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彼女の写真メッセージに「いいね」とだけ返した俺の、ソファでの「今」発言

  • 2026.5.22
ハウコレ

俺は彼女と同棲して2年になる、IT関係の仕事をしている会社員です。最近はプロジェクトの締切が重なり、家でも仕事のことばかり考えていました。そんなある日、彼女から届いた写真付きのメッセージにろくに目を通さないまま返信したことが、夜になって自分に返ってきたのです。

仕事中に届いた写真

夕方、打ち合わせの資料をまとめている最中に、スマホが鳴りました。彼女からのメッセージです。プレビュー欄に「思い切って20cm切っちゃった!」の文字と、添付された写真が見えました。 画面を開きはしたのですが、写真の方はろくに見ないまま、俺は「いいね」と短く返信しました。

すぐ会議が控えていて、頭が完全に資料の方へ戻っていたのです。 返信したことで「ちゃんとリアクションした」気になり、そのまま仕事に没頭しました。家に着いた頃には、メッセージを送ってもらったこと自体は覚えていましたが、写真の中身までは記憶から抜け落ちていました。

「うん」と答えてしまった理由

帰宅後、シャワーを浴びて夕食を済ませ、ソファに座ってスマホを見ていたとき、彼女が隣に来ました。

少しして、彼女の声がしました。 「ねえ、髪切ったんだけど気づいた?」 顔を上げて彼女を見ました。視界に入ったのは、いつもの彼女。少しでも違和感を見つけようと目を走らせましたが、髪型のどこが変わったのか、即座には判別できませんでした。

言うべきは「ごめん、写真ちゃんと見てなかった」だったはずです。でも俺の口から出たのは違う言葉でした。 「うん」 彼女を傷つけたくない、と思ったのは半分本当で、もう半分は、ここで「気づかなかった」と認めると、メッセージにも実物にも目を向けていなかった事実を直視しなければならない、その面倒くささからの逃げだったのだと思います。

「今」と答えるしかなかった

そのあと彼女は、軽く笑いながら、まっすぐ俺の目を見て聞いてきました。 「いつ気づいた?」 このひとことで、俺の小さな嘘は完全に行き場を失いました。何秒か沈黙したと思います。これ以上嘘を重ねるくらいなら、と腹を決めて、俺は答えました。 「今」 と言いながら、自分の声の小ささに自分で気づきました。彼女は一瞬、目を丸くして、それから笑い出しました。怒られるよりずっと、その笑い声がこたえました。

そして...

「もういいよ」と笑う彼女に、俺は「ごめん、本当にごめん」と何度も繰り返しました。許されたのか、呆れられたのか、その夜は分かりませんでした。

翌朝、出勤前の彼女の前にあらためて立って、ようやく髪型をきちんと見ました。20cmほど短くなっていたのだと、その時初めて気づきました。「やっぱりいいね」と、その場で素直に伝えました。昨日のメッセージで「いいね」とだけ送った自分の浅さを、今度こそ言葉にして埋め直したかった。コーヒーを淹れながら、これからは些細な変化にも目を向けたいと考えた朝でした。

(30代男性・ITエンジニア)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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