1. トップ
  2. スポーツ
  3. ホンダ CRF250Lは“もっと走れる”|テクニクスが教えるサスペンション進化論

ホンダ CRF250Lは“もっと走れる”|テクニクスが教えるサスペンション進化論

  • 2026.5.23

国内で高い人気を誇るHonda CRF250L。万能トレールとして完成度は高いが、積極的にオフロードを走るとサスペンション性能に物足りなさを感じる場面もある。トレールバイクのサスペンションチューニングに定評のあるテクニクスに、CRF250Lを“もっと走れるバイク”へ進化させる方法を聞いた。

PHOTO/A.Kusudo 楠堂亜希、H.Inoue 井上演

TEXT/D.Miyazaki 宮﨑大吾

ノーマルは優秀。でも“攻める”には限界がある

現在、日本国内で圧倒的な販売台数を誇るトレールモデルがHonda CRF250Lだ。オンロードから林道まで幅広く対応する万能バイクとして支持されているが、サスペンションはレーサーとはまったく異なる設計思想で作られている。

トレールバイクは街乗りやツーリング、さらには二人乗りや荷物積載など多様な用途が前提となるため、サスペンションは比較的穏やかな特性に設定されている。実際、MD47型CRF250Lのサスペンションについてテクニクスの土田氏は「街乗りやフラットダート程度なら十分な性能」と評価する。

しかし、積極的にオフロードを攻めるライダーにとっては事情が変わる。特にフロントサスペンションは片側ダンパー、片側スプリング構造のSFF(セパレートファンクションフロントフォーク)を採用しているため、限界性能にはどうしても制約がある。この構造では左右の作動バランスが崩れやすく、アクスル周辺の剛性にも影響を受けやすい。結果として荒れた路面では作動性が不安定になる場合があるのだ。

アフターパーツ最大の魅力は“変化量”

そこで注目したいのが、アフターマーケットのサスペンションだ。純正サスペンションは減衰力調整がほぼできないため、セッティング変更の幅は非常に限られている。一方、テクニクスのショックアッセンブリーは独自の流路設計により、ダンパーアジャスターの効果が明確に体感できるレベルで変化する。

実際、圧側を大きく開けばシートを押すだけで大きく沈み込むほど柔らかくなる。逆に締め込めば大幅に減衰力を強めることができる。つまり、用途に合わせてセッティングを作り込めるのが最大のメリットなのである。

CRF250Lを変えるTRICシリーズ

テクニクスの代表的なフロントサスペンションキットが「TRICシリーズ」だ。なかでも「TRIC COMP/PRO KIT」は、SFFフォーク内部を完全に入れ替え、両側にスプリングとダンパーを配置したクローズドカートリッジ式へと変更する本格仕様。スプリングレートも前後ともに引き上げ、それに見合ったダンパー特性を与えることで、トレールバイクとは思えないほどの安定したサスペンション性能を実現する。

また、ツーリング用途を重視するユーザー向けには「TRIC FUN KIT」も用意されている。こちらはSFF構造を維持しつつダンパー側にアジャスト機構を追加する仕様で、コストを抑えながら戦闘力を大幅に向上させることができる。

テクニクスでは最高グレードを100点とすれば、このFUN KITでも70点程度の性能は確保できるという。

TEC5.2 Performance Shockが生む安心感

リアショックには「TEC5.2 Performance Shock」が用意されている。このショックはリザーバータンクを備え、HI/LO2 WAYコンプレッションアジャスターとリバウンドアジャスターを装備する本格モデル。3WAYのダンピング調整が可能で、走行状況に応じて細かくセッティングを変更できる。

さらに油圧プリロードアジャスターを装備したモデルもラインナップされており、キャンプツーリングなど大量の荷物を積載する際でも簡単に車高補正が可能だ。トレールバイクは荷物を積む機会が多く、初期設定もリア高の傾向にある。10kg程度の荷物ならプリロードを軽く調整するだけで対応できるが、ギャップで底付きする場合はコンプレッションを締めるなどして対処するのが理想だという。

トレールバイクは、もっと走れる

トレールバイクはレーサーと比べれば重量もあり、サスペンションも穏やかな設定だ。しかし適切なチューニングを施すことで、その走破性能は驚くほど向上する。

本誌宮崎も日高2デイズエンデューロ参戦に向けてテクニクスサスペンションを導入したが、ガレ場の下りやシングルトレイルでの安心感は明らかに向上した。テクニカルセクションへ積極的に進んでいけるようになるのは、まさにサスペンションチューニングの恩恵だ。

