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医師から『舌がん』を宣告された50代男性→数ヶ月前から、口内に起きていた“小さな違和感”に「もっと早く病院に行っていれば…」

  • 2026.6.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

あらゆる病気に対応し安全な手術をお守りする、麻酔科専門医の松岡です。日々多くの麻酔を担当する中で「もっと早く病院に行っていれば……」という切実なお声を耳にすることがあります。今回は日常的な口内炎を放置し、人生が一変した男性のお話です。

「いつもの軟膏で治るだろう」と、欠けた歯が当たる場所の口内炎を放置していたDさん(50代男性)。しかし数ヶ月後、その正体は「舌がん」と判明。彼を待っていたのは、舌の半分を切り取る手術という過酷な現実でした。現在は食事のたびにむせ返る苦しさや、言葉がうまく伝わらないもどかしさに直面し、楽しい会話や食事の時間を奪われた後悔と向き合っています。なぜ日常の不調がこれほどの悲劇を招いたのか解説しましょう。

「ただの口内炎」が筋肉を蝕むがんへ変わるまで

なぜ「いつもの口内炎」が舌の半分を失う事態を引き起こすのでしょうか。舌がんは以下のようなメカニズムで静かに、しかし確実に進行します。

【発生から浸潤へのフロー】

  • 発生:欠けた歯や合わない入れ歯による慢性的な摩擦、喫煙などの刺激が、舌の粘膜細胞のDNAを傷つけ、がん化させます。
  • 成長:初期はほとんど痛みがなく、見た目も「ただの口内炎」と区別がつかないため、市販薬で様子を見られてしまいます。この間にもがんは成長しています。
  • 浸潤:放置されると、がん細胞が増殖して硬いしこりとなり、舌の筋肉の奥深くへと根を張るように広がっていきます。

「よくある口内炎」と「危険な舌がん」の境界線

「疲れていると口内炎ができやすい」「仕事のストレスをお酒やタバコで発散したい」。ご自身の「小さな」不調をわざわざ病院に行くほどではないとやり過ごしてしまうのは、ごく自然な心理です。

しかし、今回のケースでぜひお伝えしたい「境界線」があります。

「いつか治るだろう」と思い込んでいるまさにそのタイミングです。舌は筋肉の塊であり、血管やリンパ管が豊富です。油断している隙に、がん細胞が筋肉の奥深くへ浸潤していきます。深く浸潤すると頸部(首)のリンパ節へあっという間に転移しやすくなり、命を救うために舌の半分以上を切除することになります。

その結果、発音や飲み込む機能(嚥下)に障害が残り、人生の楽しみである会話や食事が奪われてしまいます。

重症化する前に、確認すべき3つのサイン

もし口の中に違和感を覚えたら、危険なサインが隠れていないか、歯磨きの際などに以下の3つをご自身で確認してください。

1. 「2週間以上」経っても治らない

通常の口内炎は数日〜2週間で自然に治癒することがほとんどです。それ以上長引く場合は、がんの可能性も考え、一度受診しましょう。

2. 触ると「しこりのような硬さ」がある

ただの口内炎はやわらかいですが、がん細胞が増殖した部分は、周りに比べてゴツゴツとした「しこり(硬結)」になります。

3. 表面に「白や赤の斑点」が混じっている

粘膜がただれ、白斑や赤斑(前がん病変)が生じたり、少し触れただけで出血したりする場合は非常に危険な状態です。

治らない口内炎は、迷わず耳鼻咽喉科か歯科口腔外科へ

「たかが口内炎で病院に行くなんて」、周りに迷惑をかけまいと考えてしまうお気持ちはよくわかります。油断してしまうのは当たり前ですし、後悔は特別なことではありません。まさか「がん」とは思わなかったというのは、よくあることなのです。

舌がんは、60代に多いとされていますが、20~30代の若年者にもみられることがあり、注意が必要です。
しかし、舌がんは早期に発見できれば、切除範囲も小さく済み、後遺症を最小限に抑えることができます。「口内炎に気づいたら鏡で観察する」「改善しているか確認する」といった簡単なことから始めてみましょう。もしただの口内炎なら何よりです、気になる時はぜひお気軽に受診してください。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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