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「小さな青いタコ」、ガラパゴス諸島の深海で発見される

  • 2026.5.26
ガラパゴス深海で「小さな青いタコ」を発見。※イメージ / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

水深1800メートルの暗い海底で、研究者たちは思わず声を上げました。

「小さい! 青い!」

ガラパゴス近海の深海で見つかったそのタコは、ゴルフボールほどしかない新種でした。

地球の海にはまだ人類が見たことのない生物が数多く潜んでおり、この小さなタコは、その“未知の深海”を象徴するような発見だったのです。

この新種を報告したのは、米フィールド自然史博物館(Field Museum of Natural History)などの研究チームです。

研究成果は2026年5月25日付で学術誌『Zootaxa』に掲載されました。

目次

  • 深海で見つかった「小さく青いタコ」
  • 小さなタコは「深海の常識」を揺さぶっていた

深海で見つかった「小さく青いタコ」

このタコが最初に発見されたのは2015年でした。

研究チームはガラパゴス諸島北部にあるダーウィン島近海の海底を、遠隔操作型の無人探査機(ROV)を使って調査していました。

ある時、カメラ映像に奇妙なタコが映り込みます。

彼らは思わず「小さい!青い!」と声を上げました。

発見地点の水深は1773メートル。太陽光がほとんど届かない深海です。(実際の画像はこちら※プレスリリース

研究チームは吸引装置を使ってこのタコを回収し、その後の調査で新種である可能性が浮上します。

標本はチャールズ・ダーウィン研究所へ送られ、さらにフィールド自然史博物館のタコ研究者ジャネット・ヴォイト氏のもとへ届けられます。

ヴォイト氏は写真を見た時点で、「これは特別なものだ」と感じたといいます。

実際、このタコは普通のタコとはかなり印象が異なっていました。

体はゴルフボールほどしかなく、腕も短めです。

さらに、この仲間では腕の吸盤が基本的に1列に並ぶことも特徴です。私たちがよく想像するタコとは、腕の印象からして少し違っていました。

また、背中側は淡い青白色に見え、腹側や腕の内側は濃い紫色をしています。

皮膚は滑らかで、全体として非常に小さく、丸みを帯びた姿をしていました。

新種である可能性が高いのです。

しかし、大きな問題がありました。

通常、新種のタコを正式に記載するには、体を解剖し、口やくちばし、歯、生殖器官などの細かな構造を調べる必要があります。

ところが今回は唯一の標本でした。

そこで研究チームは、標本を切り開く代わりに「マイクロCTスキャン」を使用します。

これは大量のX線画像を撮影し、それをコンピュータ上で合成することで、内部構造を三次元的に再現する技術です。

研究者たちはこの方法によって、くちばしや歯、唾液腺、卵巣などを傷つけることなく観察することに成功。

結果として、研究チームはこの新種を「Microeledone galapagensis」と命名しました。

そしてこの新種は、「深海の常識」を揺さぶることになります。(次項に実際の動画があります)

小さなタコは「深海の常識」を揺さぶっていた

この研究の重要性は、見た目の珍しさだけではありません。

分類学的にも、このタコはかなり異色の存在でした。

研究チームがこの種を分類したのは、「Megaleledonidae」というグループです。

この仲間は近年、「南極周辺の冷たい深海にすむ大型のタコ類」と説明されることがありました。

しかし今回見つかったのは、赤道近くのガラパゴス深海に生息する小型種です。

そのため研究者たちは、「南極周辺の大型深海ダコ」という従来のイメージでは、このグループを説明しきれなくなったと考えています。

論文では実際に、Megaleledonidaeの定義そのものが見直されています。

研究チームは、地理的な分布ではなく、吸盤の並び方や腕の形、口器の特徴など、形態に基づいて分類を再整理しました。

さらに興味深いのは、このタコの色です。

背中側は淡い青白色ですが、腹側は非常に濃い紫色をしています。

研究者たちは、この色分けが深海で生き残るための工夫かもしれないと考えています。

深海には発光する生物が数多く存在します。もしタコが光る獲物を捕まえた場合、その光が漏れると捕食者に見つかってしまう危険があります。

そこで、このタコは濃い紫色の腕や膜で獲物を覆い、光を隠している可能性があるというのです。

もちろん、これは現時点では仮説です。

しかし、深海という特殊な環境では、こうした「光を隠す」戦略をもっていても不思議ではありません。

研究者が語るように、地球上の陸地をすべてつなぎ合わせても太平洋を覆うことはできません。

それほど広い海の深部には、まだ調査の届いていない場所が数多く残されています。

たった1匹の小さな青いタコは、私たちがまだ海をほとんど知らないことを、改めて教えてくれているのかもしれません。

参考文献

This newly-discovered blue octopus from the Galápagos Islands could curl up in the palm of your hand
https://www.fieldmuseum.org/about/press/this-newly-discovered-blue-octopus-from-the-galapagos-islands-could-curl-up

Tiny Blue Octopus Unlike Any We Know of Discovered Near The Galapagos
https://www.sciencealert.com/tiny-blue-octopus-unlike-any-we-know-of-discovered-near-the-galapagos

元論文

A new species of Microeledone from Galápagos Islands and an amended diagnosis of the Megaleledonidae (Octopoda: Incirrata)
https://doi.org/10.11646/zootaxa.5814.4.5

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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