておくと安心です。とくに以下の点を意識してみてください。

・前面道路の幅(バックで車庫入れするときに、余裕を持って切り返せるか)
・いま乗っている車だけでなく、将来大きめの車に乗り換えても扱えるか
・駐車スペースの間口(道路に面した入り口)が、十分に広く取れているか

「いまの車」だけでなく「これからの車」も想像して

車は、家族の暮らしの変化に合わせて、買い替えていくものです。子どもが大きくなったり、趣味が変わったりすれば、いまより大きな車に乗りたくなることも十分あります。

大切なのは、いま乗っている車だけを基準にせず、これから乗るかもしれない車まで見据えること。そして、駐車スペースの広さと前面道路の幅を、セットで考えておくことです。家を建てる前であれば、設計の段階で建築士に相談しておくと安心です。

「いま、停められるか」だけでなく、「これからも、無理なく出し入れできるか」まで想像すること。それが、毎日の駐車を気持ちよく続ける第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる