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薬剤師「サプリメントはお飲みですか?」客「いちいち詮索するな」張り詰めた空気に…→直後、“空気を一変させた”薬剤師の一言とは…?

  • 2026.5.25
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

患者さんのためを思って発した一言が、思わぬ形で受け取られてしまう。

薬局の窓口では、そんな"すれ違い"が起こることがあります。今回は、親切心が裏目に出てしまった現場エピソードと、そこから学んだコミュニケーションのコツをお伝えします。

薬剤師の"親切"がすれ違う瞬間

良かれと思って差し伸べた言葉が、相手にとっては負担になってしまうことがあります。

副作用や飲み方を詳しくお伝えしようとすると「そんなことより早く帰りたい」と表情を曇らせる方もいらっしゃいますし、「お安くなりますよ」とジェネリックを提案して「安物を勧めるのか」とご気分を害されたこともありました。丁寧さと過剰さの境目は、本当に難しいものです。

気遣いが裏目に出た現場エピソード

ちょっとした気遣いが、思いがけず相手の事情に触れてしまう。長く現場に立つ中で、特に忘れられない二つの出来事があります。

「お大事に」が病状によっては地雷になることも

難病で通院されている60代の女性に、いつものように「お大事になさってください」とお声がけしたときのことです。受け取ろうとされていた手が、ふと止まりました。しばらく沈黙されたあと、「治らない病気にも"お大事に"って言うのね」と、絞り出すような小さな声でつぶやかれたのです。

私は言葉を失いました。決まり文句として何百回と口にしてきた言葉が、その方にとっては「あなたは私の状況を分かっていない」という響きで届いてしまったのです。

慌てて「配慮が足りず申し訳ありません」とお伝えしたところ、「いいのよ、こちらこそごめんなさいね」と力なく微笑まれました。

それ以来、私は重い病気の方には「無理なさらないでくださいね」「次回もお待ちしていますね」など、その方の状況に合わせた言葉を選ぶようになりました。

決まり文句は便利ですが、ときに刃にもなる――そう肝に銘じた一件です。

飲み合わせを心配して聞いたサプリの話で気分を害された

70代の男性に新しい降圧剤が処方された際、「サプリメントは何かお飲みですか?」と何気なくお尋ねしたところ、表情が一変しました。「いちいち詮索するな。プライベートのことまで答える義務はない」と、待合室の空気が一瞬で張り詰めたのを今でも覚えています。

実はその薬には、グレープフルーツや一部のサプリと飲み合わせると効きすぎてしまうリスクがありました。私の質問は完全に「安全確認」のためのものだったのですが、ご本人にとっては「生活を覗かれている」という不快感のほうが先に立ってしまったのです。

そこで「お薬の効きすぎを防ぐために伺っているんです」と理由をお伝えし直したところ、表情がふっと和らぎ、「実は青汁を毎朝飲んでいる」と教えてくださいました。

結果として服用タイミングを調整することができ、お別れの際には「説明してくれてありがとう」と握手まで求めてくださったのです。

たった一言、理由を添えるかどうか。その差で、相手の受け止め方はこれほどまでに変わるのだと痛感しました。

なぜ"親切"が裏目に出るのか

同じ「お大事に」も、軽い風邪の方と重い病気の方では響き方がまったく違います。

体調が悪いほど、人は言葉に敏感になるものです。薬剤師は「リスクを漏れなく伝えたい」、患者さんは「とにかく早く楽になりたい」。この温度差が、すれ違いを生んでしまうのです。

読者にも役立つコミュニケーションの学び

このすれ違いは、実は日常のあらゆる場面に通じます。質問するときは「○○を確認したいので」と理由を一言添えるだけで、印象はがらりと変わるものです。

そして、もし薬局で「なぜそんなことを聞くの?」と感じられたときは、遠慮なく理由を尋ねてみてください。

私たちの質問の多くは、安全に薬をお使いいただくためのもの。お互いに少しだけ言葉を足し合うこと――それがすれ違いを減らす、いちばんの近道だと感じています。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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