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2年前、NHK朝ドラでブレイクした“国民的弟”。ステージの肩書きを捨てて“化けた”新境地とは

  • 2026.6.6
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2025年12月、「Life Community〝GOMASU〟」発足記念記者発表会に出席した三山凌輝(C)SANKEI

現代の好青年を演じたかと思えば、戦国の戦場で弓を引く。三山凌輝は、役のジャンルを軽やかに越えていく俳優だ。

音楽の世界にも身を置きながら、芝居では決して一つの型に収まろうとしない。現代劇から朝ドラ、そして歴史大作まで。どんな畑にもすっと入っていける身軽さが、この人の何よりの持ち味である。

垣根を感じさせないこと。それが三山凌輝という俳優の輪郭をつくっている。歌う人としての顔も持つが、芝居の場では、その肩書きをいったん脇へ置いて役そのものになる。だから現代劇でも時代劇でも、立っている姿が借り物に見えない。

俳優としての、出発

三山が芝居の場数を踏んできた道のりは、思いのほか長い。10代の頃から映像に出演し、音楽グループのメンバーとなった後も、『HiGH&LOW THE WORST X』のような群像のアクション作品でも顔を見せてきた。

大勢のキャストがぶつかり合う大きな座組の中で揉まれ、少しずつ表現の引き出しを増やしていく。派手な主役でなくとも、画面のどこに置かれても自然に馴染む。目立とうと気を張るのではなく、その場の空気になじんでいく。この下積みのような積み重ねが、後の幅広い役柄を支える確かな土台になった。

目立つ役を急がず、まず現場でできることを一つずつ増やす。その順序の確かさが、後のジャンルを越える自由を生んだ。

等身大の、好青年

三山がとりわけ得意とするのは、まっすぐで知的な好青年だ。2023年のドラマ『往生際の意味を知れ!』では、人気俳優・榊田正史を演じた。翌2024年の朝ドラ『虎に翼』では、主人公・寅子の弟である猪爪直明を担っている。家族思いで成績優秀、責任感の強い素直な青年だ。朝ドラという、多くの人が毎朝見る国民的な作品で、誰からも好かれる弟を自然体で生きてみせた。

気負わず、嫌味がなく、押しつけがましさもない。三山の演じる好青年には、見ている側がふっと安心できる温度がある。これは、狙って出せるものではない。素のたたずまいに、人の良さがにじむのだ。見ている側を構えさせない。その自然な空気は、大きな座組で長く揉まれてきた時間が育てたものだろう。

静かな、芝居

賑やかで明るい役ばかりではない。2025年の映画『誰よりもつよく抱きしめて』では、水島良城を演じた。潔癖症ゆえに、愛する恋人にさえ触れることができない、絵本作家である。久保史緒里とのW主演による純愛物語だ。

台詞で説明するのではなく、ためらいや、伏せた視線や、止まった手で気持ちを伝える。静かで、繊細で、痛みを抱えた役どころだ。賑やかな好青年も、口数の少ない不器用な男も、同じ俳優が演じているとは思えないほど、別の人間として立ち上げてみせる。

明と暗、動と静。三山は同じ振り幅を、役の手触りごと持ち替えてみせる。芝居の引き出しは、思っていた以上に深い。派手な大役を待つのではなく、与えられた役の中で深さを掘っていく。その地道さが、次の越境を呼び込んでいく。器用に見えて、その実、毎回まっさらな気持ちで役と向き合っているのだ

戦国の戦場へ、越える

2026年7月17日公開の映画『キングダム 魂の決戦』で、三山は白麗(はくれい)を演じる。合従軍に加わる楚の千人将で、中華十弓に数えられる弓使いだ。

現代の好青年から、戦国の戦場で弓を引く若き武人へ。これほど遠い場所まで、三山は軽々と跳んでいく。役のジャンルを越えることを、この人はまるで恐れない。慣れた場所にとどまろうとせず、まだ知らない世界の住人になりにいく。

現代の青年として積み上げた繊細さを抱えたまま、戦国の弓使いの内側へ持ち込む。越えるとは、それまでの自分を捨てることではない。携えて、遠くへ運ぶことだ。芝居の場を広げ続けるその身軽さの先に、次はどんな顔が待っているのか。三山凌輝の越境は、まだ始まったばかりだ。


※記事は執筆時点の情報です

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