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【ゾッとする怖い話】道端に落ちる、スニーカー。誰もいないはずの森で聞こえた足音【ホラー小説】

  • 2026.4.29
鬱蒼とした道
出典:stock.adobe.com

都会を離れ、自然に囲まれた貸別荘で誰にも会わずに過ごす──そんな理想的な休日のはずだった。 しかし、鬱蒼とした木々の中の道を歩いたとき、私は“静けさ”とはまったく別のものを体験することになった。

森に囲まれたヴィラ

久しぶりに連休をとり、都会から車で数時間の森の中へ向かった。

予約していたのは新築の貸別荘。
冷蔵庫には豪華な食材が用意されていて、庭でバーベキューもできる。近所に人影はなく、誰にも会わないまま静かに過ごせる理想の環境だった。

到着したのは薄暗くなってきた夕方。
辺りが真っ暗になる前に、荷物を置いて別荘の周りを散策することにした。

鬱蒼とした道

別荘の敷地を出てすぐの道は舗装されていたが、両側は鬱蒼とした木々に囲まれていた。
木々の枝が風に揺れ、葉が擦れる音がする。遠くで鳥が鳴いたかと思えば、すぐに静寂が戻る。

数分歩いたところで、背後から“コツ、コツ”と足音が聞こえた。しかし、振り返っても誰もいない。
再び歩き出すと、また同じ間隔でついてくる。

胸騒ぎを覚えながら進むと、道端に片方だけのスニーカーが落ちていた。
その先には色褪せたボール。遊ぶ子どもなど、この森にはいるはずがない。

背筋が冷え、引き返そうとしたが、歩いたはずの距離が合わない。
戻っているつもりなのに、森が同じ景色を繰り返し見せてくる。

居てはいけない土地

不安に駆られて振り返ると、森の奥に無数の人影が立ち並んでいた。
細い木々の間から、黒い影が一斉にこちらを見ている。

夢中で走り出し、気がつけばヴィラの前に戻っていた。
安堵しかけたそのとき、背後から何かが近づく音が再び響いてきた。

急いで鍵を開け、別荘に駆け込む。
新築の匂い、明るい室内に胸を撫で下ろし、広いリビングのカーテンを閉めようとしたとき、気づいてしまった。

大勢の黒い影が、ぼんやりと外に立ち、室内を覗き込んでいることを。
朝まで恐怖に耐え、明かりをつけたまま一睡もできなかった。

そしてようやく思い至った。

近年、外国人オーナーによって新築ホテルや別荘が次々と建てられている。
美しい自然が手つかずで残っていたのに、長い間開発されなかったのには──必ず理由がある。

人が踏み込んではならない土地。開けてはならないパンドラの箱。
そうした禁足地は、今もなお、この国に確かに存在しているのだ。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

◆斎 透(さい とおる) noteにて短編小説を執筆中の、犬と暮らすアラサー女子です。 やるせない夜にそっと寄り添うような文章をお届けしています。 幼い頃から、オカルト好きな母と叔母の影響で、不思議な話に夢中に。 「誰でも一つは、背中がひんやりする話を持っている」をモットーに、 ゾッとするけど、どこか温度のある物語を綴っています。 美容やキラキラした話題に疲れた夜、よければ一編、覗いてみてくださいね。 ●note:https://note.com/sai_to_ru

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