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「自分で切りました?」セルフカットはなぜ美容師にバレるのか…現役美容師が解説する「3つのポイント」《プロ目線の“失敗しないコツ”も》

  • 2026.5.6
©Aflo

前回美容室に行ってからそんなに経っていないのに、すぐに伸びてしまう前髪。気になるけど、また美容室に行くのは手間だから、自分で切ってしまおう。そんな風に、皆さんもセルフカットをしたことがあるはずです。

しかし、その後、美容室を訪れた際に「自分でカットしましたよね?」と聞かれて驚いたことはありませんか? 美容師からすると、お客さまのセルフカットは珍しいことではありません。髪の状態など、いくつかのポイントを見ることで、美容師はセルフカットであることを見極めてしまいます。

一度切った髪は元には戻せないこともあり、「セルフカットはやめて」と念押しする美容師も少なくありません。それもあってか、指摘されると少しバツが悪い思いを抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、美容師のカットとセルフカットの違いはどこにあるのでしょうか。「技術が違う」という一言で片付けてしまうのは簡単ですが、この記事では「なぜセルフカットは美容師にバレるのか」をテーマに、現場の目線からその理由を紐解いていきます。


気付くポイントはカット技法にある

私の体感では、お客さまがセルフカットをする場所として最も多いのが、前髪です。皆さんにとっても、前髪や顔周りは「すぐに伸びたな」と感じる部分だと思います。

髪の毛は1ヶ月に約1cm伸びているのですが、前髪は1cm伸びるだけでも大きく印象を左右します。1週間でもそれなりに伸びるので、「今のこの長さがベスポジ」と感じる期間もそう長くは持ちません。しかし、ほんの少しの差でも違って見えやすい前髪だからこそ、カットの精度においても顕著な差が出ます。

ちなみに、美容師はセルフカットに留まらず、いつも担当させていただくお客さまが他の美容室に行ってカットした際も、わかることがあります。それぞれに自分のカットにこだわりがあるため、お客さまが「別の美容室に行きました」とおっしゃる前から感じ取っていることも珍しくありません。それくらい美容師は「カットの違い」を見分けることができています。

美容師がセルフカットに気づく「3つのポイント」

美容師がセルフカットに気付く理由は「美容師のカット技法」と「セルフカットの切り方」が異なることにあります。美容師のカットといえば、髪の毛をコームで引っ張り出して切っている絵が浮かぶと思いますが、美容師が正確なカットを施す上で気を付けているポイントは、「カットライン」「引き出す角度」「ブロッキング」の3つです。

①カットライン

ハサミで切った後の線のことを「カットライン」と呼びますが、この時の刃の入れ方を、横一線にして真っ直ぐに切ったり、縦にしてジグザグに切ったりと、美容師は使い分けています。

前髪のセルフカットの場合、カットラインが均一に切れていないことがほとんどです。特に前髪付近の顔周りは、「生えグセ」が出やすい部分です。お客さまそれぞれにクセが必ずあるため、均一に切っているつもりでもズレてしまいやすいのです。

美容師からしても前髪のカットラインがズレやすいことは同じなので、一見手早く切っているようでありながらも、実は注意を払いながら少しずつ切って調整しています。

②引き出す角度

次にポイントとなるのが、髪を切る際に髪を「引き出す角度」です。美容師は髪を軽く引っ張り出し、長さを統一した上で切っています。そして髪を引き出す方向と角度次第で、髪の毛が重力で下に降りた時の見え方が変わります。

美容師は髪を引き出しながら切っている時、髪があらゆる方向に立ち上がっている様をイメージしながら、四方八方に両手を伸ばして切っています。実際にその様子を図面に書き起こしてカルテに記録しておくこともあるのですが、それを頭の中で再現して切っているのです。

このようにして切った髪は、正確な角度に髪を引き出せば前回のカットラインを見ることができます。しかし、髪の長さが不揃いだとカットラインが見えないため、「セルフカットなのでは?」と美容師は察します。

美容師は髪があらゆる方向に立ち上がっている様をイメージしながら髪を切っている

③ブロッキング

最後のポイントは、髪を切る際に髪をブロック分けする「ブロッキング」です。前髪を切る場合は必ず、髪が放射状に降りたときに前髪になる三角形のエリアをブロッキングしています。

セルフカットの場合、このブロッキングがズレやすくなります。一般の方はほとんどの場合、このブロッキングを意識していないからです。

三角形にブロッキングする時に横の髪との境界線となる斜めのラインがあるのですが、セルフカットだとその部分をオーバーして切ってしまいやすいです。前髪のブロッキングが通常のセオリーに沿っていない場合、切り残しが出てきたり、美容師があまりしないカットの切り口が出てくるため、美容師によるカットとの差が出てしまうのです。

前髪を作る際は、額の上を三角形にブロッキングする

セルフカットで失敗しないコツは?

ここまで、まるで「セルフカットは悪」とも取れるような口ぶりでしたが、そんなことはありません。美容師が採用するセオリーから多少外れていたとしても、セルフカットは上手にできればプラスに働きます。

そこで、大きな失敗になりにくいセルフカットの方法をお伝えします。

簡単! 守ることは5つ

まず、セルフカットの際は髪が乾いた状態で切りましょう。美容師は濡れた髪をカットすることが多いですが、乾いて縮むところまで予測するのはプロでないと難しいです。ですから、切りすぎ防止策として、乾いた「いつもの状態」から始めましょう。いつも通りにコテで巻いた後に切り始めるのも手です。

次はブロッキングです。先述した斜めの線を見つけて、境界線から先は切らないように留めておきましょう。ヘアピンでも、クリップやヘアゴムでもいいので、「ここから先は切らない」とすることが大切です。

そして、切りたい毛束はなるべく手に持たないようにしましょう。セルフカットでは、前髪を持ち上げて毛先を見ながら切る方も多いようですが、髪の毛を持ち上げて切ると角度がついてしまい、切り口が不均一になってしまいます。ですから、鏡を見ながら、額に降りた状態の前髪を切るようにしましょう。

実は前髪を持ち上げて切ると切り口が不揃いになりやすい。額に降りた状態の髪を切ろう

そして、ハサミの刃は縦に入れましょう。真っ直ぐ切ろうと横にして切ると、切り過ぎた場合の修正ができなくなります。真っ直ぐに前髪を揃えたい場合でも、刃先を縦にする方が、失敗しにくくなります。

最後に、ちょっとずつ切るのも大きなポイントです。クセの強い前髪部分は、美容師も慎重になる部分で、前髪を一太刀で切ることはほとんどありません。

これらを守れば、大きなミスをすることなく、セルフカットすることができます。

いかがでしたか。セルフカットができると、前髪が伸びてしまったときのストレスをすぐに軽減できてとても便利です。しかし同時に、日々のスタイリングのしやすさや見た目の観点からは美容師によるカットとの差があることも事実。ニーズやライフスタイルに合わせて適宜活用しましょう。

文・イラスト=操作イトウ
写真=Aflo

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