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4年前、視聴者をトリコにした“匂いフェチのイケメン”。NHKドラマに引っ張りだこの俳優とは

  • 2026.6.28
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映画『イタズラなKiss THE MOVIE~ハイスクール編~』初日舞台挨拶に登壇した佐藤寛太(C)SANKEI

佐藤寛太という役者の代表作を並べてみると、「対」「アンサンブル」「主演の相手役」という配置が見事に揃う。一人で立つ画ではなく、隣にいる相手と組んで芝居が立ち上がる位置に置かれてきた。相手役がいても霞むことがない男。それが、佐藤寛太である。

ヒロインと対で映画初主演

劇団EXILEに加入した直後の2015年、佐藤は日本テレビ系『HiGH&LOW〜THE STORY OF S.W.O.R.D.〜』でテッツ役を演じ、山王連合会の若手として群像劇に入る。

そこから映画初主演に至ったのが、2016年の『イタズラなKiss THE MOVIE 〜ハイスクール編〜』だった。少女漫画を原作とする実写化で、佐藤が演じるのは文武両道のクールな高校生・入江直樹。美沙玲奈演じるヒロインとの対の構図がそのまま物語を回す作品である。

翌2017年に『〜キャンパス編〜』『〜プロポーズ編〜』と続き、佐藤は同じ対を高校生から大学生、社会人へと演じ繋いだ。劇団EXILE加入から間もない時期に、ヒロインの隣で物語を背負う役どころで主演を踏んでいる。スタートから「相手と組んで立つ」配置だった。

においと「対」を演じる

数年の助演を挟んで、佐藤の代表作のひとつとなったのが2022年のTBS系『あせとせっけん』だ。山田金鉄の漫画が原作のラブコメで、佐藤は、化粧品とバス用品のメーカー「リリアドロップ」の商品開発プランナー・名取香太郎を演じた。

香太郎は「においフェチ」と呼ばれる嗅覚の鋭い男だ。隣には、人より体臭に敏感な女性社員(八重島麻子)。香太郎は彼女のにおいに惹かれ、彼女は自分の体臭に悩む。同じ職場で、嗅覚という一点でかみ合う「対」の物語である。佐藤はその対の片側を、大原優乃とともにW主演として担った。

少女漫画から青年漫画原作へ、ヒロインの隣から「におい」を媒介としたW主演へ。組んで立つ働き方の、別バリエーションだ。

アンサンブル、複数の記号と並ぶ

2023年、佐藤は岸善幸監督の映画『正欲』に諸橋大也役で出演する。朝井リョウの同名小説が原作で、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗らと並ぶ主要配役である。

諸橋は、大学のダンスサークルに所属し、ミスターコンテストでは準ミスターに選ばれる端正な学生だ。一方で、水に性的興奮を抱くという、一般的な性愛のカテゴリには収まらない指向を抱えて生きている。表向きの世間と、自分の内側にしか居場所のない指向との二重生活を、佐藤は表情の薄さで演じた。

本作は第36回東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞を受賞している。作品としての評価に、主要メンバーの一員として乗った仕事だった。「対」から「複数の記号と並ぶ」位置へ、組んで立つ配置が二人から数人へ広がった段である。

助演で相手役の隣に帰る

2025年のNHKドラマ『リラの花咲くけものみち』で、佐藤は加瀬一馬役を演じた。藤岡陽子の同名小説が原作で、主人公・岸本聡里を演じるのは山田杏奈。岸本聡里が密かに思いを寄せる加瀬は、獣医学類の上級生で、男子寮の寮長として動物保護ボランティアに関わる人物だ。

主人公の傍らに置かれる助演として、加瀬は説明役にも狂言回しにも寄りすぎない位置に立つ。上級生という距離の近さ、憧れの相手としての遠さ、寮長という生活の距離感。三つの距離を一身に持つ役どころで、聡里の動きを画面の中で受ける役回りである。

NHK枠は、佐藤の地続きの仕事場でもある。2020年のNHK福岡開局90周年記念ドラマ『となりのマサラ』では沢木達也役で単独主演を任され、その仕事は東京ドラマアウォード ローカル・ドラマ賞に結実している。NHK単発『明日、輝く』(2025)、NHK総合『正直不動産2』にも顔を出しており、NHK枠での主演と助演の往復が、加瀬一馬役の手触りにつながっている。

続投で同じ相手役の隣に帰る

2026年夏、NHKドラマ『リラの花咲くけものみち2』が放送される。佐藤は加瀬一馬役で続投。相手役と組んで立つ俳優の現在地として、シリーズの続投ほどふさわしい着地はない。同じ相手と、同じ役の関係を、もう一度引き受けに行く位置だ。

並走で、WOWOWの連続ドラマ『ドラフトキング -BORDER LINE-』(2026)にも顔を出している。ムロツヨシ主演作で、佐藤の役はクラブチーム・パーフェクトマッスルズの外野手・柳川大也。劇団EXILEの本公演にも引き続き立っており、舞台でも共演者と組んで芝居を立ち上げる場が続く。

代表作の隣には、いつも誰かがいる。それでも霞まないだけの魅力があふれる。それが佐藤寛太という俳優のすごさだ。


※記事は執筆時点の情報です

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