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M-1で爆笑をさらう人気芸人から“ボクサー”へ…演劇界を唸らせる「182センチの女優」とは

  • 2026.6.28
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2016年2月、舞台『ダンガンロンパ THE STAGE~希望の学園と絶望の高校生~2016』の製作発表に出席した山﨑静代(C)SANKEI

南海キャンディーズのボケ。ボクサー。身長182cm。

山﨑静代は、これまでに「身体」と「キャラクター」の両方で語られすぎてきた。だが、よく考えるとこの人の経歴のいちばん奇妙な部分は、別のところにある。

俳優デビュー作で、日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。そして俳優になってから女子アマチュアボクシングを開始、世界選手権ミドル級の日本代表まで進み、2015年10月に引退した。リングを降りたあとは、演劇の舞台に立ち続けている。

リングを降りた新人賞俳優、舞台の常連へ。それが、山﨑静代の通ってきた道だ。

出発点で新人俳優賞

山﨑が山里亮太に誘われ南海キャンディーズを結成したのは2003年。コンビ結成の翌2004年にM-1グランプリ決勝に進出し、女性として初のM-1ファイナリストになり、惜しくも優勝を逃すも2位となった。

お笑いの活動だけではなく2006年、李相日監督の映画『フラガール』に俳優として出演。フラダンサーを目指す炭鉱の町の少女たちの群像で、主演の松雪泰子や蒼井優とともに重要な役どころ熊野小百合役を演じた。この演技で、第30回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。本業の延長で出た記念出演ではなく、別ジャンルの仕事として評価が返ってきたのである。

リングで握る拳との並走

『フラガール』の翌2007年から、山﨑はアマチュアボクシングを開始する。きっかけになったのが、2008年のNHKドラマ『乙女のパンチ』だ。プロボクサーを夢見て上京する女性・早乙女ひかるを演じた。もともと趣味としてやっていたそうだが、役で演じたことで競技ボクシングの世界に魅力を感じ、撮影が終わったあともリングに残った。

2010年、全日本女子アマチュア選手権ヘビー級で認定王者。2012年には全日本選手権ミドル級で認定優勝など、リングへの情熱は欠かさなかったが、2015年10月15日、現役を引退。

俳優として『フラガール』『乙女のパンチ』で評価を得たあと、本業のお笑いを続けながら、競技ボクサーとして約8年。同時並行というより、競技に重心が乗った時間だった。出演本数はこの時期、抑えめになる。

リングを降りた後の舞台

2017年、山﨑はNHK連続テレビ小説『ひよっこ』に小祝滋子役で参加する。有村架純が演じる主人公・みね子の叔父・小祝宗男の妻にあたる、準レギュラーの位置だ。朝ドラの茨城の家に、ふっと馴染んで座る顔。リングを降りた俳優としての帰り方として、強すぎず弱すぎない場所だった。

2019年からは、舞台仕事を本格化。連ドラの単発・助演の合間に、毎年数本の舞台。リングを降りた俳優の二期目は、画面ではなく劇場の側で密度が立っていった。

連ドラ助演と舞台が、同年に並走する

2025年、山﨑の俳優としての立ち位置がもう一段はっきりする。NHKドラマ『リラの花咲くけものみち』で、山田杏奈の単独主演作にナナカマド動物病院の院長・久恒先生役で出演。保護犬猫を無料診療する獣医師として、主人公の指導者を担う重要助演である。

同じ年、テレビ朝日系『プライベートバンカー』では相馬英美子役で、高級老人ホームの介護士として連ドラのレギュラー助演に入った。連ドラのレギュラー助演は2020年『さくらの親子丼』以来である。

舞台では、新国立劇場 中劇場でスティーヴン・カラム『ザ・ヒューマンズ』日本初演にエイミー役で出演。ブレイク家の長女で弁護士、群像劇のなかで身体的な不調を抱える役どころだ。動物病院の院長と、老人ホームの介護士と、家族劇の弁護士。「周りを見る側」の役柄が、テレビと舞台に同じ年に並んだ。

舞台役者・山﨑静代とドラマの続投

2026年夏、NHKドラマ『リラの花咲くけものみち2』が放送される。山﨑は久恒先生役で続投。舞台はで、松竹『成瀬は天下を取りにいく』(2026年7月)で原作小説のバイト先のクレーマー・呉間言実役、パルコ『音楽劇 ポルノスター』にも出演予定と多忙を極める。

「リングを降りた新人賞俳優」の現在地は、ドラマに舞台にと忙しすぎるくらいだ。漫才の舞台、フラガールのスクリーン、リングの上、劇団の中。山﨑静代が立ってきた場所は、毎回毎回違う。そして、そのどこへ行っても、必ず自分の身長と顔と声で立ってきた。次にこの人がどの劇場に出るかを追うのは、いまかなり面白い。


※記事は執筆時点の情報です

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