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ぶっ飛んだ介護現場に抱腹絶倒! 個性が強すぎる高齢者たちに振り回される、現役ケアマネの実録奮闘記【書評】

  • 2026.5.7

【漫画】本編を読む

高齢化社会が加速度的に進んでいる日本にとって、介護関係の職に就いている人はとてもありがたい存在だ。だがそう思う一方で、仕事内容に対しては「高齢者のお世話はとにかく大変そう」という印象を持っている人も多いだろう。現役ケアマネジャー(ケアマネ)の著者・ケン氏による『ヤベー高齢者ばかり担当しているケアマネの日常 記憶に残らない個人の記憶をたどる』(ケン/KADOKAWA)は、高齢者たちとの一筋縄ではいかないコミュニケーションがとてもユーモラスに描かれたSNS発信の作品で、介護現場に抱いていたイメージを覆すほど笑ってしまう作品だ。

ケアマネとは、介護を必要とする人やその家族に、介護に関わるさまざまな専門サービスをつなぐ仕事である。ケン氏はケアマネとして多くの高齢者を担当し、日々の体調の確認、車椅子やバリアフリー設備などの相談、入居施設の紹介などをしている。そのなかで、ケン氏が出会った強烈な個性を持つ高齢者たちが登場する。例えば、先日紹介したデイサービス体験が気に入ったのに素直に言えない頑固な人や、自分の健康面を過信して忠告を聞かず、結局医者を呼ぶ羽目になる人、愛人の家に杖を忘れたから取りに行ってほしいと頼んでくる人などだ。

そんな彼らに彼らに対してケン氏が心の中で静かにツッコミを入れるのが面白く、さらにSNS発信ならではの短いエピソードがリズミカルに展開するので、ページをめくる手が止められなくなる。また、高所で誰も届かないエアコンのコンセントがなぜか抜けているといった、ケン氏が「高齢者七不思議」と呼ぶ「高齢者あるある」に共感する人も多いだろう。

しかし、その面白さだけではなく、作品のタイトルにある「記憶に残らない個人の記憶」という視点も本作のポイントだ。どんなに不可解な言動をされても、(密かにツッコミは入れながらも)ケン氏は否定したり拒絶したりはしない。それは人生の先輩たちがこれまで何十年にもわたって積み重ねてきたかけがえのない一部分であることを知っていて、それを尊重しているからだ。

読後はきっと「介護はただの大変なお世話」ではなく、当然だが人間同士の尊い触れ合いであることを気づかせてくれるだろう。そして身近な人の老いに対する考え方が、少し違うものとなっているはずだ。

文=坪谷佳保

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