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電車の運転士、いつどこで昼をとっている?現役鉄道社員が明かす、“リアルな食事事情”

  • 2026.7.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

オフィスで働く一般的な会社員であれば、「お昼の12時になったら昼休み」などの決まったリズムが多いですが、運転士や車掌の鉄道乗務員にはそのような固定の休憩時間はありません。列車の運行スケジュールに合わせて出勤時間や退勤時間が決まり、その合間に休憩時間が組み込まれているため、その日担当する乗務の行路によって「何時から、どこで休憩できるか」は毎日変わります。

早朝や深夜の勤務も当たり前という過酷なシフトの中で、乗務員たちは一体いつ、どこで、何を食べているのでしょうか。今回は、鉄道乗務員の胃袋を支える食事事情と、時代の流れによる変化に迫ります。

ある運転士の昼食風景

ある日の出勤時の点呼場で、一人の運転士がその日の乗務行路表を確認しながら、頭の中でスケジュールを組み立てます。

「よし、今日の昼休憩は○○駅のタイミングだな。お昼は社食で定食を食べようか」

午前中の乗務を無事に終え、昼前に○○駅へと到着した運転士は、駅の奥にある社員専用通路へと入っていきます。その先にあるのが社員食堂です。食堂内は、同じように休憩時間を迎えた他の乗務員や駅員たちが集まり、活気に満ちていました。

この食堂では会社から食事補助が出ているため、割引価格でボリュームある定食を食べることができます。運転士はしっかりとエネルギーを補給し、再び気を引き締めて午後の乗務へと向かっていきました。

鉄道員を支える「社員食堂」と「まかない」

社員数の多い鉄道会社を中心に、主要駅や乗務員が所属する車両基地などの現場には、こうした社員食堂が設けられていることが多くあります。

中には一般の人が利用できる食堂もあり、大阪の南海電鉄難波駅にある社員食堂や、岡山にあるJR貨物岡山機関区の「JR貨物食堂」などは、鉄道ファンや地元の人にもよく知られています。しかし、それ以外にも社員や関係者しか入れない専用の食堂が数多く存在します。不規則な勤務で体力を消耗する乗務員にとって、安価で温かく、ボリュームのあるメニューが揃う社員食堂は、まさに心強い味方です。

一方で、食堂ではなく「食事当番」を交代で置き、乗務員自身がまかないを作るという文化を持つ会社もあります。こうした職場では、先輩から後輩へと代々引き継がれてきた伝統の定番メニューが存在することもあり、"同じ釜の飯を食う"ことでチームワークを養うという側面もありました。

時代の変化と「社食」の縮小

しかし近年、こうした鉄道現場の食事事情にも大きな変化が訪れています。

経費削減や施設の老朽化などの事情から、維持費のかかる社員食堂が縮小・閉鎖されるケースを耳にすることが増えました。また、世代の移り変わりや、本来の業務に専念するべきという働き方の見直しの流れの中で、交代制の食事当番を廃止する職場も増えています。

この背景には、駅構内にコンビニエンスストアや飲食店が充実し、都市部であれば駅の周辺でいつでも手軽に食事ができる環境が整ってきたことも大きく影響しています。わざわざ社食やまかないに頼らなくても、食事を手に入れる手段が広がったのです。

健康経営を支える「設置型社食」

食事の選択肢が増えた一方で、新たな課題も浮上しています。コンビニ弁当や手軽なインスタント食品ばかりに頼っていると、どうしても栄養バランスが偏りがちになってしまうことです。

ただでさえ早朝・深夜・泊まり勤務など不規則なシフトが多く、体調管理が求められる乗務員にとって、食事の乱れは重大な問題で、鉄道会社としても無視することはできません。そこで最近では、健康経営の一環として、従来の厨房を持つ社員食堂ではなく、冷凍やチルドの食品を事業所に備え付ける「設置型社食」を導入する会社が増加しています。時間を問わず、電子レンジで温めるだけで栄養バランスの取れた食事ができるシステムは、不規則な鉄道現場のニーズにマッチしているのです。

変わりゆく食事の風景

少し前、筆者がまだ現場の近くで仕事をしていた頃、夕方になると事務所の奥にある台所から、食事当番が作るまかないの美味しそうな匂いが漂ってきたものです。出汁の香りや炒め物の音が聞こえると、心地よく温かい気持ちになったのを思い出します。

時代の流れや働き方の変化とともに、そうした光景は徐々に少なくなってしまいましたが、乗務員が日々安全に電車を走らせるためのエネルギーの源が食事であることに変わりはありません。どれほど忙しい勤務の中でも、乗務員たちがホッと一息つき、ゆっくりと食事を楽しめる時間が守られ続けることを願っています。


参考:
乗務員おススメ「てつめし!」(JR東日本秋田支社)
運転士の一日(南海電気鉄道)
「近畿日本鉄道株式会社」導入事例(日清食品 完全メシスタンド)
運転士のお仕事紹介(神戸電鉄)
先輩たちの声|鉄道現業職(京成電鉄)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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