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6人が語る、6大ジャンルのドラマ論。〜三浦直之と青春ドラマ〜

  • 2026.5.24
竹田嘉文 イラスト

語る人:三浦直之(劇作家、演出家)

みうら・なおゆき/1987年宮城県生まれ。日本大学藝術学部在学中に劇団ロロを立ち上げる。ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告る。』や映画『サマーフィルムにのって』の脚本も手がける。

名脚本家たちの仕事に見える、魅力的なジュブナイルの描き方

もともとドラマに限らず、映画、アニメ、漫画、小説、何でも青春ものが好きなので、NHKの青春ドラマにもものすごく思い入れがありますね。10代の頃はジュブナイルものもいろいろやっていて、『六番目の小夜子』とかも大好きでした。だから、『腐女子、うっかりゲイに告る。』のお仕事をいただいた時は嬉しかったですね。

最近観た中では、まず『ワンダーウォール』が印象的ですね。渡辺あやさんの脚本は、『カーネーション』もそうですけど、どれも傑作ですよね。これは、京都の大学の寮の話ですけど、寮生たちの生活のディテールの描き方が本当に素晴らしい。

どことなくノスタルジックな空気感もあって。あの寮で暮らしている学生たちの生活を覗いているだけで本当に面白いんです。同じ時代を共有している人たちがどんなふうに過ごしているかが垣間見えるというのも、青春モノの一つの楽しさと言えると思うので。

それに、モチーフの扱い方もすごい。冒頭のトランプによるメキシコの壁の話から始まって、そこから大学の中に造られた壁の話につなげていく。まさに世界情勢と学生たちの世界が綺麗に結びついた感じがあって。それにしても、あのエンディングは何?(笑)こんな終わらせ方でいいんだと。決して結論じみた終わり方にしないんですよね。本当にすごいなと。

京都発地域NHKドラマ『ワンダーウォール』
2018年に京都発地域ドラマとして制作された。脚本は渡辺あや。廃寮の危機に瀕した京都の大学の学生寮を舞台にした青春群像劇。「カップラーメンの蓋の上に本を置いていたらふやけるだろう、みたいなセリフも最高です」

次に、『17才の帝国』ですが、僕は10代の頃アニメが大好きで、だから吉田玲子さんの脚本のものはいろいろ観ていました。その吉田さんが、実写でSFの学園ものを書かれるというので、始まる前からワクワクしていました。

SFものって、僕の子供の頃はいろいろあったんですけど、最近減ってきたのが寂しくて。あと、出演者の一人の山田杏奈さんですが、彼女が出ている作品もすごく好きなんです。山田さんってどの作品でも片思いしていることが多い印象があって、まさに片思いが似合う俳優さんだなって思うんですよね。

ここでも総理役の神尾楓珠さんに一方的に思いを寄せているんですが、その距離感が見ていてちゃんと伝わってくる。片思いというか、一方的に誰かに憧れる気持ち。恋愛に限らず、何かへの憧れというのも、青春モノの大事な要素ですよね。

NHK土曜ドラマ『17才の帝国』
2022年に土曜ドラマとして制作された。脚本は吉田玲子。AIによって選出された若きリーダーたちが、衰退した地方都市の統治を実験的に行うというSFドラマ。「こういうジュブナイルSFをもっと観たいですね」

隠れた青春ドラマの名作、ドラマ史に残る出会いのシーン

最後は、青春ドラマと言っていいかどうかは難しいと思うんですけど、『心の傷を癒すということ』。阪神・淡路大震災で、被災者の心のケアに努めた安克昌さんという精神科医の方をモデルにしていたドラマです。

全4話で、3話は精神科医になってから震災後のお話。そして、最初の1話が精神科医になるまでのことが描かれていているんですけど、この第1話が青春ドラマとして完璧なんじゃないかと思っていて。友情、恋愛、師弟、夢、家族など、およそ青春ドラマに必要な要素が全部入っているんです。

中でも大好きなのが、主役の柄本佑さんと、後に妻になる尾野真千子さんが最初に出会うシーン。小津安二郎監督の『東京物語』を、映画館で同じ回にそれぞれ観に行くんですけど、原節子さんのあるセリフが聞き取れない。それを確認するために、両方ともまた観に行くんですが、やっぱりダメ。

そして、ある日のこと、バスに乗っている尾野さんを柄本さんが遠くから見かけて、汗だくになりながらそのバスを追いかけて、「何と言っているかわかりました!」と尾野さんに伝えるんですけど、これって青春恋愛ものの出会いの場面として屈指の名シーンだなと。僕もこんなシーンを、ぜひいつか書いてみたいですね。

NHK土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』
2020年に土曜ドラマとして制作された。脚本は桑原亮子。阪神・淡路大震災で被災者の心のケアに尽くした精神科医・安克昌をモデルにした作品。主演に柄本佑。「僕はそもそも、人と人とが出会う瞬間が好きなんですよね」
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