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かつて子どもたちを熱狂させた“戦隊ヒーロー”俳優。2.5次元から超大作の武人へ…枠を破った新境地とは

  • 2026.6.6
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2018年1月、テレビ朝日系『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』制作発表に出席した結木滉星(C)SANKEI

ヒーローを演じた俳優が、その先で何になるか。そこにこそ、その人の本当の力が表れる。子どもたちの憧れを背負った経験を、どう次へつなげるか。そこで俳優の地力が問われる。

結木滉星(ゆうき・こうせい)は、スーパー戦隊の主役から出発し、社会派ドラマや実写大作まで、静かに、しかし確かに役の幅を広げてきた。一足飛びの派手な転身ではない。一本ずつ、できることを増やしてきた歩みだ。その地道な積み重ねにこそ、この人の芯がある。華やかな役で出発した人ほど、その後の選び方に性格が出る。結木の選び方は、いつも実直だった。

2.5次元から、ヒーローへ

結木のキャリアは、舞台の上で頭角を現すところから始まる。2017年、舞台『ハイキュー!!』で赤葦京治を演じた。人気漫画のキャラクターに、生身の身体で説得力を与える仕事だ。客席の目の前で、息づかいまで届けなければならない。2.5次元の舞台で鍛えた身体表現とまっすぐさは、この人の土台になっていく。

翌2018年、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でパトレン1号を演じ、ドラマ初主演を果たした。正義を背負う、迷いのないヒーローである。子どもたちの憧れの的として、毎週画面の真ん中に立つ。逃げ場のないその一年が、後の俳優・結木滉星の背骨になった。

ヒーローを背負うとは、視線を一身に受けて立ち続けることだ。華のある主役を任されながら、その肩書きにいつまでも甘えないこと。それが、この人がその後に選んだ道だった。

役の幅を、広げていく

ヒーローの座に安住しなかったのが、この人らしいところだ。その後の結木は、社会派や話題作へと踏み出していく。『風間公親-教場0-』で見せた張り詰めた緊張感、村田沙耶香の問題作を映画化した『消滅世界』、日本テレビのドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』。ヒーローの明るさとは異なる、陰や葛藤を抱えた人物にも、確かな手触りを与えるようになった。

光の役で出発した人が、影のある役の奥行きを掴んでいく。役の振り幅が、一作ごとに大きくなっていった。戦隊で得た知名度に寄りかからず、毎回ゼロから役に向き合う。その積み重ねが、共演者や作り手の信頼を少しずつ集めていく。誰かに用意された舞台ではなく、自分で次の場所を選び取ってきた歩みだ。

実力が、認められる

その積み重ねが、目に見える形で表れる。2024年のNHKドラマ『パーセント』では、蘆田孝雄を演じた。障害のある人とエンターテインメントをめぐる骨太な作品で、第62回ギャラクシー賞月間賞をはじめ高い評価を受けた話題作だ。

主役を張ったヒーローが、こうした社会的なテーマを担う群像の中で、出しゃばらずに、しかし確かに存在感を放つ。見つけてもらう側から、作品を支える側へ。結木は静かに立ち位置を変えてきた。

華やかな入口を持ちながら、中身で信頼を積んでいく。その歩み方に、誠実さがにじむ。派手な話題に頼らず、作品の質で評価を勝ち取る。遠回りに見えて、これがいちばん強い。結木はそのことを、体で知っているように見える。

実写大作で、迎える新章

2026年7月17日公開の映画『キングダム 魂の決戦』で、結木は項翼(こうよく)を演じる。原作屈指の合従軍編に登場する、楚軍の武人の一人である。

人気実写シリーズの大作に名を連ねることは、ヒーローから出発した俳優にとって、一つの到達点であり、同時に新しい出発点でもある。戦隊で主役を張った青年が、研鑽を重ね、いま大きな戦場の一角に立つ。派手さよりも確かさで歩いてきたこの人が、この大役で何を見せるのか。ヒーローを卒業した俳優が、英雄たちの集う戦場でどんな芝居を立ち上げるのか。出発点と地続きでありながら、まったく新しい挑戦だ。静かに、しかし大きく、結木滉星の物語は次の章へ進んでいく。


※記事は執筆時点の情報です

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