トレールバイクはツーリングマシンでもあり、同時にオフロードを楽しむための道具でもある。その両方を高いレベルで満たすための答えのひとつが、サスペンションのアップグレードなのである。

テクニクス CRF250L おすすめサスペンションガイド

TRIC COMP KIT(フロントフォーク)

CRF250LのSFFフロントフォーク内部を全面的に変更するクローズドカートリッジキット。片側スプリング・片側ダンパー構造の純正フォークを、両側スプリング+ダンパー仕様へアップグレードすることで、剛性と作動性を大幅に向上させる。コンプレッション/リバウンド双方のダンピングアジャスターを装備し、林道ツーリングからエンデューロ競技まで幅広いセッティング変更が可能。トレールバイクのサスペンション性能をワンランク引き上げる、テクニクス定番のチューニングパーツだ。

TRIC COMP KIT(フロントフォーク)
価格:¥113,300(税込)’21以降
  • 主な特徴

TRIC FUN KIT(フロントフォーク)’21以降

コストを抑えつつ、サスペンション性能を向上させたいユーザー向けのフロントキット。SFF構造は維持しながら、ダンパー側へアジャスト機構を追加することで調整幅を拡大する。スプリングには純正を使用するためリーズナブルながら、実走行で体感できる変化量は大きい。テクニクスでは、上位COMPキットを100点とした場合、このFUN KITでも約70点の性能を発揮する実力派パーツとして位置付けている。

TRIC FUN KIT(フロントフォーク)’21以降
価格:¥72,600(CRF250L〈s〉)・¥77,000(CRF250L)税込
  • 主な特徴

TEC5.2 Performance Shock(リアショック)’21以降

テクニクスのハイエンドリアショック。大容量リザーバータンクを備え、HI/LOコンプレッション+リバウンドの3WAYダンピング調整を可能とする。長時間走行によるオイル温度上昇を抑え、安定したダンピング性能を確保。さらに油圧プリロードアジャスター(HPA)付きモデルも用意されており、ツーリング時の荷物量変化にも簡単に対応できる。

TEC5.2 Performance Shock(リアショック)’21以降
価格:¥135,300(HPA無し・税込)・¥181,500(HPA有り・税込)
  • 主な特徴

NHP(Night Hawk Plating)

特殊なウェットプロセスによるフォークコーティング。従来のアルマイトとは異なる処理を施すことで、低フリクション化と剛性バランスの向上を実現する。フロントフォークの作動性を改善し、トップライダーの競技車両でも採用例が多い。ブラック系メッキの外観も特徴で、機能性とドレスアップ効果を兼ね備えた人気加工である。

NHP(Night Hawk Plating)
価格:各¥26,400~(倒立・正立アウターチューブ、ショックボディ)
  • 主な特徴

テクニクス土田メカが教える CRF250Lセッティングのコツ

セッティングのポイントは「突き出しゼロ」

CRF250Lはトレール量がそれほど多くないうえ、車重もあるため、減速時にフロント荷重が大きくなりやすい。そのためフォークを突き出すと切れ込みが強くなる傾向がある。

TECHNIX CRF250L SUSPENSION PARTS GUIDE
TECHNIX CRF250L SUSPENSION GUIDE

この特性を踏まえ、テクニクスではフォーク突き出し量を「ゼロ」に設定することを推奨。これにより、直進安定性とコントロール性のバランスが向上するという。

フロントは50段階調整が可能

純正フロントサスペンションにはダンパーアジャスト機構が備わっていないが、テクニクスサスペンションは圧側・伸び側ともに細かな調整が可能。

TECHNIX CRF250L SUSPENSION PARTS GUIDE
TECHNIX CRF250L SUSPENSION GUIDE

50段階のクリック調整に対応し、標準セッティングは14クリック戻しとなる。林道から市街地、オフロードコースまで幅広いシーンで快適な走行性能を実現する。

リア圧側は高速、低速調整ができる

リアショック「TEC5.2 Performance Shock」は、スプリングプリロード調整とダンピングアジャスターによって路面追従性を高めることができる。

TECHNIX CRF250L SUSPENSION PARTS GUIDE
TECHNIX CRF250L SUSPENSION GUIDE

プリロードアジャスター付きモデルなら、車高調整も手軽に行なえるためおすすめだ。また、圧側ダンパーは高速・低速それぞれ独立して調整が可能。リザーバータンクによってオイルの冷却を促進し、ダンピング性能の低下を防いでくれる。

元記事で読む
の記事をもっとみる