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“卵巣腫瘍”が発見されるも『良性だし大丈夫』と放置→急に激しい下腹部痛に襲われ…翌朝、30代女性を襲った“恐ろしい事態”

  • 2026.6.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。あらゆる病気をお持ちの方に日々対応し、安全な周術期をお守りする麻酔科専門医の松岡です。今回は、良性の卵巣腫瘍を放置したことで、大切な臓器を失ってしまった女性のお話です。

「卵巣が腫れていると言われたけど、良性みたいだし痛みもないから大丈夫」。そう判断して、忙しい毎日を過ごしていたBさん(30代女性)。

しかしある夜、突然の激しい下腹部痛と吐き気に襲われます。「少し休めば治るだろうから早めに寝よう」と我慢した結果、翌朝救急搬送された時には卵巣は完全に壊死していました。手術で片方の卵巣と卵管を失い、将来への不安を抱える日々です。

「良性だから」という油断が、なぜこれほど過酷な事態を招いたのでしょうか。

卵巣が壊死に至る「ねじれ」のメカニズム

なぜ「良性の腫れ」を放置し、痛みを我慢したことが卵巣の壊死につながったのでしょうか。これは、腫大した卵巣が物理的にねじれやすくなり、血流が完全に途絶えたことによるものです。

【卵巣捻転から壊死に至るフロー】

  1. 物理的な不安定化:卵巣が6cmを超えて腫れると、重みで根本の靭帯を軸にして「ねじれやすい」状態になります。
  2. 血流の完全遮断:何かの拍子に卵巣がねじれると、最初に「静脈」が縛られ、卵巣は腫大していき、そのうち「動脈」の血流も途絶します。こうして血液の循環が完全に止まります。
  3. 組織の壊死:酸素と栄養を絶たれた卵巣組織は、捻転の程度にもよりますが、数時間から1日程度で壊死が進み始めます。時間が経過するほどダメージが蓄積するため卵巣を温存できる確率は下がります。

「良性なら安全」という思い込みと危険な境界線

「良性だと言われたのだから、すぐにどうこうなるわけではない」。そう自分に言い聞かせ、痛みをやり過ごそうとするのは人間としてごく自然な心理です。しかし、「良性腫瘍=安全」では決してありません。卵巣嚢腫は癌化の恐れが低くても、物理的にねじれる「卵巣捻転」という恐ろしいリスクを常に孕んでいるのです。

特に危険なのは、以前から「お腹が痛んで、自然に治る」という経験を繰り返している場合です。これは、卵巣が軽度にねじれては戻ることを繰り返しているサインかもしれません。いよいよ本格的にねじれてしまった時、「いつもの痛みだ」と我慢して一晩過ごすと、その間に取り返しのつかない組織損傷が完成してしまいます。また、「痛みが消えたから治った」と思うのは最大の落とし穴です。組織が完全に壊死すると、かえって痛みを感じなくなることがあるのです。

卵巣のねじれを早期発見するための、確認すべき3つのサイン

卵巣のねじれを早期発見するために、以下のサインがある場合は注意が必要です。

1. 突然の強い下腹部痛や背部痛がある

今まで経験したことがないような痛みが急に始まった場合、卵巣が悲鳴を上げているサインです。

2. 激しい痛みとともに吐き気や嘔吐を伴う

消化器の病気ではないのに悪心や嘔吐がある場合、卵巣捻転の重要なSOSです。

3. 過去にも同じような痛みが起きては、自然に治ったことがある

ねじれたり戻ったりを繰り返している可能性が高く、完全なねじれが起きる前の危険な警告です。

急な激痛は、迷わず救急外来や産婦人科へ

「良性だと言われたし、痛みもそのうち治るだろう」と我慢してしまうお気持ちは痛いほどわかります。しかし、卵巣捻転は早期に発見してねじれを元に戻せば、卵巣の機能を温存できる可能性が十分にあります。

「急な下腹部の激痛と吐き気」に襲われたら、自己判断で我慢せず、迷わず救急外来や産婦人科を受診してください。医療はあなたの油断を責めるものではなく、あなたの大切な体と健やかな未来を守るための最大の味方です。いつでも頼ってください。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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