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映像化が“できなかった”16年前の小説「絶対に観るべきやつ」「ゾクっとする」新作映画で“新境地”を開いた主演女優

  • 2026.7.2
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(C)京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

2010年に刊行された京極夏彦の小説『死ねばいいのに』が、奈緒主演で映画化。映画の公式サイトに、原作者の京極は「今となっては、このタイトルが足を引っ張るのではないかと案じています」というコメントを寄せている。これまで何度となく映像化の話はあったが、衝撃的なタイトルゆえにすべて流れてきたという。だが、金井純一監督のもと実現した今回の映画化作品は、このタイトルが単なる暴力表現ではないことを伝えている。特定の誰かへと向けられた言葉ではなく、社会の不条理、そして人間の本質を炙り出す響きとして表現されている。

奈緒がタイトルの強さに負けない熱演を見せる映画『死ねばいいのに』

原作では男性だった主人公が、映画化にあたって女性という設定になり、奈緒が演じることに。演技力に定評があることと、過去に『マイ・ダディ』で金井監督と仕事をした際に培われた信頼関係が決め手だったという。

主人公の名前は、“映す子”という意味を持つ“映子”。『桐島、部活やめるってよ』などで知られる喜安浩平が本作の脚本を担当しており、喜安が映子と命名した。観客が自分を投影しやすい“映す子”、そして匿名性を帯びた存在である“A子”にも聞こえる名前だ。金井監督は、タイトルの強さに負けずに、映子像を作り上げられる人物は奈緒しかいないと思い、起用したという。

ストーリー
鹿島亜佐美という女性が殺された。犯人は未だ分からず、犯行動機も不明。そんな中、渡来映子が「亜佐美のこと、聞かせてもらいたいんです」と、生前、彼女と付き合いがあった人々のもとを訪ねてくる。
出典:『死ねばいいのに』公式サイト

予告にもあるが、映子は亜佐美とは友達ではないと断言している。それなのに、なぜ彼女は亜佐美のことを聞き回るのか? 一体、どのような関係だったのか? かなり無礼な態度で、口調はきつく、鋭く相手の弱点を突く映子。そんな映子を熱演する奈緒は、これまでの作品とは、また違った演技を見せており、新境地を開いたと感じさせる。予告を観た人たちからは「相手を煽るような冷徹な表情がたまらない」「ゾクッとする演技が最高!」といったコメントが上がっている。ほかにも「映画を観終わった後、このタイトルが自分の中でどう変化するのか、その衝撃と余韻を味わいに行きたい」「一瞬も気が抜けないサスペンスになりそう」などの声も。

草原での演劇のような演出が印象的

映子が話を聞きに行く相手は、亜佐美の上司、先輩、彼氏、そして母親。それぞれを、前原滉、髙橋ひかる、草川拓弥、田畑智子が演じている。4人とも亜佐美と深く関わった存在だが、映子が詰め寄ると、全員、醜い内面が浮き彫りになっていく。まるで、化けの皮がはがされていくようになる4人。自分だって苦しいのだと訴える4人に対して、映子はタイトルの言葉を投げかける。

奈緒は、1人1人と対峙する映子を体現しながら、“映す子”として、観客を物語へと没入させていく。実際は室内やビルの中庭のような場所で行われているやり取りを、幻想的に広い草原で撮影しているのが興味深い。映子と相手が草原で2人きりとなって言い合う、演劇のような演出も印象的だ。

狂気を感じさせる演技を披露している草川拓弥

共演者の中でも、亜佐美の彼氏・佐久間雄也を演じる草川拓弥(超特急)に注目する声が高まっている模様。草川は、2026年はすでに『殺手#4』『モブ子の恋』『祝山』と3本の出演映画が公開された。2025年の『栄光のバックホーム』での好演も清々しかったが、今回はまた演技の幅を広げたのではないだろうか。「これまでにない暴力的な役で、狂気を感じる演技にゾクゾクする」といった投稿が見られた。

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(C)京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

映子が話す相手としてもう1人、五條陸という人物がいる。演じているのは、『東京サラダボウル』でも奈緒と共演した平原テツ。今回の2人の対話シーンには緊張感があり、非常に見応えがある。奈緒、平原、草川らの名演に引き込まれる本作には、「予告だけでも息が詰まるような空気感」「実力派の役者たちが1対1でぶつかり合っている」など、期待の声が多い。「スクリーンで絶対に観るべきやつ」といった、劇場公開を待ちわびるコメントも見られた。

難役を瑞々しく好演する伊東蒼

そして、本作の重要な人物である亜佐美を、若手演技派俳優ナンバーワンの1人と呼べる伊東蒼が演じている。子役から活躍している彼女は、NHK大河ドラマ『平清盛』と『どうする家康』に出演。NHK連続テレビ小説は『おかえりモネ』に出演し、2026年度後期の朝ドラ『ブラッサム』への出演も決まっている。

2026年4月期のフジテレビ系“月9”ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』でも活躍した伊東。映画は、『空白』や『さがす』などで秀逸な演技を見せ、近年も『大きな玉ねぎの下で』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』での名演技が感動的だった。2026年8月21日には、『八月の声を運ぶ男 映画版』が公開予定となっている。

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(C)京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

本作の亜佐美役は、非常に難役だと思うが、伊東は瑞々しく好演している。映子の手を握り、「私、今すっごい幸せ」と満面の笑みで語る亜佐美。そんな彼女が、なぜ命を奪われなければならなかったのか? 犯人は誰なのか? 映子の謎、亜佐美の謎が明かされていき、映画を観終わった時、深い余韻が胸に広がっていく。キーパーソンである亜佐美を演じ切った伊東にとって、本作は代表作の1本になるに違いない。

今後の飛躍も楽しみな伊東と、主演の奈緒とのケミストリーが素晴らしい映画『死ねばいいのに』。鑑賞した後に、タイトルへの想いがどのように変化するか、ぜひ確認してみてはいかがだろうか。


※制作の裏側についてはプレス資料・公式サイトより引用

『死ねばいいのに』2026年7月3日(金)公開
出演:奈緒、伊東蒼、前原滉、髙橋ひかる、草川拓弥、浅野竣哉、カトウシンスケ、木原勝利、日高七海、田畑智子、平原テツ
原作:京極夏彦 「死ねばいいのに」(講談社文庫)
監督・編集:金井純一 脚本:喜安浩平
配給:S・D・P
公式サイト:https://shinebaiinoni-movie.com/
(C)京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

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(C)京極夏彦/2026映画「死ねばいいのに」製作委員会

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X:@KumikoShimizuWP

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