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10年間、義母を介護してきた嫁→『当然遺産は受け取れる』はずが…義母の死後、50代女性を襲った“1,200万円”の大誤算

  • 2026.6.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、義理のお母さまを10年にわたって介護してこられた50代のYさんの体験談です。「これだけ尽くしたのだから当然認められる」と思っていたものの、相続人ではないYさんが使える制度には短い期限があり、それを過ぎて請求できなくなった経緯をご紹介します。

「これだけ介護したのだから」と思っていた

Yさんは50代の女性。ご主人のお母さま(義母)を、自宅で約10年にわたり介護してこられました。義母の長男であるYさんのご主人は、数年前に先立たれています。

Yさんご自身は、義母の相続人ではありません。子の配偶者は法律上の相続人に含まれないためです。それでもYさんは、「これだけ尽くしたのだから、遺産から相応の取り分は認められるはず」と考えていたといいます。

「介護の負担を一身に引き受けてきましたから、当然受け取れるものと思っていました」

「相続人ではない」「期限がある」と知る

義母が他界され、相続が始まりました。相続人は義母のほかのお子さま、つまりYさんのご主人の兄弟です。Yさんは相続人ではないため、遺産分割の話し合いには加われません。

ここでYさんが知ったのが、2019年に始まった特別寄与料という制度です。相続人以外の親族が、無償で療養看護などをして故人の財産の維持や増加に特別に貢献した場合、相続人に対して金銭を請求できる仕組みで、義理の娘も対象になりえます。

特別寄与料は、まず相続人と話し合って金額を決めます。話し合いがまとまらないときは家庭裁判所に申し立てて決めてもらえますが、この申立てには期限があります。相続が始まったことと相続人が誰かを知った時から6か月、または相続開始(被相続人が亡くなった時)から1年の、どちらか一方が過ぎると申し立てられなくなります。

「制度があると知った時には、すでに6か月の期限を過ぎていました」

Yさんはそう振り返ります。

1,200万円規模の請求が期限切れに

10年にわたる介護を金銭に換算すると、特別寄与料として1,200万円規模の請求が見込めるという見立てでした。ただし、これはあくまで初期試算です。実際に裁判所が認める金額は、介護の内容・強度・証拠の有無・遺産総額などによって大きく異なり、大幅に減額されることもあります。

しかし、6か月の期限を過ぎ、相続人との協議も調わなかったため、家庭裁判所へ申し立てる手立ては失われました。相続人との話し合いで任意に受け取る道は残るものの、法的に請求する権利は使えなくなってしまったのです。

介護を担う親族は「期限」の確認を

もしあなたが、相続人ではない立場でご家族の介護を続けているなら、特別寄与料という制度があることをぜひ覚えておいてください。相続人以外の親族でも、貢献に応じたお金を請求できる可能性があります。ただし、認められるには条件があります。介護が無償で行われていたこと、そして通常の家族としての扶養義務を超える特別な貢献が被相続人の財産の維持・増加に結びついたことを示す必要があります。日常的な家族の世話は対象になりません。

ただし、家庭裁判所に申し立てられるのは、相続が始まったことと相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年のどちらか一方が過ぎるまで。この期間はあっという間です。相続が起きたら、まず弁護士などに相談し、日々の世話の記録や立て替えた費用の領収書をそろえておくと、いざというときの裏付けになります。なお、夫の死亡後に「姻族関係終了届」を提出している場合は、義父母との親族関係が消滅しているため特別寄与料の請求対象外となります。自身の状況についても併せて確認しておくと安心です。

制度があっても、期限を過ぎれば請求はできません。Yさんのように悔やまないために、動き出すのは早いほどよいのです。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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