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「狭いんだよ」朝の満員電車で肘を張り続けた隣の乗客。だが、乗客がスマホを落とした結果

  • 2026.5.28
「狭いんだよ」朝の満員電車で肘を張り続けた隣の乗客。だが、乗客がスマホを落とした結果

じわじわ侵食してくる肘

朝の通勤電車で、隣に座った人の肘が最初から少し張っていた。

混んでいる時間帯だし、多少は仕方がないと思って体を内側に傾けた。

でも相手はスマホを操作することに夢中で、こちらの存在には気づいていないらしい。

少し距離を空けると、またじわじわと肘が戻ってくる。まるで無意識に縄張りを広げているようで、腹立たしくなってきた。

(どうして私が縮こまらないといけないんだろう。)

明らかに自分のスペースに入ってきているのに、本人は気にしていない。

こちらが少し体を傾けるたびに、向こうが肘を押してくる。

その無言のやり取りに疲れてきた。

でも声には出せない。朝から見知らぬ人に何か言うほどの勇気はなかった。

そう思いながら黙っていると、車内アナウンスが流れた。

隣の人がこちらをちらりと一瞥して、ため息まじりに小さく舌打ちをした。

そして低く吐き捨てるような声で、こう呟いたのが聞こえた。

「狭いんだよ」

何もしていない。悪いのは自分じゃない。

それなのに責められているような気分になって、背中がこわばった。言い返せない自分にもモヤモヤが積もっていった。

この人の隣にもうしばらく座り続けなければならないと思うと、気が重かった。

次の駅で起きたこと

しばらくして、電車が次の駅に滑り込んだ。

隣の人が立ち上がった。降りるらしかった。

立ち上がった拍子に、手に持っていたスマホがするりと床に落ちた。

乾いた音が車内に響いた。

慌てて拾おうと屈む隣の人を、周囲の乗客は誰も手伝わなかった。

扉の近くに立っていた人も、斜め前の席に座っていた人も、視線を向けるだけで動かなかった。

自分も、何もしなかった。ただ静かにその様子を見ていた。拾えないことは分かっていた。手を伸ばす気にもならなかった。

スマホを拾い上げた相手は画面をさっと確認し、足早に降りていった。扉が閉まった。

空いた席に座り直した朝

電車が動き出した。隣の席が空いた。

ゆっくりと、さっきより少し広めに腰を落ち着けた。

胸の奥に溜まっていたものが、気づいたら消えていた。

言い返せなかったこと、縮こまり続けたこと、舌打ちにびくりとしたこと。

そのどれもが、急に小さく見えた。

言い返さなくても、世界は意外とちゃんと帳尻を合わせてくれる。

窓の外に流れる景色を眺めながら、そんなことを思った。誰かに怒ったわけじゃない。

ただ、静かに見ていただけだ。それでも朝の車内で感じていたあの重さが、どこかに消えていた。

会社に着くころには、あの朝の肘のことをもう気にしていなかった。降りていった人のことも、舌打ちのことも。

ただ、気が楽になっていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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