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過熱する中学受験で「お受験ママ」からの強烈なマウントに追い詰められる。子どもの教育をめぐる親の不安と葛藤、その行き着く先は?【書評】

  • 2026.5.14

【漫画】本編を読む

「中学受験」は子どもの将来のために検討する選択肢のひとつだ。だがそれが苛烈な「受験戦争」の様相を呈し、「子どもの教育」という目的を盾にした、親同士の不毛な競争を生み出すこともある。『私、母親失格なの!? 中学受験マウント沼にハマりました』(ぽんちゃん:原案、ちゃんこ:漫画/KADOKAWA)は、中学受験によって揺れる母親の心情と葛藤を描いた作品だ。

主人公の美里は、夫と息子の正人と暮らすごく普通の主婦。家族3人で穏やかな毎日を送っていたが、息子が小学3年生になるころから周囲の雰囲気が変わり始める。ママ友たちの間で中学受験の話題が増え、塾や成績の話が飛び交うようになるのだ。当初は「うちはまだ関係ない」と思っていた美里も、周囲の熱気に触れていくうちに、受験をさせるべきかどうか悩み始める。

そんななかで美里の前に現れるのが、いわゆる「お受験ママ」の潤子だ。「中学受験を甘く見すぎ」「子どもをうまくコントロールしないと」と強い言葉で美里を追い詰め、受験に対する彼女の価値観を押しつけてくる。そしてその言動は次第にエスカレートしていき、息子の成績や塾の情報を自慢するだけでなく、家計や親の学歴にまで話題を広げて次々とマウントを取り始めるのだ。子どものための話が、いつの間にか母親同士の競争へと変わっていく様子が恐ろしい。

美里は「子どもの意思を尊重するべきか」「親として導くべきか」という迷いの中で揺れ続ける。受験させないと子どもの将来に影響するのではないかという不安もあれば、親の見栄や周囲の空気に流されているのではないかという葛藤もある。子どもの教育について悩みを持つ人は美里に共感することだろう。

中学受験は間違いなく子どもの人生にかかわる選択のひとつだ。しかし親の不安や見栄、周囲との比較によって、大切なものを見失ってはいないだろうか。「我が子を思う親として、何が正解なのか」という根本的な問いを投げかけてくる。

文=坪谷佳保

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