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かつて、日曜劇場で“お茶の間がピリついた”「憎まれ役」吉田鋼太郎が認めた“名俳優”とは

  • 2026.6.17
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

ドラマや映画で、主役の隣に立つ人物がいる。物語を引っ張るわけではない。それなのに、その人が画面に入ると、場の空気がきゅっと締まる。谷田歩は、まさにそういう役者だ。声も身体も大きく、本来なら目立ってもおかしくない。だが彼は前に出ない。主役のかたわらで、腹に何かを抱えたまま静かに立つ。

その佇まいだけで、物語に重みと奥行きが生まれる。支えるというより、隣にいるだけで重心を引き受けてしまう。史実の武将も、人気ドラマの上司も、舞台の貴族も、谷田が演じてきたのは、いつも「主役の隣で腹に何かを持つ人物」だった。そういう静かな強さが、谷田歩の持ち味だ。

舞台が仕込んだ黙って立つ力

谷田の芝居の土台は、舞台にある。彼は、吉田鋼太郎が主宰する劇団AUNに所属し、シェイクスピア劇で鍛えられてきた。2020年と2022年に上演された彩の国シェイクスピア・シリーズの舞台『ヘンリー八世』では、バッキンガム公爵を演じている。阿部寛が主演し、吉田鋼太郎が演出と出演を兼ねたこの大作で、谷田が担ったのは、高潔であるがゆえに讒言にかけられ、処刑されてゆく貴族だ。

怒りや無念を声高に叫ぶのではない。それらを腹の底に収めたまま、毅然と立つ。感情を爆発させない芝居ほど、難しいものはない。この「黙って立つ力」こそ、のちに谷田がさまざまな作品で見せる“場を締める”役の源泉になっている。

歴史の傍らで生む奥行き

その力は、大河ドラマの世界でも生きている。2018年のNHK大河ドラマ『西郷どん』で、谷田は木場伝内を演じた。鈴木亮平が演じる西郷隆盛が島流しにあった奄美で、彼を支える島の役人だ。物語の主役は、もちろん西郷にある。だが、木場のような人物が脇に確かに立っていることで、薩摩から遠く離れた島の時間に、奥行きと現実味が宿る。西郷ほどの強者でも、一人では物語は立たない。隣でその世界を受け止める人物がいてこそ、主役は輝く。

谷田は大河の常連でもある。歴史の大きな流れのなかで、主役の隣に立ち、その場の格を一段引き上げる。派手な見せ場で語るのではなく、佇まいで物語を締める。これが谷田の真骨頂だ。

憎まれ役に通す一本の筋

舞台で培った腹の芝居は、現代劇では別の顔になって表れる。

2015年放送のTBS系ドラマ『下町ロケット』で、谷田は唐木田篤を演じた。阿部寛演じる主人公・佃航平が率いる町工場の前に立ちはだかる、合理主義者の人物だ。技術者たちの理想に、彼は採算という現実を突きつける。

こういう役は、一歩間違えればただの嫌な人になる。だが谷田が演じると、その合理主義にも一本の筋が通って見える。憎まれ役でありながら、言い分には妙な説得力がある。だからこそ、主役の理想がより鮮やかに際立つ。

正しさで人を追い詰める側を、谷田は厚みを持って引き受けた。嫌われ役を、嫌われたままでは終わらせない。そこに、舞台で鍛えた腹の芝居が確かに効いている。

話題作が呼ぶ締め役

近年、谷田を求める作品はますます増えている。2023年放送のTBS系の日曜劇場『VIVANT』。堺雅人が主演し、日本中が考察に沸いたこの話題作で、谷田はバルカ軍の将校バヤルを演じた。登場の時間は長くない。それでも、張り詰めた一場面を一身に背負い、画面の緊張をぐっと引き締める。多くを語らない役だからこそ、その立ち姿の重さが効いてくる。

話題作が、谷田を「場を締める格」として呼んでいる。声高に主張せずとも、いるだけで物語の密度を上げる。そういう役者が、今あらためて重宝されている。

ついに、強者の隣から当主へ

2026年7月17日公開の映画『キングダム 魂の決戦』で、谷田は王翦〔おうせん〕を演じる。秦の名門・王一族の現当主であり、「負ける戦はしない」と公言する、冷徹さで知られる将だ。吉沢亮が演じる秦王・嬴政(えいせい)のもとに集う、屈指の将の一人である。王一族は秦の軍を代々支えてきた名門であり、その当主を任されるのは、役者にとって大きな見せ場だ。

これまで谷田は、強者の隣に立って場を締め続けてきた。その彼が、大作映画で名門の当主という最前線の役を任される。傍らで磨かれてきた格が、ついに物語の中心へと躍り出る。次に谷田が、誰の隣で、あるいはどんな主として画面を締めるのか。楽しみでならない。


※記事は執筆時点の情報です

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